[0995] 人工股関節全置換術後の早期歩行活動量と術前因子の検討
キーワード:人工股関節全置換術, 歩行活動量, 術前能力
【はじめに,目的】
当院では人工股関節全置換術(以下THA)は,通常術後の可動域ならびに荷重制限を行う事なく術後1日目から歩行練習を開始している。この中でも早期退院する人ほど日中の活動量が多い印象をうける。先行研究では,内部障害や中枢疾患の活動量を調査している文献は散見されるが関節疾患術後早期の活動量の報告は少ない。そのため,THA術後患者の活動量を調査するとともに術前身体機能との関係を検討した。
【方法】
2013年6月~9月にかけて当科にて初回片側THAを施行され,当院のプログラムにて理学療法を実施した女性25名(平均年齢64.3±9.3歳,BMI23.1±3.7)を対象とした。なお,変形性関節症・腰部疾患・リウマチ・心疾患を有する症例は除外した。活動量は3次元加速度センサ活動量計Active style Pro(オムロン社製HJA-350IT)を使用した。術後4~7日と退院前日の歩行カロリー数,歩行時間,歩数を計測した。調査項目は年齢,BMI,退院可能日,在院日数,術前能力として等尺性股外転筋力,等尺性膝伸展筋力,術前JOAスコア,10m歩行時間とした。等尺性外転筋力はMICROFET(HOGGAN HEALTH INDUSTORIES INC米国)を用い,等尺性膝伸展筋力はMINATO CONBIT CB-2を用いトルク体重比を算出した。統計学的解析として,術後4~7日および退院前日をFriedman検定にて差を検討した。術後4~7日平均歩数および各日と各調査項目との関連についてspearmanの順位相関係数を用い検討した。なお,有意水準はすべてにおいて5%未満とした。
【倫理的配慮,説明と同意】
対象者に本研究の趣旨及び内容について口頭および文章で説明し,ヘルシンキ宣言に基づき参加は本人の自由意思とし同意を得た。
【結果】
在院日数は14.2±3.9日,退院可能日は6.1±2.0日であった。歩行カロリー(kcal)は術後4~7日の平均が45.2±19.6,退院前日は58.0±24.6であった。歩行時間(分)は術後4~7日の平均が42.2±18.0,退院前日は48.0±18.7であった。歩数(歩)は4日569.5±550.0,5日874.0±804.8,6日1042.8±837.0,7日1598.0±853.8歩,退院前日1842.0±749.6,術後4~7日の平均は1021.1±678.8であった。
歩行時間に有意差は認めなかった。歩行カロリーと歩数では6日と7日に有意差を認めた(p<0.05)が7日と退院前日の間に有意差を認めなかった。
歩数と退院可能日の関係は4~7日平均(r=-0.49,p<0.05),4日(r=-0.51,p<0.05)と7日(r=-0.44,p<0.05)で負の相関を認めた。歩数と在院日数は4~7日平均歩数(r=-0.40,p<0.05)で負の相関を認めた。歩数と術前能力では術側膝伸展筋力と4~7日平均歩数(r=0.45,p<0.05),4日(r=0.49,p<0.05),7日(r=0.46,p<0.05)に正の相関を認めた。また,非術側膝伸展筋力と歩数では5日(r=0.41,p<0.05),7日(r=0.51,p<0.05)に正の相関を認めた。一方,他の項目では有意な相関を認めなかった。
【考察】
術後早期から歩行活動量が多い人ほど,在院日数・退院可能日に影響を与える事が示唆された。術後7日と退院前日の歩行活動量に有意差がないということは,術後7日で退院レベルの歩行能力に達している可能性がある。今後,術後7日以降に日中の歩行活動量を増やす必要性があると考えた。今回,術後早期の歩数は術前の膝伸展筋力に関与していた事がわかった。しかし,その他の要因はあがらなかったため入院中に歩行活動量に影響を与える因子を今後検討していく必要がある。
【理学療法学研究としての意義】
