[1203] (公社)神奈川県理学療法士会における自宅会員および休会会員に対する就業に関するアンケート調査(第1報)
Keywords:自宅会員, 就業継続, 実態調査
【はじめに,目的】神奈川県理学療法士会会員ライフサポート部では,ライフサイクルと就業継続に関する問題をテーマに,本会員に対する実態調査,啓発活動,情報発信,会員支援事業を行っている。実態調査では,これまで会員を対象に出産・育児・介護に関する就業継続の問題について検討してきた。昨年度は休会会員に対してアンケート調査を実施し,休会会員の就業継続や会員復帰の問題点が明らかになった。しかし,昨年の調査では対象に休会会員しか含まれておらず,就業継続に関連が深いと考えられる自宅会員は含まれていない。よって,昨年の報告では就業継続や復職に関しては十分な問題点の提起とはいえない。そこで,就業継続や復職に関する問題点の把握や支援活動につなげていくことを目的に,これまで調査対象ではなかった自宅会員を加え,休会会員と合わせて実態調査を行った。
【方法】調査対象は神奈川県理学療法士会会員3726名中自宅会員あるいは休会会員1080名,調査期間は平成25年6月中の2週間で,方法は往復はがきを送付し,郵送にて回収した。質問紙の内容は,基本属性,現在PTとして働いているかの有無,復職の予定の有無,復職の希望の有無,復職が困難である理由,復職するために必要な条件とした。復職が困難である理由,復職するために必要な条件は複数回答を可とした。
【倫理的配慮,説明と同意】調査実施時は調査依頼文にて目的や学会などでの公表を明記し,回答を得た時点で同意を得たものと判断した。
【結果】有効回答者数は298名で,回収率は27.6%であった。内訳は,男性61名(20.5%),女性230名(77.2%),未回答7名(2.3%),平均年齢は37.7±10.0(歳),経験年数は12.4±9.0(年)であった。既婚者は143名(48.0%),未婚者32名(10.7%),未回答123名(41.3%)であった。現在,理学療法士(以下PT)として「働いている者」は188名(63.1%),「働いていない者」は110名(36.9%)。PTとして働いていない人の中で「復職の予定がある者」は15名(13.6%),「復職の予定がない者」は46名(41.8%),「わからない」が49名(44.6%)であった。また,「復職の予定のある者」を除外し,復職の希望があった者は,「ある」が63名(66.3%),「ない」が13名(13.7%),「わからない」が19名(20.0%)であった。さらに,「復職の希望がない者」を除外し,復職できない理由としては,「子供が小さい」が52名(62.7%),復職の自信がない39名(47.6%),条件の合う職場がない30名(36.6%)などであった。更に復職するために必要な条件として職場環境68名(82.9%),保育環境41名(43.2%),自信の回復39名(47.6%),家族の協力・理解35名(42.7%)と続いていた。
【考察】自宅会員及び休会会員のうち約40%は理学療法士として現在は働いておらず,そのうちの約90%という多くの会員の復職の見通しが立っていない事が明らかになった。復職できない理由としては結婚や出産に伴う環境やライフスタイルの変化に伴い元の職場で働けなくなる事や長期離職により自信を失う事であった。2012年の総務省の調査では,出産後全体の38%しか仕事を続けておらず,PTも同様の理由で結婚および出産後,就業継続が困難になるのではないかと考えられた。2012年の厚生労働省の調査では男性の育児休暇取得は1%台であり,出産後女性が職場復帰するには男性の協力や理解も今後必要になるとも思われた。また,再就職するために必要な条件としては,職場・保育環境,家族の理解,自信回復など様々な要因が絡んでいた。そのため,勉強会や講習会の開催だけでなく,復職支援に関する情報提供,職場や家族に対する理学療法士の復職の重要性の啓発が必要と考えられた。さらに,自信回復も復職に欠かせない条件である事が再認識され,今後も託児所付きの勉強会・後援会の主催や復職前の研修会の実施などを検討していく必要がある。
