[1138] 重症心身障害児に関わりのある特別支援学校教員が理学療法士に求めていること
Keywords:特別支援学校, 連携, 質問紙法
【はじめに,目的】障害の重度重複化した児童生徒を抱える特別支援学校では,医療機関等との密接な連携と協力が求められている。より効果的な連携を図るために,教員がPTとの連携に対して,どのような要求があるかを明らかにすることを目的として,特別支援学校の教員を対象に,PTとの連携に対する意識調査を行った。医学的な配慮の必要性が高いと考えられる重症心身障害児を担当した経験のある教員の意見に着目し,有効と思う連携方法,手段,頻度,内容,さらにはPTに求めている立場や態度,知識や技能,教員とPTの関係性の視点から,連携に求められている具体的な方向性について明らかにした。
【方法】対象は,県内の特別支援学校20校の教諭と常勤講師1377名とした。方法は,無記名の自記式質問紙調査を用いた。調査期間は平成25年11月1日~11日とした。調査項目は,(1)教育と医療の連携について①必要性②連携したい職種,(2)PTとの連携について①満足度②経験した連携方法,(3)有効だと思われる連携の①方法②手段③頻度,④重要だと思われる内容,(4)PTに求める①立場や態度②知識や技能,③教員とPTとの関係性に求めていることとした。(1)①は「1.全く思わない」~「5.非常に思う」の5件法,②はPT/OT/STで連携を図りたい順に順位をつける順位法,(2)①は「1.非常に不満」~「7.非常に満足」の7件法で尋ね,②は方法ごとに経験の有無を尋ねた。(3)(4)は,予備調査をもとに作成した選択肢を5つ挙げ,それぞれについて5件法の選択回答形式で調査した。回答者を,医療的ケアが必要な重症心身障害児を担当した経験の有無により経験群と非経験群の二群に分け比較した。
【倫理的配慮,説明と同意】対象者に対し本研究の趣旨を書面にて説明し同意を得た。
【結果】質問紙は1377名に配布し1108名から回答が得られ,回収率は80.5%であった。重症心身障害児を担当した経験があると答えた人(以下,経験群)は507名,なしと答えた人(以下,非経験群)は590名であった。(1)①連携の必要性について,経験群の平均値は4.69,非経験群の平均値は4.54であり有意な差が見られた。(p<0.001)②連携を図りたい職種について,経験群では59%が,非経験群では44%がPTを一位に挙げた。(2)①満足度について,経験群の平均値は4.55,非経験群の平均値は4.15であり有意な差が見られた。(p<0.001)②これまでにPTと連携を図ったことがある人は,経験群で89.3%であり,非経験群では38.8%であった。連携方法としては学校にPTが来た時に直接見てもらった経験がある人が最も多かった。(3)最も有効とされた連携方法は医療機関から定期的にPTが来校する方法であり,連携手段は直接児童生徒を見てもらうことであり,連携頻度は月に1度であった。最も重要とされた連携内容はその子にとって適切な姿勢や動作の介助方法を相談することであった。(4)PTに求める立場や態度は,専門的な視点から適切なアドバイスをしてくれることであった。求める知識や技能は身体の構造や姿勢動作などに関する理学療法の専門性の高さであった。教員とPTの関係性として,経験群は互いの職域を尊重し理解し合いそれぞれの専門性を活かす関係性が,非経験群は気軽にいつでも相談できる関係性が求められていた。
【考察】障害の重度重複化した児童生徒を抱える特別支援学校では,教員が教育活動を行う上で,医療との連携が強く求められていた。特に日常的に医療的ケアが必要な重症心身障害児を担当した経験のある教員はPTとの連携を必要としており,学校で児童生徒を直接見てもらい,普段の姿勢や動作の介助方法などについてPTの専門的な視点からのアドバイスを求めていると考えられた。重症心身障害児は,普段から医学的な配慮の必要性が高く,医学の知識や技術が要求されるため,教育の専門家である教員は,重症心身障害児の教育活動において苦慮していることが考えられた。このことから,重症心身障害児の教育活動においては特に,PTの専門性を発揮し,連携を深める必要があると考えられた。さらに,教員とPTが互いの職域を尊重し理解し合い,それぞれの専門性を活かす関係性が求められており,特別支援教育に携わるPTは理学療法の専門性の向上とともに教育への理解と尊重が必要であると考えられた。
