[1050] 腰部脊柱管狭窄症の術後歩行能力とQOL
Keywords:腰部脊柱管狭窄症, 歩行能力, QOL
【はじめに,目的】腰部脊柱管狭窄症における歩行能力はとても重要な要素である。しかし,腰部脊柱管狭窄症における術後歩行能力テストと患者立脚型QOL評価を調査した報告は少ない。本報告の目的は,当院における腰部脊柱管狭窄症の術後歩行能力とQOLについて調査することである。
【方法】当院において間欠性跛行を呈し,手術を施行した腰部脊柱管狭窄症18例(男性7例,女性11例,平均年齢72.8±7.1歳)を対象とした。手術前と手術施行後6ヶ月に評価した。評価項目は,10m歩行テスト,30m歩行テスト,連続歩行テスト,包括的健康関連QOL尺度であるMOS Short-Form 36-Item Health Survey日本語版ver.2(以下:SF-36)と患者立脚型の腰痛疾患特異的評価尺度である日本整形外科学会腰痛評価質問票(以下:JOABPEQ),腰部脊柱管狭窄症患者の疾患特異的評価尺度であるチューリヒ跛行質問票(以下:ZCQ)を用いて評価した。歩行テストは,患者に苦痛のない最大スピードで10m歩行テストは直線路を歩行し,30m歩行テストは15mを折り返し地点とし往復歩行し,歩行時間と歩数を計測した。連続歩行テストでは,スピードを問わず,15分を上限とする連続歩行可能距離を計測した。なおSF-36では国民標準値を用いてスコアリング(平均50点,標準偏差10点)した。手術内容は全例部分腰椎椎弓切除術であった。統計的処理は手術前後,手術後6ヶ月の比較にWilcoxonの符号付順位検定を用いて有意水準は5%未満とした。
【倫理的配慮,説明と同意】全ての症例に対して研究の趣旨を説明し,同意が得られてから実施した。
【結果】10m歩行スピードの術前,術後6ヶ月の中央値は,9.6秒,7.9秒,歩数は20歩,18歩。30m歩行スピードは,30.0秒,21.9秒,歩数は58歩,51歩。連続歩行距離は533m,673m。歩行時VASは62mm,30mm。SF-36の身体機能(PF)は23,38,日常役割機能-身体(RP)は29,36,体の痛み(BP)は27,40,全体的健康感(GH)は42,45,活力(VT)は38,47,社会生活機能(SF)は31,44,日常役割機能-精神(RE)は31,48,心の健康(MH)は41,46。JOABPEQの疼痛関連障害は,43,71,腰椎機能障害は,75,75,歩行機能障害は,21,71,社会生活機能障害は,30,65,心理的障害は,51,58。ZCQは,39,26だった。術前と比べて術後6ヶ月に有意な改善が認められたのは,10m歩行スピードと歩数,30m歩行スピードと歩数,歩行時VAS。SF-36の体の痛み(BP),活力(VT),社会生活機能(SF),日常役割機能-精神(RE)。JOABPEQの疼痛関連障害,歩行機能障害,社会生活障害,心理的障害で有意な改善が認められた。その他の項目では有意な差が認められなかった。
【考察】間欠性跛行の出現や悪化は腰部脊柱管狭窄症患者の手術の動機となり,術後は歩行能力の改善,痛みの改善,QOLの向上が期待される。今回の結果から術後6か月において歩行スピードや歩行時VAS,JOABPEQの歩行機能障害などの歩行能力や痛み,社会生活機能や心理的障害などのQOL項目でも有意な改善が認められた。この事から術後6ヶ月の時点では歩行能力や痛み,QOLは有意に改善されていることが明らかとなった。本研究の限界としていつの時点から歩行能力やQOLが有意に改善されているかわからないこと,また術後6ヶ月以降の長期的な経過がわからないことが上げられ今後の課題である。