今後,THA術前の介入や術後早期の歩行活動量・理学療法の一助となる。
当院では人工股関節全置換術(以下THA)は,通常術後の可動域ならびに荷重制限を行う事なく術後1日目から歩行練習を開始している。この中でも早期退院する人ほど日中の活動量が多い印象をうける。先行研究では,内部障害や中枢疾患の活動量を調査している文献は散見されるが関節疾患術後早期の活動量の報告は少ない。そのため,THA術後患者の活動量を調査するとともに術前身体機能との関係を検討した。
【方法】
2013年6月~9月にかけて当科にて初回片側THAを施行され,当院のプログラムにて理学療法を実施した女性25名(平均年齢64.3±9.3歳,BMI23.1±3.7)を対象とした。なお,変形性関節症・腰部疾患・リウマチ・心疾患を有する症例は除外した。活動量は3次元加速度センサ活動量計Active style Pro(オムロン社製HJA-350IT)を使用した。術後4~7日と退院前日の歩行カロリー数,歩行時間,歩数を計測した。調査項目は年齢,BMI,退院可能日,在院日数,術前能力として等尺性股外転筋力,等尺性膝伸展筋力,術前JOAスコア,10m歩行時間とした。等尺性外転筋力はMICROFET(HOGGAN HEALTH INDUSTORIES INC米国)を用い,等尺性膝伸展筋力はMINATO CONBIT CB-2を用いトルク体重比を算出した。統計学的解析として,術後4~7日および退院前日をFriedman検定にて差を検討した。術後4~7日平均歩数および各日と各調査項目との関連についてspearmanの順位相関係数を用い検討した。なお,有意水準はすべてにおいて5%未満とした。
【倫理的配慮,説明と同意】
対象者に本研究の趣旨及び内容について口頭および文章で説明し,ヘルシンキ宣言に基づき参加は本人の自由意思とし同意を得た。
【結果】
在院日数は14.2±3.9日,退院可能日は6.1±2.0日であった。歩行カロリー(kcal)は術後4~7日の平均が45.2±19.6,退院前日は58.0±24.6であった。歩行時間(分)は術後4~7日の平均が42.2±18.0,退院前日は48.0±18.7であった。歩数(歩)は4日569.5±550.0,5日874.0±804.8,6日1042.8±837.0,7日1598.0±853.8歩,退院前日1842.0±749.6,術後4~7日の平均は1021.1±678.8であった。
歩行時間に有意差は認めなかった。歩行カロリーと歩数では6日と7日に有意差を認めた(p<0.05)が7日と退院前日の間に有意差を認めなかった。
歩数と退院可能日の関係は4~7日平均(r=-0.49,p<0.05),4日(r=-0.51,p<0.05)と7日(r=-0.44,p<0.05)で負の相関を認めた。歩数と在院日数は4~7日平均歩数(r=-0.40,p<0.05)で負の相関を認めた。歩数と術前能力では術側膝伸展筋力と4~7日平均歩数(r=0.45,p<0.05),4日(r=0.49,p<0.05),7日(r=0.46,p<0.05)に正の相関を認めた。また,非術側膝伸展筋力と歩数では5日(r=0.41,p<0.05),7日(r=0.51,p<0.05)に正の相関を認めた。一方,他の項目では有意な相関を認めなかった。
【考察】
術後早期から歩行活動量が多い人ほど,在院日数・退院可能日に影響を与える事が示唆された。術後7日と退院前日の歩行活動量に有意差がないということは,術後7日で退院レベルの歩行能力に達している可能性がある。今後,術後7日以降に日中の歩行活動量を増やす必要性があると考えた。今回,術後早期の歩数は術前の膝伸展筋力に関与していた事がわかった。しかし,その他の要因はあがらなかったため入院中に歩行活動量に影響を与える因子を今後検討していく必要がある。
【理学療法学研究としての意義】
今後,THA術前の介入や術後早期の歩行活動量・理学療法の一助となる。