第49回日本理学療法学術大会

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発表演題 ポスター » 生活環境支援理学療法 ポスター

福祉用具・地域在宅6

Sat. May 31, 2014 2:50 PM - 3:40 PM ポスター会場 (生活環境支援)

座長:大森豊(訪問看護リハビリテーションネットワーク)

生活環境支援 ポスター

[1116] 当院における訪問リハビリの終了理由

大江小百合 (くらた病院)

Keywords:訪問リハビリ, 終了理由, 疾患

【目的】演者は第44回日本理学療法学術大会にて,訪問リハビリの終了理由を調査し発表した。今回,6年間のリハビリ終了者を再調査し,終了理由に影響する因子を明らかにすることを目的とする。
【方法】訪問リハビリ終了者のカルテを後方視的に調査した。対象は,平成19年1月から24年12月までの6年間に,介護保険を利用し当院の訪問リハビリを終了した183名とした。性別は男性90名,女性93名,平均年齢77.5±9.73歳,平均訪問回数は59±72回だった。主たる疾患は,整形外科疾患74名,脳血管障害64名,内部障害12名,パーキンソン病10名,癌5名,関節リウマチ4名,糖尿病3名,パーキンソン症候群3名,その他8名であり,そのうち2つ以上の疾患を合併している者が40名みられた。
【倫理的配慮】研究はヘルシンキ宣言に則り行った。また,発表にあたり個人が特定できないように配慮した。
【結果】1)終了理由は,入院48名,デイへの移行27名,目標達成19名,本人の意向16名,家族の意向10名,ケアマネの方針10名,死亡10名,訪問看護9名への移行,入所8名,通院6名,体調悪化5名,受診困難5名,マッサージへの移行5名,転居4名,その他1名であった。2)年齢別でみると,70歳以下は37名であり,脳血管障害23名,整形疾患5名,パーキンソン病3名,内部障害2名であった。終了理由は,入院7名,デイへの移行5名,本人の意向4名,訪問看護への移行4名の順であった。71歳以上80歳以下は72名であり,整形疾患25名,脳血管障害23名,内部障害7名,パーキンソン病6名であった。終了理由は,入院20名,デイへの移行12名,目標達成9名,本人の意向7名の順であった。81歳以上90歳以下は61名であり,整形疾患34名,脳血管障害16名,内部障害3名,パーキンソン病1名であった。終了理由は入院16名,デイへの移行7名,目標達成7名,死亡5名であった。91歳以上は13名であり,整形疾患10名,脳血管障害2名,内部障害やパーキンソン病はいなかった。終了理由は,入院5名,デイへの移行3名であった。どの年齢でも入院,デイへの移行の順であり,70歳以下は本人の意向が3位であり,71歳以上では目標達成が3位であった。3)介護度別では,要支援1は6名であり整形疾患4名,終了理由の1位は目標達成2名であった。要支援2は11名であり,整形疾患8名,脳血管障害3名,終了理由の1位は目標達成6名であった。要介護1は9名であり,整形疾患6名,脳血管障害2名,終了理由は,デイへの移行3名,入院2名の順であった。要介護2は45名であり,整形疾患21名,脳血管障害11名,関節リウマチ3名,終了理由は入院11名,本人の意向9名,デイへの移行6名の順だった。要介護3は54名であり,脳血管障害20名,整形疾患18名,パーキンソン病5名,終了理由は入院15名,デイへの移行9名,目標達成7名の順であった。要介護4は37名であり,脳血管障害15名,整形疾患14名,パーキンソン病5名,終了理由は入院14名,デイへの移行5名,家族の意向5名の順だった。要介護5は21名であり,脳血管障害13名,整形疾患3名,終了理由は,入院5名,死亡4名,入所3名の順であった。介護度が重くなる程,脳血管障害が増え,入院も多かった。4)整形疾患は,デイへの移行14名入院13名目標達成13名の順であった。脳血管障害は,入院18名デイへの移行9名ケアマネの意向7名の順であった。内部障害は,入院6名,死亡1名の順であり,パーキンソン病は,入院3名入所2名であった。疾患による差が認められ,脳血管障害や内部障害,パーキンソン病で入院が多く,整形疾患でデイへの移行や目標達成が多かった。5)年度別終了者数は,H19年27名,20年32名,21年35名,22年33名,23年31名,24年25名であった。訪問回数が30回以下で終了した者は,H19年20名,20年15名,21年13名,22年15名,23年9回,24年5回と減少傾向がみられた。
【考察】終了理由は入院,デイへの移行,目標達成の順であり,前回と同様な結果を得た。入院が多いことより,訪問リハビリの対象者は,基礎疾患を抱え,体調を崩し易いことを考慮し,変化を見極める力が必要と思われる。また終了理由は,年齢による影響は少ないが,疾患や要介護度に関連性がみられ,脳血管障害では要介護度が重度な者が多く,入院者も多い一方,整形疾患では介護度も軽く,デイへの移行や目標達成で終了する者が多かった。年度別でみると,訪問回数の増加が認められ,訪問リハビリの長期化が伺えた。
【理学療法学研究としての意義】訪問リハビリの終了理由の調査結果より,年齢よりも疾患や介護度に影響されることが分かった。今後,疾患や介護度別の目標設定へと繋げることで,利用者や家族,ケアマネなどへより具体的なアプローチが出来ると考えられる。