【理学療法学研究としての意義】腰部脊柱管狭窄症患者における術後歩行能力とQOLを調査したことにより,腰部脊柱管狭窄症の術後6ヶ月の状態を知ることができた。腰部脊柱管狭窄症患者は術前よりも歩行能力や痛み,QOLが向上するもののSF-36の値では,全体的に国民標準値よりも低い値であった。今回の我々の研究は,患者さんへの説明や治療など理学療法を進めていく上での一助になりえると考える。
【方法】当院において間欠性跛行を呈し,手術を施行した腰部脊柱管狭窄症18例(男性7例,女性11例,平均年齢72.8±7.1歳)を対象とした。手術前と手術施行後6ヶ月に評価した。評価項目は,10m歩行テスト,30m歩行テスト,連続歩行テスト,包括的健康関連QOL尺度であるMOS Short-Form 36-Item Health Survey日本語版ver.2(以下:SF-36)と患者立脚型の腰痛疾患特異的評価尺度である日本整形外科学会腰痛評価質問票(以下:JOABPEQ),腰部脊柱管狭窄症患者の疾患特異的評価尺度であるチューリヒ跛行質問票(以下:ZCQ)を用いて評価した。歩行テストは,患者に苦痛のない最大スピードで10m歩行テストは直線路を歩行し,30m歩行テストは15mを折り返し地点とし往復歩行し,歩行時間と歩数を計測した。連続歩行テストでは,スピードを問わず,15分を上限とする連続歩行可能距離を計測した。なおSF-36では国民標準値を用いてスコアリング(平均50点,標準偏差10点)した。手術内容は全例部分腰椎椎弓切除術であった。統計的処理は手術前後,手術後6ヶ月の比較にWilcoxonの符号付順位検定を用いて有意水準は5%未満とした。
【倫理的配慮,説明と同意】全ての症例に対して研究の趣旨を説明し,同意が得られてから実施した。
【結果】10m歩行スピードの術前,術後6ヶ月の中央値は,9.6秒,7.9秒,歩数は20歩,18歩。30m歩行スピードは,30.0秒,21.9秒,歩数は58歩,51歩。連続歩行距離は533m,673m。歩行時VASは62mm,30mm。SF-36の身体機能(PF)は23,38,日常役割機能-身体(RP)は29,36,体の痛み(BP)は27,40,全体的健康感(GH)は42,45,活力(VT)は38,47,社会生活機能(SF)は31,44,日常役割機能-精神(RE)は31,48,心の健康(MH)は41,46。JOABPEQの疼痛関連障害は,43,71,腰椎機能障害は,75,75,歩行機能障害は,21,71,社会生活機能障害は,30,65,心理的障害は,51,58。ZCQは,39,26だった。術前と比べて術後6ヶ月に有意な改善が認められたのは,10m歩行スピードと歩数,30m歩行スピードと歩数,歩行時VAS。SF-36の体の痛み(BP),活力(VT),社会生活機能(SF),日常役割機能-精神(RE)。JOABPEQの疼痛関連障害,歩行機能障害,社会生活障害,心理的障害で有意な改善が認められた。その他の項目では有意な差が認められなかった。
【考察】間欠性跛行の出現や悪化は腰部脊柱管狭窄症患者の手術の動機となり,術後は歩行能力の改善,痛みの改善,QOLの向上が期待される。今回の結果から術後6か月において歩行スピードや歩行時VAS,JOABPEQの歩行機能障害などの歩行能力や痛み,社会生活機能や心理的障害などのQOL項目でも有意な改善が認められた。この事から術後6ヶ月の時点では歩行能力や痛み,QOLは有意に改善されていることが明らかとなった。本研究の限界としていつの時点から歩行能力やQOLが有意に改善されているかわからないこと,また術後6ヶ月以降の長期的な経過がわからないことが上げられ今後の課題である。
【理学療法学研究としての意義】腰部脊柱管狭窄症患者における術後歩行能力とQOLを調査したことにより,腰部脊柱管狭窄症の術後6ヶ月の状態を知ることができた。腰部脊柱管狭窄症患者は術前よりも歩行能力や痛み,QOLが向上するもののSF-36の値では,全体的に国民標準値よりも低い値であった。今回の我々の研究は,患者さんへの説明や治療など理学療法を進めていく上での一助になりえると考える。