【理学療法学研究としての意義】重症心身障害児を抱える特別支援学校においてはPTの関わりを必要としているが,PTが特別支援学校に派遣された歴史は浅く,手探りの状態であるため,今回の研究を通してPTの適切な関わりを明らかにする必要性が考えられた。
【方法】対象は,県内の特別支援学校20校の教諭と常勤講師1377名とした。方法は,無記名の自記式質問紙調査を用いた。調査期間は平成25年11月1日~11日とした。調査項目は,(1)教育と医療の連携について①必要性②連携したい職種,(2)PTとの連携について①満足度②経験した連携方法,(3)有効だと思われる連携の①方法②手段③頻度,④重要だと思われる内容,(4)PTに求める①立場や態度②知識や技能,③教員とPTとの関係性に求めていることとした。(1)①は「1.全く思わない」~「5.非常に思う」の5件法,②はPT/OT/STで連携を図りたい順に順位をつける順位法,(2)①は「1.非常に不満」~「7.非常に満足」の7件法で尋ね,②は方法ごとに経験の有無を尋ねた。(3)(4)は,予備調査をもとに作成した選択肢を5つ挙げ,それぞれについて5件法の選択回答形式で調査した。回答者を,医療的ケアが必要な重症心身障害児を担当した経験の有無により経験群と非経験群の二群に分け比較した。
【倫理的配慮,説明と同意】対象者に対し本研究の趣旨を書面にて説明し同意を得た。
【結果】質問紙は1377名に配布し1108名から回答が得られ,回収率は80.5%であった。重症心身障害児を担当した経験があると答えた人(以下,経験群)は507名,なしと答えた人(以下,非経験群)は590名であった。(1)①連携の必要性について,経験群の平均値は4.69,非経験群の平均値は4.54であり有意な差が見られた。(p<0.001)②連携を図りたい職種について,経験群では59%が,非経験群では44%がPTを一位に挙げた。(2)①満足度について,経験群の平均値は4.55,非経験群の平均値は4.15であり有意な差が見られた。(p<0.001)②これまでにPTと連携を図ったことがある人は,経験群で89.3%であり,非経験群では38.8%であった。連携方法としては学校にPTが来た時に直接見てもらった経験がある人が最も多かった。(3)最も有効とされた連携方法は医療機関から定期的にPTが来校する方法であり,連携手段は直接児童生徒を見てもらうことであり,連携頻度は月に1度であった。最も重要とされた連携内容はその子にとって適切な姿勢や動作の介助方法を相談することであった。(4)PTに求める立場や態度は,専門的な視点から適切なアドバイスをしてくれることであった。求める知識や技能は身体の構造や姿勢動作などに関する理学療法の専門性の高さであった。教員とPTの関係性として,経験群は互いの職域を尊重し理解し合いそれぞれの専門性を活かす関係性が,非経験群は気軽にいつでも相談できる関係性が求められていた。
【考察】障害の重度重複化した児童生徒を抱える特別支援学校では,教員が教育活動を行う上で,医療との連携が強く求められていた。特に日常的に医療的ケアが必要な重症心身障害児を担当した経験のある教員はPTとの連携を必要としており,学校で児童生徒を直接見てもらい,普段の姿勢や動作の介助方法などについてPTの専門的な視点からのアドバイスを求めていると考えられた。重症心身障害児は,普段から医学的な配慮の必要性が高く,医学の知識や技術が要求されるため,教育の専門家である教員は,重症心身障害児の教育活動において苦慮していることが考えられた。このことから,重症心身障害児の教育活動においては特に,PTの専門性を発揮し,連携を深める必要があると考えられた。さらに,教員とPTが互いの職域を尊重し理解し合い,それぞれの専門性を活かす関係性が求められており,特別支援教育に携わるPTは理学療法の専門性の向上とともに教育への理解と尊重が必要であると考えられた。
【理学療法学研究としての意義】重症心身障害児を抱える特別支援学校においてはPTの関わりを必要としているが,PTが特別支援学校に派遣された歴史は浅く,手探りの状態であるため,今回の研究を通してPTの適切な関わりを明らかにする必要性が考えられた。