[0317] 理学療法士が考える魅力ある職場とは何か?
キーワード:職場環境, 実態調査, 愛知県理学療法白書
【はじめに,目的】
近年新規学卒者の離職率が高いことが社会問題となっており,大卒者においては入社後3年目以内に30%以上が退職していると厚生労働省の調査によって報告されている。理学療法士も急速な増加に伴い,各施設において経験年数が浅く,そして若い理学療法士が大半を占めている現状がある。今後もこのような傾向は続くことが予想され,理学療法士にとってやりがいがあり,働きやすい職場環境を整えていく必要性が増してきている。今回一般社団法人愛知県理学療法士会白書委員会が,会員の処遇などの現状を把握するために調査を行った。その中で理学療法士にとって魅力ある職場の条件について若干の知見を得たため報告する。
【方法】
調査対象は平成24年8月1日現在,一般社団法人愛知県理学療法士会に入会している理学療法士4239名とし,インターネットによるアンケート調査を行った。回答は単一選択および多肢選択を用い無記名式で行った。調査項目は,対象の属性として性別や年齢,経験年数等,魅力ある職場の条件として退職の有無や退職理由などとした。また分析には単純集計およびクロス集計を行った。
【倫理的配慮,説明と同意】
対象者にはアンケート開始時に今回の調査の趣旨と対象者に不利益を与えない旨を記載した画面を掲示し,回答があったものは同意があったものとみなした。
【結果】
回答数は512名で回収率は12.1%であった。年齢の内訳は,20歳代50%,30歳代29%と若い世代の回答を多く得た。魅力ある職場の条件については,「職場の人間関係が良い」が最多であり,続いて「魅力のある上司がいる」,「将来性がある」,「労働条件が良い」という結果になった。性別によるクロス集計では男性,女性ともに,「職場の人間関係が良い」が最多であった。男性では,「魅力のある上司がいる」,「将来性がある」と続き,女性では,「有給休暇がとりやすい」,「出産,育児に理解がある」が上位に入るという結果になった。
【考察】
魅力ある職場の条件として全般的に職場の雰囲気や働きやすさを重視していると考えられる。男性は将来性,教育面など,女性は有給休暇や出産,育児に関する項目に多く回答を得た。これは退職理由の結果において,男性では仕事の質の向上ややりがいの問題が,女性では人間関係の問題が多かったが出産や育児に関しては少ない傾向がみられたことからも裏付けられる。また自由記載の意見において,産休中は施設基準を満たせないことに対する対策を求める記載もあった。魅力ある職場に向けて各職場や制度に対する対応も必要である。魅力ある職場を目指すには,専門職である理学療法士として仕事に対する向上心ややりがいを求める一方,女性にとって育児休暇や有給休暇の取得など,職場や制度の対応が大きく影響してくるのでないかと思われる。
【理学療法学研究としての意義】
理学療法士にとって魅力ある職場とは,第一に人間関係が良いことが挙げられ,男性では仕事の質向上ややりがいが,女性では育児,出産に対して不安や心配の少ない職場であることがわかった。今回の結果は,若年者が多い職場の管理運営を行う上で,離職率の減少および働きやすい場を作るために有用である。
近年新規学卒者の離職率が高いことが社会問題となっており,大卒者においては入社後3年目以内に30%以上が退職していると厚生労働省の調査によって報告されている。理学療法士も急速な増加に伴い,各施設において経験年数が浅く,そして若い理学療法士が大半を占めている現状がある。今後もこのような傾向は続くことが予想され,理学療法士にとってやりがいがあり,働きやすい職場環境を整えていく必要性が増してきている。今回一般社団法人愛知県理学療法士会白書委員会が,会員の処遇などの現状を把握するために調査を行った。その中で理学療法士にとって魅力ある職場の条件について若干の知見を得たため報告する。
【方法】
調査対象は平成24年8月1日現在,一般社団法人愛知県理学療法士会に入会している理学療法士4239名とし,インターネットによるアンケート調査を行った。回答は単一選択および多肢選択を用い無記名式で行った。調査項目は,対象の属性として性別や年齢,経験年数等,魅力ある職場の条件として退職の有無や退職理由などとした。また分析には単純集計およびクロス集計を行った。
【倫理的配慮,説明と同意】
対象者にはアンケート開始時に今回の調査の趣旨と対象者に不利益を与えない旨を記載した画面を掲示し,回答があったものは同意があったものとみなした。
【結果】
回答数は512名で回収率は12.1%であった。年齢の内訳は,20歳代50%,30歳代29%と若い世代の回答を多く得た。魅力ある職場の条件については,「職場の人間関係が良い」が最多であり,続いて「魅力のある上司がいる」,「将来性がある」,「労働条件が良い」という結果になった。性別によるクロス集計では男性,女性ともに,「職場の人間関係が良い」が最多であった。男性では,「魅力のある上司がいる」,「将来性がある」と続き,女性では,「有給休暇がとりやすい」,「出産,育児に理解がある」が上位に入るという結果になった。
【考察】
魅力ある職場の条件として全般的に職場の雰囲気や働きやすさを重視していると考えられる。男性は将来性,教育面など,女性は有給休暇や出産,育児に関する項目に多く回答を得た。これは退職理由の結果において,男性では仕事の質の向上ややりがいの問題が,女性では人間関係の問題が多かったが出産や育児に関しては少ない傾向がみられたことからも裏付けられる。また自由記載の意見において,産休中は施設基準を満たせないことに対する対策を求める記載もあった。魅力ある職場に向けて各職場や制度に対する対応も必要である。魅力ある職場を目指すには,専門職である理学療法士として仕事に対する向上心ややりがいを求める一方,女性にとって育児休暇や有給休暇の取得など,職場や制度の対応が大きく影響してくるのでないかと思われる。
【理学療法学研究としての意義】
理学療法士にとって魅力ある職場とは,第一に人間関係が良いことが挙げられ,男性では仕事の質向上ややりがいが,女性では育児,出産に対して不安や心配の少ない職場であることがわかった。今回の結果は,若年者が多い職場の管理運営を行う上で,離職率の減少および働きやすい場を作るために有用である。