[0194] modified Rankin Scale(mRS)の有用性について
Keywords:脳卒中, modified Rankin Scale, Functional Independence Measure
【はじめに,目的】
脳卒中患者におけるActivities of Daily Living(以下ADL)評価法として,Functional Independence Measure(以下FIM)がある。急性期病院である当院も,刻々と変わる症状把握のため簡便で迅速な評価が必要とされるが,病状・合併症の影響もあり,FIMは使用困難な場合が多い。本研究では,より簡便に評価できるmodified Rankin Scale(以下mRS)に注目し,その有用性について検討を行った。
【方法】
対象は平成25年4月~10月の7か月間に当院を退院した,急性期脳卒中患者291名を対象とした(脳梗塞232名(79.7%)女性94名(40.5%),71.0±13.6歳,脳出血59名(20.3%)女性32名(54.2%),70.9±13.6歳)。なお,今回はクモ膜下出血を除外とした。
分析項目は入院時・退院時のmRS,運動FIM,認知FIM,総合FIMとした。これらの分析項目に,入院時・退院時mRSと運動FIM,認知FIM,総合FIMの相関係数を算出し,さらにmRS,運動FIM,認知FIM,総合FIMそれぞれのリハ開始時と退院時の差(以下利得)の相関係数を算出し,1%を有意水準としてSpearmanの順位相関分析を用いて処理を行った。
また,検者間の差を無くすため,mRSとFIMの評価方法については院内研修を行った。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は入院時に同意を得てデータは匿名化処理をし,個人情報保護に配慮した。
【結果】
以下に平均値を示す。mRSは入院時2.8±1.4,退院時2.0±1.7,利得0.7±0.9,運動FIMは入院時51.0±27.1退院時72.1±25.7,利得20.9±19.6,認知FIMは入院時26.6±11.2,退院時28.6±9.6,利得1.9±6.1,総合FIMは入院時77.7±35.6,退院時100.7±34.0,利得22.8±22.2であった。
mRSとFIMの相関係数の結果,入院時では,mRSと運動FIM(R=-.795),mRSと総合FIM(R=-.783),退院時では,mRSと運動FIM(R=-.776),mRSと総合FIM(R=-.788)において強い相関を認めた。また,入院時mRSと認知FIM(R=-.579),退院時mRSと認知FIM(R=-.650)では,中等度の相関を認めた。利得においては,mRSと総合FIM(R=-.404)と中等度の相関が得られ,mRSと運動FIM(R=-.389)と弱い相関が得られ,mRSと認知FIM(R=-.146)では,相関を認めなかった。
【考察】
mRSと運動FIM項目の合計点はおおむね相関することが報告されている。本結果でも入院時mRSと入院時運動・総合FIM,退院時mRSと退院時運動・総合FIMで強い相関を認めることができた。よってmRSは運動・総合FIMの代用として可能である。刻々と変わる症状を把握するのに,簡便で迅速な評価が求められる急性期病院では,mRSがFIMより有用と考える。
利得について,mRSと総合FIMでは中等度の相関,運動FIMでは弱い相関を認めた。これは評価項目の内容や区分する幅,段階分けにmRSとFIMでは違いがあるため低い相関となったのではないだろうか。これについては今後さらに追跡調査を行い検討したい。
また,認知FIMは入院時・退院時mRSともに,中等度の相関を認めた。利得は,mRSと認知FIMで,相関を認めなかった。mRSの評価で,認知面を網羅することは難しいといえる。患者把握するにはmRSに加えて,認知面の検査を含む評価を実施するべきと考える。
結果としてmRSは,入院時や退院時の一時点での全体的な状態の把握として,運動・総合FIMの代用となる。日々変化する急性期の評価としてmRSは適しており,さらに院内・院外に関わらず,他部門への情報提供にふさわしい評価方法として有用である。
【理学療法学研究としての意義】
