[1389] 男子中学サッカー選手における “The 11+”の有用性の検討 第2報
Keywords:The 11+, 骨端症, アイシング
【目的】
第48回日本理学療法学術大会においてサッカー選手を対象とした傷害予防プログラム「The 11+」の有用性を報告した。このプログラムを実施して2年が経過しており,介入前と比較し格段と傷害発生率が減少傾向にあることが伺われる。その中で骨端症などOveruseに起因する成長期特有の疾患の発生率も減少しており,「The 11+」の幅広い有用性が示唆されつつある。
今回,男子中学サッカー選手を対象に傷害予防プログラム「The 11+」にアイシングを併用するとともに傷害発生率及びOveruseに起因する骨端症の発生率を調査した結果,若干の知見を得たで報告する。
【対象】
2011年~2013年にK県内のクラブチームに所属する選手62名とし,全て中学2年生で競技レベルが同一の3群に分類した。
1.コントロール群(以下,C群):2011年19名(年齢:13.5±0.5歳・身長:156.1±8.0cm・体重:42.7±8.1kg)
2.The11+群(以下,11+群):2012年24名(年齢:13.5±0.5歳・身長:156.7±7.9cm・体重:44.4±6.6kg)
3.The11++Iceing(以下,I群):2013年19名(年齢:13.6±0.5歳・身長:158.3±6.8cm・体重:45.6±6.2kg)
【方法】
「The 11+」施行期間は6カ月間とし,頻度は2回/週とした。プログラム実施にあたり事前に選手・コーチにDVDを配布して学習して頂き,サッカー傷害予防プログラムインストラクター資格を取得した理学療法士が週に2度練習に訪問して指導した。そして,練習・試合後に脛骨粗面部・踵骨部にそれぞれ15分間アイシングを追加実施した。
また,前回と同様に練習・試合時間を調査し傷害発生率・骨端症発生率として選手1人の1000曝露時間当たりの発生率を算出した。骨端症の調査ついてはOsgood-Schlatter病・踵骨骨端症を主に対象とした。
[傷害(骨端症)発生率=発生件数/曝露時間(練習+試合時間)×1.000]
3群における傷害発生率・骨端症発生率をそれぞれ比較検討し,統計学的検討には一元配置分散分析を用い,Scheffe法で多重比較を行った。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究にあたり所属チームの監督・選手の父兄には事前に説明し,研究の了承を得た。また,当院の教育作業委員会及び倫理委員会委員長の承認を得た。
【結果】
<傷害発生率>
1.C群(2.25)と比較して11+群(1.5)の方が有意に減少(p<0.01)
2.C群と比較してI群(1. 53)の方が有意に減少(p<0.01)
3.11+群とI群のでは有意差なし
<骨端症発生率>
1.C群(2.79)と比較して11+群(1.9)の方が有意に減少(p<0.05)
2.C群と比較してI群(1.24)の方が有意に減少(p<0.01)
3.11+群とI群のでは有意差なし
【考察】
予防医学的なアイシングの効果については今なお予防効果に賛否が分かれるところであり,報告が少ない。しかし,白木・剱持はアイシングが特定の関節や筋・腱付着部への反復するストレスによる微細な損傷や炎症を最小限に抑えて,慢性的な炎症反応の悪循環を防止すると述べており,「The 11+」同様,アイシングは傷害予防の一助になるものと推察する。
今回,「The 11+」に加え練習・試合後のアイシングを実施することで傷害発生率・骨端症発生率において統計学的有意差は生じなかったものの,両者に減少傾向が示されたことは,今後の傷害予防に大きな可能性を提示することができたものと考えられる。そして,U-15年代における「The11+」の有用性は2年間の活動を通して証明できたものと考え,その中でOvereuseに起因する骨端症についてはアイシングによる予防的処置に加え,傷害が発生しやすい時期や試合日程なども考慮した上で選手の身体機能に合わせた練習量を計画及び実施していかなければならいと考えられる。