【理学療法学研究としての意義】休会会員に自宅会員を加えても結婚や出産などのライフスタイルの変化により就業継続が困難な症例が多数存在する。自信回復のための勉強会の開催,職場や家族に対する復職の重要性の啓蒙,復職前の現場における実習など復職支援活動は多岐にわたっている。これら復職支援活動を継続して行っていく事で復職者を増加させ,有能な人材を再獲得できる可能性があると考えられる。
【方法】調査対象は神奈川県理学療法士会会員3726名中自宅会員あるいは休会会員1080名,調査期間は平成25年6月中の2週間で,方法は往復はがきを送付し,郵送にて回収した。質問紙の内容は,基本属性,現在PTとして働いているかの有無,復職の予定の有無,復職の希望の有無,復職が困難である理由,復職するために必要な条件とした。復職が困難である理由,復職するために必要な条件は複数回答を可とした。
【倫理的配慮,説明と同意】調査実施時は調査依頼文にて目的や学会などでの公表を明記し,回答を得た時点で同意を得たものと判断した。
【結果】有効回答者数は298名で,回収率は27.6%であった。内訳は,男性61名(20.5%),女性230名(77.2%),未回答7名(2.3%),平均年齢は37.7±10.0(歳),経験年数は12.4±9.0(年)であった。既婚者は143名(48.0%),未婚者32名(10.7%),未回答123名(41.3%)であった。現在,理学療法士(以下PT)として「働いている者」は188名(63.1%),「働いていない者」は110名(36.9%)。PTとして働いていない人の中で「復職の予定がある者」は15名(13.6%),「復職の予定がない者」は46名(41.8%),「わからない」が49名(44.6%)であった。また,「復職の予定のある者」を除外し,復職の希望があった者は,「ある」が63名(66.3%),「ない」が13名(13.7%),「わからない」が19名(20.0%)であった。さらに,「復職の希望がない者」を除外し,復職できない理由としては,「子供が小さい」が52名(62.7%),復職の自信がない39名(47.6%),条件の合う職場がない30名(36.6%)などであった。更に復職するために必要な条件として職場環境68名(82.9%),保育環境41名(43.2%),自信の回復39名(47.6%),家族の協力・理解35名(42.7%)と続いていた。
【考察】自宅会員及び休会会員のうち約40%は理学療法士として現在は働いておらず,そのうちの約90%という多くの会員の復職の見通しが立っていない事が明らかになった。復職できない理由としては結婚や出産に伴う環境やライフスタイルの変化に伴い元の職場で働けなくなる事や長期離職により自信を失う事であった。2012年の総務省の調査では,出産後全体の38%しか仕事を続けておらず,PTも同様の理由で結婚および出産後,就業継続が困難になるのではないかと考えられた。2012年の厚生労働省の調査では男性の育児休暇取得は1%台であり,出産後女性が職場復帰するには男性の協力や理解も今後必要になるとも思われた。また,再就職するために必要な条件としては,職場・保育環境,家族の理解,自信回復など様々な要因が絡んでいた。そのため,勉強会や講習会の開催だけでなく,復職支援に関する情報提供,職場や家族に対する理学療法士の復職の重要性の啓発が必要と考えられた。さらに,自信回復も復職に欠かせない条件である事が再認識され,今後も託児所付きの勉強会・後援会の主催や復職前の研修会の実施などを検討していく必要がある。
【理学療法学研究としての意義】休会会員に自宅会員を加えても結婚や出産などのライフスタイルの変化により就業継続が困難な症例が多数存在する。自信回復のための勉強会の開催,職場や家族に対する復職の重要性の啓蒙,復職前の現場における実習など復職支援活動は多岐にわたっている。これら復職支援活動を継続して行っていく事で復職者を増加させ,有能な人材を再獲得できる可能性があると考えられる。