[0862] オムツ交換を必要とする入居者様の身体機能的特徴および主観的なケア難易度の関係
キーワード:身体機能, オムツ交換時主観的ケア難易度, 生活リハビリ
【はじめに,目的】
特別養護老人ホームは,重度の心身障害を持った高齢者で自宅での生活が困難な人が生活する場であり,その人らしく最期まで穏やかに暮らすところである。理学療法士(機能訓練指導員)は,身体機能の評価および生活リハビリへの関わりが重要になっている。臨床的に股関節の関節可動域が小さいと体幹の回旋運動が不十分であることを良く経験する。またオムツ交換時に携わるケアスタッフは股関節の開排が困難なことを良く経験する。しかしながらオムツ交換に必要な股関節開排角度を示した報告は少ないのが現状である。そこで本研究の目的は,オムツ交換を必要とする入居者様の身体機能的特徴とケアスタッフの主観的なケア難易度の関係を明らかにすることである。そして生活リハビリへの一助にする事である。
【方法】
対象は当施設の入居者様38名(男性9名,女性29名)平均年齢87±5.9歳である。オムツ交換あり群30名(平均介護度4.4±0.8),オムツ交換なし群8名(平均介護度2.5±1.2)である。身体機能の評価項目は,股関節開排角度,股関節屈曲角度および体幹回旋角度とし角度計を用い測定した。なお,股関節開排角度は右外転左外転の合計角度,体幹回旋角度は右回旋左回旋の合計角度とした。オムツ交換時におけるに主観的なケア難易度は,スタッフ18名に対して質問指標(1容易,2やや容易,3どちらともいえない,4やや困難,5困難)の調査をした。統計解析は,股関節開排角度,股関節屈曲角度および体幹回旋角度において,オムツ交換の有無での比較はt検定を行った。主観的なケア難易度(1~5と数値化),股関節開排角度,股関節屈曲角度および体幹回旋角度の相関はピアソンの相関係数を用いて行った。なお,有意水準は5%とした。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究の趣旨を文書にて説明し同意を得た。
【結果】
股関節開排角度は,オムツ交換あり群で39.2±24.7°,オムツ交換なし群で68.8±24.6°であり,オムツ交換あり群は,オムツ交換なし群と比較して有意に小さかった(p<0.01)。股関節屈曲角度は,オムツ交換あり群で89±21.35°,オムツ交換なし群で118.7±8.76°であり,オムツ交換あり群は,オムツ交換なし群と比較して有意に小さかった(p<0.01)。体幹回旋角度は,オムツ交換あり群で31.5±19.4°,オムツ交換なし群で60.6±23.1°であり,オムツ交換あり群は,オムツ交換なし群と比較して有意に小さかった(p<0.01)。体幹回旋角度は,股関節開排角度と正の相関(r=0.6 p<0.01),股関節屈曲角度と正の相関(r=0.5 p<0.01)があった。股関節開排角度は股関節屈曲角度と正の相関(r=0.6 p<0.01)はがあった。オムツ交換における主観的なケア難易度は平均2.6±0.9であり,体幹回旋角度と負の相関があった(r=-0.4 p<0.05)。また股関節開排角度および股関節屈曲角度とは小さくなる傾向を示した。
【考察】
本研究より,オムツ交換あり群はオムツ交換なし群より,股関節開排角度・股関節屈曲角度および体幹回旋角度で小さい値を示した。またオムツ交換あり群の身体機能は股関節開排角度39.2±24.7°股関節屈曲角度89±21.35°体幹回旋角度31.5±19.4°であった。これらから,オムツ交換が必要となる身体機能の因子の一つとして,股関節開排角度約40°股関節屈曲角度約90°体幹回旋角度約30°を挙げることができるのではないかと考えられる。またオムツ交換における主観的なケア難易度は,体幹回旋角度と負の相関を示し,股関節開排角度と股関節屈曲角度では小さくなる傾向を示した。これから体幹回旋角度の拡大を行うことはオムツ交換をスムーズにする因子になるのではないかと考えられる。生活リハビリとして,体幹回旋運動を取り入れることが,オムツ交換を効果的に行うことにつながるのではないかと考えられる。そして今後,入居者様の安定した排泄ケア,生活の質(QOL)の向上につなげていきたいと考える。
【理学療法学研究としての意義】