mRSは,総合・運動FIMの代用となり,急性期病院での簡便で迅速な評価方法と言える。またmRSと他の認知評価項目を用いることで,より評価の精度が増すと考えられる。
脳卒中患者におけるActivities of Daily Living(以下ADL)評価法として,Functional Independence Measure(以下FIM)がある。急性期病院である当院も,刻々と変わる症状把握のため簡便で迅速な評価が必要とされるが,病状・合併症の影響もあり,FIMは使用困難な場合が多い。本研究では,より簡便に評価できるmodified Rankin Scale(以下mRS)に注目し,その有用性について検討を行った。
【方法】
対象は平成25年4月~10月の7か月間に当院を退院した,急性期脳卒中患者291名を対象とした(脳梗塞232名(79.7%)女性94名(40.5%),71.0±13.6歳,脳出血59名(20.3%)女性32名(54.2%),70.9±13.6歳)。なお,今回はクモ膜下出血を除外とした。
分析項目は入院時・退院時のmRS,運動FIM,認知FIM,総合FIMとした。これらの分析項目に,入院時・退院時mRSと運動FIM,認知FIM,総合FIMの相関係数を算出し,さらにmRS,運動FIM,認知FIM,総合FIMそれぞれのリハ開始時と退院時の差(以下利得)の相関係数を算出し,1%を有意水準としてSpearmanの順位相関分析を用いて処理を行った。
また,検者間の差を無くすため,mRSとFIMの評価方法については院内研修を行った。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は入院時に同意を得てデータは匿名化処理をし,個人情報保護に配慮した。
【結果】
以下に平均値を示す。mRSは入院時2.8±1.4,退院時2.0±1.7,利得0.7±0.9,運動FIMは入院時51.0±27.1退院時72.1±25.7,利得20.9±19.6,認知FIMは入院時26.6±11.2,退院時28.6±9.6,利得1.9±6.1,総合FIMは入院時77.7±35.6,退院時100.7±34.0,利得22.8±22.2であった。
mRSとFIMの相関係数の結果,入院時では,mRSと運動FIM(R=-.795),mRSと総合FIM(R=-.783),退院時では,mRSと運動FIM(R=-.776),mRSと総合FIM(R=-.788)において強い相関を認めた。また,入院時mRSと認知FIM(R=-.579),退院時mRSと認知FIM(R=-.650)では,中等度の相関を認めた。利得においては,mRSと総合FIM(R=-.404)と中等度の相関が得られ,mRSと運動FIM(R=-.389)と弱い相関が得られ,mRSと認知FIM(R=-.146)では,相関を認めなかった。
【考察】
mRSと運動FIM項目の合計点はおおむね相関することが報告されている。本結果でも入院時mRSと入院時運動・総合FIM,退院時mRSと退院時運動・総合FIMで強い相関を認めることができた。よってmRSは運動・総合FIMの代用として可能である。刻々と変わる症状を把握するのに,簡便で迅速な評価が求められる急性期病院では,mRSがFIMより有用と考える。
利得について,mRSと総合FIMでは中等度の相関,運動FIMでは弱い相関を認めた。これは評価項目の内容や区分する幅,段階分けにmRSとFIMでは違いがあるため低い相関となったのではないだろうか。これについては今後さらに追跡調査を行い検討したい。
また,認知FIMは入院時・退院時mRSともに,中等度の相関を認めた。利得は,mRSと認知FIMで,相関を認めなかった。mRSの評価で,認知面を網羅することは難しいといえる。患者把握するにはmRSに加えて,認知面の検査を含む評価を実施するべきと考える。
結果としてmRSは,入院時や退院時の一時点での全体的な状態の把握として,運動・総合FIMの代用となる。日々変化する急性期の評価としてmRSは適しており,さらに院内・院外に関わらず,他部門への情報提供にふさわしい評価方法として有用である。
【理学療法学研究としての意義】
mRSは,総合・運動FIMの代用となり,急性期病院での簡便で迅速な評価方法と言える。またmRSと他の認知評価項目を用いることで,より評価の精度が増すと考えられる。