今後も引き続き2つの取り組みを継続しデータ蓄積を行い,「The11+」・アイシングによる傷害予防の啓発に貢献していきたいと考える。
第48回日本理学療法学術大会においてサッカー選手を対象とした傷害予防プログラム「The 11+」の有用性を報告した。このプログラムを実施して2年が経過しており,介入前と比較し格段と傷害発生率が減少傾向にあることが伺われる。その中で骨端症などOveruseに起因する成長期特有の疾患の発生率も減少しており,「The 11+」の幅広い有用性が示唆されつつある。
今回,男子中学サッカー選手を対象に傷害予防プログラム「The 11+」にアイシングを併用するとともに傷害発生率及びOveruseに起因する骨端症の発生率を調査した結果,若干の知見を得たで報告する。
【対象】
2011年~2013年にK県内のクラブチームに所属する選手62名とし,全て中学2年生で競技レベルが同一の3群に分類した。
1.コントロール群(以下,C群):2011年19名(年齢:13.5±0.5歳・身長:156.1±8.0cm・体重:42.7±8.1kg)
2.The11+群(以下,11+群):2012年24名(年齢:13.5±0.5歳・身長:156.7±7.9cm・体重:44.4±6.6kg)
3.The11++Iceing(以下,I群):2013年19名(年齢:13.6±0.5歳・身長:158.3±6.8cm・体重:45.6±6.2kg)
【方法】
「The 11+」施行期間は6カ月間とし,頻度は2回/週とした。プログラム実施にあたり事前に選手・コーチにDVDを配布して学習して頂き,サッカー傷害予防プログラムインストラクター資格を取得した理学療法士が週に2度練習に訪問して指導した。そして,練習・試合後に脛骨粗面部・踵骨部にそれぞれ15分間アイシングを追加実施した。
また,前回と同様に練習・試合時間を調査し傷害発生率・骨端症発生率として選手1人の1000曝露時間当たりの発生率を算出した。骨端症の調査ついてはOsgood-Schlatter病・踵骨骨端症を主に対象とした。
[傷害(骨端症)発生率=発生件数/曝露時間(練習+試合時間)×1.000]
3群における傷害発生率・骨端症発生率をそれぞれ比較検討し,統計学的検討には一元配置分散分析を用い,Scheffe法で多重比較を行った。
【倫理的配慮,説明と同意】
本研究にあたり所属チームの監督・選手の父兄には事前に説明し,研究の了承を得た。また,当院の教育作業委員会及び倫理委員会委員長の承認を得た。
【結果】
<傷害発生率>
1.C群(2.25)と比較して11+群(1.5)の方が有意に減少(p<0.01)
2.C群と比較してI群(1. 53)の方が有意に減少(p<0.01)
3.11+群とI群のでは有意差なし
<骨端症発生率>
1.C群(2.79)と比較して11+群(1.9)の方が有意に減少(p<0.05)
2.C群と比較してI群(1.24)の方が有意に減少(p<0.01)
3.11+群とI群のでは有意差なし
【考察】
予防医学的なアイシングの効果については今なお予防効果に賛否が分かれるところであり,報告が少ない。しかし,白木・剱持はアイシングが特定の関節や筋・腱付着部への反復するストレスによる微細な損傷や炎症を最小限に抑えて,慢性的な炎症反応の悪循環を防止すると述べており,「The 11+」同様,アイシングは傷害予防の一助になるものと推察する。
今回,「The 11+」に加え練習・試合後のアイシングを実施することで傷害発生率・骨端症発生率において統計学的有意差は生じなかったものの,両者に減少傾向が示されたことは,今後の傷害予防に大きな可能性を提示することができたものと考えられる。そして,U-15年代における「The11+」の有用性は2年間の活動を通して証明できたものと考え,その中でOvereuseに起因する骨端症についてはアイシングによる予防的処置に加え,傷害が発生しやすい時期や試合日程なども考慮した上で選手の身体機能に合わせた練習量を計画及び実施していかなければならいと考えられる。
今後も引き続き2つの取り組みを継続しデータ蓄積を行い,「The11+」・アイシングによる傷害予防の啓発に貢献していきたいと考える。