第49回日本理学療法学術大会

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発表演題 口述 » 神経理学療法 口述

発達障害理学療法2

Sat. May 31, 2014 2:50 PM - 3:40 PM 第13会場 (5F 503)

座長:北原エリ子(順天堂大学医学部附属順天堂医院リハビリテーション室)

神経 口述

[1091] 重度脳性麻痺者の運動機能別脊柱側彎の経年的変化とその影響因子について

古谷育子, 寺尾貴史 (兵庫青野原病院)

Keywords:脳性麻痺, 脊柱側弯, 脊柱評価

【はじめに,目的】重度脳性麻痺者(以CP)の二次障害として脊椎側彎症の発症はよく知られているが,その発症の時期や長期に渡っての自然経過についての報告は少ない。そこで第47回日本理学療法学術大会において粗大運動能力分類システム(以下GMFCS)レベル5のCPの過去約40年間に渡っての側彎の経年的変化について報告した。しかし,GMFCSレベル5以外の経年変化や脊柱側彎変形を助長する因子についてまでは未検討であった。そこで本研究ではGMFCSレベル別での脊柱側彎の経過を示し,それを助長する因子として,胃瘻増設及び,気管切開術の術前,術後での側彎進行について検討し,それを踏まえて今後の課題を明らかにすることを目的とした。
【方法】対象は当院に入院する,脳性麻痺者49名(男性25名,女性24名)。GMFCSレベルはレベル2および3(5人),レベル4(14人),レベル5(30人)とした。初期側彎評価時には側彎の発症が認められず,定期的に側彎評価が可能であったものとした。平均年齢は43.5±8.1歳(初期評価時平均年齢5.0±2.3歳),調査期間は平均37.7±7.2年間であった。脊柱側彎変形は,毎年通常の診察時に撮影したレントゲン画像を用い,臥位での全脊椎正面像から,Cobb法によりCobb角の算出が可能なものを選択した。Cobb角算出が不可な年については,前後の年から差を算出し推定Cobb角を算出した。そして,年齢を0~6歳(以下1期),7~12歳(以下2期),13~18歳(以下3期),19~24歳(以下4期),25~30歳(以下5期,)の6年ごとに5つの区分に分けた。また,GMFCSレベル5のみを1群,レベル4を2群,レベル2と3を3群とし,それぞれの各区分間での群内比較および群間比較をし,側彎の各区分における変化量について二元配置分析により検討した。また,胃瘻増設術および,気管切開術の術前,術後の5年間の側彎の増加量をSpearmanの順位相関係数により検討した。
【説明と同意】今回の研究は,後方視的に解析したものであり,通常の医療で行われたレントゲン画像の評価を用いている。データの使用に関しては院内での所定の規定による許可を得て行った。
【結果】群内比較では2,3群では有意差がみられなかったが,1群での1期と2期,1期と3期,2期と4期,2期と5期,3期と4期,3期と5期において有意な差が認められた(p<0.05)。群間比較では,1群と3群,1群と2群において有意な差が認められた(p<0.05)。胃瘻増設術および,気管切開術の術前,術後では有意な差は認められなかった。
【考察】群間比較において有意差が認められたことから側彎の増大は運動機能による影響が大きいことが示唆された。2,3群の群内比較では有意差が認められなかったことから,GMFCSレベル5の運動機能が低いと側彎の進行は急激に進行し,運動機能が高くなると進行は緩やかに増加していくことが考えられる。胃瘻増設術および,気管切開術の術前術後では有意差がなく,側彎の増大の影響因子とはなりにくいと考える。
【理学療法学研究としての意義】側彎の経年的変化を追い今後さらに他の障害と脊柱の側彎変形の進行との関係についても後方視的に検討していくことで,側彎に伴う二次障害や,側彎の障害像や予後予測を描くことができる。これにより今後の理学療法の評価の視点や治療プログラム,アプローチを立案するうえで重要な指標とすることができる。このことは,重度脳性麻痺者の側彎進行に対して,適切かつより効果的な理学療法の提供に繋がると思われる。