[1093] 特別支援学校教員と理学療法士の連携に関する調査
キーワード:特別支援学校教員, 理学療法士, 連携
【はじめに,目的】
重度・重複化していく児童生徒の障害像の変化に伴い,障害児への教育課題の設定やその支援の在り方が問題となっている。それに合わせて,学習指導においてもその児に応じた対応や指導が必要になってきており,その指導にあたっては理学療法士(以下,PT)などの医療の立場の専門家からのアドバイス・助言が必要とされている。その中でPTと特別支援学校の教員,双方の支援に対する考え・現状を把握し,共通点や相違点を明らかにすることは重要である。そこで本研究では,特別支援学校の教員のPTとの支援・連携に対する考えを質的に明らかにすることを目的とした。
【方法】
依頼書にて同意を得られた,A県内の特別支援学校にて自立活動を担当し,PTと関わったことのある教員(PT免許を持っている教員は除く)12名対して,半構造化面接を実施した。質問項目は,1)「PTに支援してほしいこと。また,それをどういった場面・場所で行いたいか。」,2)「PTと話していて困ったエピソードは何か。」,3)「学校のことや教育に関してPTに知っていてほしいことは何か。」,4)「PTの支援を受ける際に教員が知っておくべきことは何か。」,5)「医療機関のPTと連携する際,どのような方法がよいと考えるか。」とした。得られた内容は質的研究手法であるSteps for Cording and Theorization(SCAT)法(大島,2008)で分析した。質問ごとにストーリーラインを作成し,キーワードを抽出した。調査期間は平成25年7月から9月に行った。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は千葉リハビリテーションセンター倫理委員会の承認を得て実施した。対象者には紙面にて研究目的および倫理的配慮を説明し同意を得て行った。
【結果】
特別支援学校自立活動教員12名(特別支援学校教員歴22.7±8.3年,自立活動担当歴11.1±8.4年目)に行った。
1)教員がPTに支援してほしいこと(場面・場所)
「体の動かし方の指導」,「PT手技の伝達」,が学校あるいは医療施設にて,「補装具の使用方法・配慮点」が学校にて行なってほしいなど,13個のキーワードが抽出された。
2)教員がPTと話していて困ったエピソード
「学校生活の不理解」,「車椅子について」,「医療側からの一方的な依頼」など12個のキーワードが抽出された。
3)PTが学校のことで知っておくべきこと
「学校生活の様子」,「自立活動の理解」など8個のキーワードが抽出された。
4)教員がPTと話す際に知っておくべきこと
「学校の様子の把握」,「医療的知識」など8個のキーワードが抽出された。
5)医療機関にいるPTとのよい連携方法
抽出されたキーワードのうち,情報交換の妥協案として「電話」,「文書」が挙げられた。また,医療施設で行うとよいキーワードとして「リハ見学」,「手技の伝達」があった。また,学校や医療施設で行うとよいキーワードとして「ケース会」や「研修会」があった。とてもよいと考えられる連携方法のキーワードとして「直接会う」があり,その中でも「頻回に」「話し合う」が最もよい方法として挙げられた。
【考察】
本研究において,教員はPTには,生活の場面である「学校にて」支援してほしいという答えが多かった。困ったエピソードとしては,「車椅子」や「学校生活の不理解」に関する事柄が挙げられた。また,教員がPTに知っていてほしいこと,あるいは教員がPTと話す際に知っておくべきことは「学校生活の把握」に関する意見が挙げられた。さらに,教員は医療機関にいるPTとは,「頻回に」「話し合う」ことが最もよい連携方法であることが挙げられた。佐藤ら(2007)は教員へ質問紙調査を行ない,理想の方法として,「常勤でPTがいる」など教員は常時相談できる状態を求めていることを報告している。今回の面接調査においても,教員側は,PTが常勤でいることが難しい場合でも頻回に話し合える関係性を築くことが重要であると考えていることが示唆された。また面接調査方法により教員側の困ったエピソードを聞くことで,教員は「車椅子」などの補装具や「学校生活の不理解」に苦慮していることが明らかとなり,今後PTはこの点に留意して教員と関わっていくことが必要であることが示唆された。一方でこの困っていることや,教員側が考えている双方にとって必要だと思われる事柄がPT側と共有されているかは明らかではない。このことから,今後はPT側のニーズの捉え方も調査し,双方の共通点や相違点を比較していく必要がある。
【理学療法学研究としての意義】
今後,教育分野との連携が重要になっていく。その中で面接調査から質的に分析することは,教員がPTにどのようなことを支援してほしいか,またどのような連携方法を望んでいるかを把握することの一助とすることができると考える。
