[0378] WISH型股関節装具装着における筋力への影響について
キーワード:変形性股関節症, 装具, 筋力
【はじめに,目的】変形性股関節症(変股症)に対する装具療法としてWISH型股関節装具(WISH型股装具)を作製した。WISH型股装具は,内転以外の運動が可能で,外転や荷重時にパッドが大転子を圧迫する。WISH型股装具装着により,股関節機能の改善や歩容の改善,動的バランスの改善などを認めている。今回,WISH型股装具装着による筋力への影響について検討した。
【方法】2011年3月~2012年11月に変形性股関節症により,群馬大学医学部附属病院 整形外科を外来受診した女性患者15名を対象とした。Crowe分類は,Iが10名,IIが5名だった。筋力は,装具装着側と非装着側の股関節屈曲,外転,内転,膝関節伸展の最大等尺性筋力を装具装着時,装着後1カ月,3カ月,6カ月,12カ月の時点で測定した。測定は,装具装着時,装具非装着時に行った。筋力測定にはHand-Held Dynamometer(日本MEDIX社製Power Track II;以下HHD)を使用した。測定肢位は,股屈曲及び膝伸展は座位にて股関節・膝関節を90度屈曲位とした。股外転・股内転は仰臥位にて股関節内外転0度とし測定した。筋出力を受けるHHDのセンサー部の位置は,股屈曲は大腿遠位部前面,股外転は大腿遠位部外側面,股内転は大腿遠位部内側面,膝伸展は下腿遠位部前面とした。約3秒間の最大等尺性筋力を3回測定し,平均値を使用した。検者内信頼性は,級内相関係数(ICC 1.1)を用いて評価した。データは,正規性についてShapiro-Wilk検定によって評価し,装具における筋力の影響について,対応のあるT検定かwilcoxon検定をおこなった。統計学的有意差は,危険率5%未満として考えた。
【倫理的配慮,説明と同意】この臨床研究は群馬大学の臨床試験審査委員会(IRB)に承認され,対象者からは同意を得て測定した。
【結果】測定は,0か月が13人13回,1か月が12人12回,3か月が10人10回,6か月が10人10回,12か月4人4回であり,合計15人で49回行った。年齢は,52.6±8.1歳(36~65歳)。装具装着側は左9名,右6名であった。検者内信頼性は,装具装着側,装具非装着側の全てで0.9以上であった。装具非装着側の股関節内転は装具装着時0.49Nm/kg,非装着時0.46Nm/kg,装具装着側の股関節屈曲は装具装着時0.6Nm/kg,非装着時0.55Nm/kg,股関節外転は装具装着時0.52Nm/kg,非装着時0.48Nm/kg,膝関節伸展は装具装着時0.59Nm/kg,非装着時0.58Nm/kgで装具装着による有意な変化が認められた。
以外の測定においては,装具装着側,装具非装着側ともに有意な変化はみられなかった。
【考察】検者内信頼性は,すべてにおいて0.9以上の高い信頼性が得られた。本研究で装具装着時の筋力として装具非装着側の股関節内転,装具装着側の股関節屈曲,外転,膝関節伸展において筋力の改善を認めた。これは,運動時において装具装着による直接的な効果が影響しているものと考える。骨盤帯による固定,装具装着側の大転子部の支持,患側の内転運動制限などによる影響が考えられる。以前私たちはTimed Up and Go testにおいて,装具装着による有意な変化を認めている。装具装着による筋力の改善がPerformanceに影響することが考えられた。
【理学療法学研究としての意義】WISH型股装具装着における筋力への影響として,装具装着側の股関節屈曲筋力,外転筋力,膝関節の伸展筋力,装具非装着側の内転筋力の向上が認められた。このことはWISH型股装具が生体に及ぼす影響を解明する一助となり,装具の有効的な使用に結びつくのではないかと考える。
【方法】2011年3月~2012年11月に変形性股関節症により,群馬大学医学部附属病院 整形外科を外来受診した女性患者15名を対象とした。Crowe分類は,Iが10名,IIが5名だった。筋力は,装具装着側と非装着側の股関節屈曲,外転,内転,膝関節伸展の最大等尺性筋力を装具装着時,装着後1カ月,3カ月,6カ月,12カ月の時点で測定した。測定は,装具装着時,装具非装着時に行った。筋力測定にはHand-Held Dynamometer(日本MEDIX社製Power Track II;以下HHD)を使用した。測定肢位は,股屈曲及び膝伸展は座位にて股関節・膝関節を90度屈曲位とした。股外転・股内転は仰臥位にて股関節内外転0度とし測定した。筋出力を受けるHHDのセンサー部の位置は,股屈曲は大腿遠位部前面,股外転は大腿遠位部外側面,股内転は大腿遠位部内側面,膝伸展は下腿遠位部前面とした。約3秒間の最大等尺性筋力を3回測定し,平均値を使用した。検者内信頼性は,級内相関係数(ICC 1.1)を用いて評価した。データは,正規性についてShapiro-Wilk検定によって評価し,装具における筋力の影響について,対応のあるT検定かwilcoxon検定をおこなった。統計学的有意差は,危険率5%未満として考えた。
【倫理的配慮,説明と同意】この臨床研究は群馬大学の臨床試験審査委員会(IRB)に承認され,対象者からは同意を得て測定した。
【結果】測定は,0か月が13人13回,1か月が12人12回,3か月が10人10回,6か月が10人10回,12か月4人4回であり,合計15人で49回行った。年齢は,52.6±8.1歳(36~65歳)。装具装着側は左9名,右6名であった。検者内信頼性は,装具装着側,装具非装着側の全てで0.9以上であった。装具非装着側の股関節内転は装具装着時0.49Nm/kg,非装着時0.46Nm/kg,装具装着側の股関節屈曲は装具装着時0.6Nm/kg,非装着時0.55Nm/kg,股関節外転は装具装着時0.52Nm/kg,非装着時0.48Nm/kg,膝関節伸展は装具装着時0.59Nm/kg,非装着時0.58Nm/kgで装具装着による有意な変化が認められた。
以外の測定においては,装具装着側,装具非装着側ともに有意な変化はみられなかった。
【考察】検者内信頼性は,すべてにおいて0.9以上の高い信頼性が得られた。本研究で装具装着時の筋力として装具非装着側の股関節内転,装具装着側の股関節屈曲,外転,膝関節伸展において筋力の改善を認めた。これは,運動時において装具装着による直接的な効果が影響しているものと考える。骨盤帯による固定,装具装着側の大転子部の支持,患側の内転運動制限などによる影響が考えられる。以前私たちはTimed Up and Go testにおいて,装具装着による有意な変化を認めている。装具装着による筋力の改善がPerformanceに影響することが考えられた。
【理学療法学研究としての意義】WISH型股装具装着における筋力への影響として,装具装着側の股関節屈曲筋力,外転筋力,膝関節の伸展筋力,装具非装着側の内転筋力の向上が認められた。このことはWISH型股装具が生体に及ぼす影響を解明する一助となり,装具の有効的な使用に結びつくのではないかと考える。