[1286] 退院時FIM項目と自宅復帰及び運動機能との関連
Keywords:自宅復帰, FIM, 運動機能
【はじめに,目的】
厚生労働省の行った高齢者の健康に関する意識調査で,自宅で療養したいという高齢者が60%を占めており,在宅療養および介護体制の整備の強化が望まれている。当院では,入院時自宅復帰の条件やNEEDとして歩行やトイレ動作の自立を望まれている患者・家族が多い。そこで,実際に自宅復帰の要因としてトイレや歩行の自立度が関係しているかどうか,トイレや歩行の自立度と運動機能との関係を検討することとした。
【方法】
対象は2012年4月から2013年3月までに当院に入院しリハビリテーション介入を行った298名のうち,急性増悪などにより急性期病院へ転院したもの,死亡したものを除外した258名(男性102名,女性156名,平均年齢77.1歳,入院時FIM平均68.6点,平均在院日数84日,在宅復帰率67.4%)である。対象を自宅復帰群,非自宅復帰群の2群に分類し退院時FIM(合計,移乗,移動,排泄)についての2群比較を実施した。また,移乗・移動・排泄のFIM項目と閉脚立位時間,反復起立回数,Functional Movement Scaleについての関連を調査した。統計解析にはMann-Whitney検定を使用した。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は個人情報の取り扱いについて,当院の倫理規定に基づき倫理委員会にて承認を得たものである。
【結果】
自宅退院群(174名)のFIM値は,非自宅退院群(84名)のそれより有意に(p<0.01)高かった。また,有意差のあったFIM項目(移乗,移動,排泄)について検討すると,自宅退院群では移乗自立69%移動自立61%排泄自立68%。非自宅退院群では,移乗自立14%移動自立10%排泄自立10%であった。さらに,移乗・移動・排泄の項目と運動機能については反復起立回数とFMSにおいて有意差を認めた(p<0.01)。閉脚立位時間については有意差を認めなかった。
【考察】
退院時のFIM値,トイレ動作や移乗・移動の自立度が自宅退院と関係していた。また,トイレ動作や移動項目の自立には静止立位能力だけでなく,立ち上がりやFunctional Movement Scaleなど重心移動を伴う複合的な動作が関与している事がうかがえる。そのため,早期から座位保持や立位保持練習だけでなく動的な場面でのADL練習を実施していくことが必要であると考える。
【理学療法学研究としての意義】
自宅退院とFIM項目,FIM項目と運動機能の関連を明らかにすることで,早期から自宅退院に向けての機能面,ADL面での練習を実施することが出来ると考える。
厚生労働省の行った高齢者の健康に関する意識調査で,自宅で療養したいという高齢者が60%を占めており,在宅療養および介護体制の整備の強化が望まれている。当院では,入院時自宅復帰の条件やNEEDとして歩行やトイレ動作の自立を望まれている患者・家族が多い。そこで,実際に自宅復帰の要因としてトイレや歩行の自立度が関係しているかどうか,トイレや歩行の自立度と運動機能との関係を検討することとした。
【方法】
対象は2012年4月から2013年3月までに当院に入院しリハビリテーション介入を行った298名のうち,急性増悪などにより急性期病院へ転院したもの,死亡したものを除外した258名(男性102名,女性156名,平均年齢77.1歳,入院時FIM平均68.6点,平均在院日数84日,在宅復帰率67.4%)である。対象を自宅復帰群,非自宅復帰群の2群に分類し退院時FIM(合計,移乗,移動,排泄)についての2群比較を実施した。また,移乗・移動・排泄のFIM項目と閉脚立位時間,反復起立回数,Functional Movement Scaleについての関連を調査した。統計解析にはMann-Whitney検定を使用した。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究は個人情報の取り扱いについて,当院の倫理規定に基づき倫理委員会にて承認を得たものである。
【結果】
自宅退院群(174名)のFIM値は,非自宅退院群(84名)のそれより有意に(p<0.01)高かった。また,有意差のあったFIM項目(移乗,移動,排泄)について検討すると,自宅退院群では移乗自立69%移動自立61%排泄自立68%。非自宅退院群では,移乗自立14%移動自立10%排泄自立10%であった。さらに,移乗・移動・排泄の項目と運動機能については反復起立回数とFMSにおいて有意差を認めた(p<0.01)。閉脚立位時間については有意差を認めなかった。
【考察】
退院時のFIM値,トイレ動作や移乗・移動の自立度が自宅退院と関係していた。また,トイレ動作や移動項目の自立には静止立位能力だけでなく,立ち上がりやFunctional Movement Scaleなど重心移動を伴う複合的な動作が関与している事がうかがえる。そのため,早期から座位保持や立位保持練習だけでなく動的な場面でのADL練習を実施していくことが必要であると考える。
【理学療法学研究としての意義】
自宅退院とFIM項目,FIM項目と運動機能の関連を明らかにすることで,早期から自宅退院に向けての機能面,ADL面での練習を実施することが出来ると考える。