重度・重複化していく児童生徒の障害像の変化に伴い,障害児への教育課題の設定やその支援の在り方が問題となっている。それに合わせて,学習指導においてもその児に応じた対応や指導が必要になってきており,その指導にあたっては理学療法士(以下,PT)などの医療の立場の専門家からのアドバイス・助言が必要とされている。その中でPTと特別支援学校の教員,双方の支援に対する考え・現状を把握し,共通点や相違点を明らかにすることは重要である。そこで本研究では,特別支援学校の教員のPTとの支援・連携に対する考えを質的に明らかにすることを目的とした。
【方法】
依頼書にて同意を得られた,A県内の特別支援学校にて自立活動を担当し,PTと関わったことのある教員(PT免許を持っている教員は除く)12名対して,半構造化面接を実施した。質問項目は,1)「PTに支援してほしいこと。また,それをどういった場面・場所で行いたいか。」,2)「PTと話していて困ったエピソードは何か。」,3)「学校のことや教育に関してPTに知っていてほしいことは何か。」,4)「PTの支援を受ける際に教員が知っておくべきことは何か。」,5)「医療機関のPTと連携する際,どのような方法がよいと考えるか。」とした。得られた内容は質的研究手法であるSteps for Cording and Theorization(SCAT)法(大島,2008)で分析した。質問ごとにストーリーラインを作成し,キーワードを抽出した。調査期間は平成25年7月から9月に行った。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は千葉リハビリテーションセンター倫理委員会の承認を得て実施した。対象者には紙面にて研究目的および倫理的配慮を説明し同意を得て行った。
【結果】
特別支援学校自立活動教員12名(特別支援学校教員歴22.7±8.3年,自立活動担当歴11.1±8.4年目)に行った。
1)教員がPTに支援してほしいこと(場面・場所)
「体の動かし方の指導」,「PT手技の伝達」,が学校あるいは医療施設にて,「補装具の使用方法・配慮点」が学校にて行なってほしいなど,13個のキーワードが抽出された。
2)教員がPTと話していて困ったエピソード
「学校生活の不理解」,「車椅子について」,「医療側からの一方的な依頼」など12個のキーワードが抽出された。
3)PTが学校のことで知っておくべきこと
「学校生活の様子」,「自立活動の理解」など8個のキーワードが抽出された。
4)教員がPTと話す際に知っておくべきこと
「学校の様子の把握」,「医療的知識」など8個のキーワードが抽出された。
5)医療機関にいるPTとのよい連携方法
抽出されたキーワードのうち,情報交換の妥協案として「電話」,「文書」が挙げられた。また,医療施設で行うとよいキーワードとして「リハ見学」,「手技の伝達」があった。また,学校や医療施設で行うとよいキーワードとして「ケース会」や「研修会」があった。とてもよいと考えられる連携方法のキーワードとして「直接会う」があり,その中でも「頻回に」「話し合う」が最もよい方法として挙げられた。
【考察】
本研究において,教員はPTには,生活の場面である「学校にて」支援してほしいという答えが多かった。困ったエピソードとしては,「車椅子」や「学校生活の不理解」に関する事柄が挙げられた。また,教員がPTに知っていてほしいこと,あるいは教員がPTと話す際に知っておくべきことは「学校生活の把握」に関する意見が挙げられた。さらに,教員は医療機関にいるPTとは,「頻回に」「話し合う」ことが最もよい連携方法であることが挙げられた。佐藤ら(2007)は教員へ質問紙調査を行ない,理想の方法として,「常勤でPTがいる」など教員は常時相談できる状態を求めていることを報告している。今回の面接調査においても,教員側は,PTが常勤でいることが難しい場合でも頻回に話し合える関係性を築くことが重要であると考えていることが示唆された。また面接調査方法により教員側の困ったエピソードを聞くことで,教員は「車椅子」などの補装具や「学校生活の不理解」に苦慮していることが明らかとなり,今後PTはこの点に留意して教員と関わっていくことが必要であることが示唆された。一方でこの困っていることや,教員側が考えている双方にとって必要だと思われる事柄がPT側と共有されているかは明らかではない。このことから,今後はPT側のニーズの捉え方も調査し,双方の共通点や相違点を比較していく必要がある。
【理学療法学研究としての意義】
今後,教育分野との連携が重要になっていく。その中で面接調査から質的に分析することは,教員がPTにどのようなことを支援してほしいか,またどのような連携方法を望んでいるかを把握することの一助とすることができると考える。