オムツ交換を必要とする入居者様の身体機能的特徴を示すことが特別養護老人ホームにおける生活リハビリに意義のある事と考える。
特別養護老人ホームは,重度の心身障害を持った高齢者で自宅での生活が困難な人が生活する場であり,その人らしく最期まで穏やかに暮らすところである。理学療法士(機能訓練指導員)は,身体機能の評価および生活リハビリへの関わりが重要になっている。臨床的に股関節の関節可動域が小さいと体幹の回旋運動が不十分であることを良く経験する。またオムツ交換時に携わるケアスタッフは股関節の開排が困難なことを良く経験する。しかしながらオムツ交換に必要な股関節開排角度を示した報告は少ないのが現状である。そこで本研究の目的は,オムツ交換を必要とする入居者様の身体機能的特徴とケアスタッフの主観的なケア難易度の関係を明らかにすることである。そして生活リハビリへの一助にする事である。
【方法】
対象は当施設の入居者様38名(男性9名,女性29名)平均年齢87±5.9歳である。オムツ交換あり群30名(平均介護度4.4±0.8),オムツ交換なし群8名(平均介護度2.5±1.2)である。身体機能の評価項目は,股関節開排角度,股関節屈曲角度および体幹回旋角度とし角度計を用い測定した。なお,股関節開排角度は右外転左外転の合計角度,体幹回旋角度は右回旋左回旋の合計角度とした。オムツ交換時におけるに主観的なケア難易度は,スタッフ18名に対して質問指標(1容易,2やや容易,3どちらともいえない,4やや困難,5困難)の調査をした。統計解析は,股関節開排角度,股関節屈曲角度および体幹回旋角度において,オムツ交換の有無での比較はt検定を行った。主観的なケア難易度(1~5と数値化),股関節開排角度,股関節屈曲角度および体幹回旋角度の相関はピアソンの相関係数を用いて行った。なお,有意水準は5%とした。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究の趣旨を文書にて説明し同意を得た。
【結果】
股関節開排角度は,オムツ交換あり群で39.2±24.7°,オムツ交換なし群で68.8±24.6°であり,オムツ交換あり群は,オムツ交換なし群と比較して有意に小さかった(p<0.01)。股関節屈曲角度は,オムツ交換あり群で89±21.35°,オムツ交換なし群で118.7±8.76°であり,オムツ交換あり群は,オムツ交換なし群と比較して有意に小さかった(p<0.01)。体幹回旋角度は,オムツ交換あり群で31.5±19.4°,オムツ交換なし群で60.6±23.1°であり,オムツ交換あり群は,オムツ交換なし群と比較して有意に小さかった(p<0.01)。体幹回旋角度は,股関節開排角度と正の相関(r=0.6 p<0.01),股関節屈曲角度と正の相関(r=0.5 p<0.01)があった。股関節開排角度は股関節屈曲角度と正の相関(r=0.6 p<0.01)はがあった。オムツ交換における主観的なケア難易度は平均2.6±0.9であり,体幹回旋角度と負の相関があった(r=-0.4 p<0.05)。また股関節開排角度および股関節屈曲角度とは小さくなる傾向を示した。
【考察】
本研究より,オムツ交換あり群はオムツ交換なし群より,股関節開排角度・股関節屈曲角度および体幹回旋角度で小さい値を示した。またオムツ交換あり群の身体機能は股関節開排角度39.2±24.7°股関節屈曲角度89±21.35°体幹回旋角度31.5±19.4°であった。これらから,オムツ交換が必要となる身体機能の因子の一つとして,股関節開排角度約40°股関節屈曲角度約90°体幹回旋角度約30°を挙げることができるのではないかと考えられる。またオムツ交換における主観的なケア難易度は,体幹回旋角度と負の相関を示し,股関節開排角度と股関節屈曲角度では小さくなる傾向を示した。これから体幹回旋角度の拡大を行うことはオムツ交換をスムーズにする因子になるのではないかと考えられる。生活リハビリとして,体幹回旋運動を取り入れることが,オムツ交換を効果的に行うことにつながるのではないかと考えられる。そして今後,入居者様の安定した排泄ケア,生活の質(QOL)の向上につなげていきたいと考える。
【理学療法学研究としての意義】
オムツ交換を必要とする入居者様の身体機能的特徴を示すことが特別養護老人ホームにおける生活リハビリに意義のある事と考える。