[1503] 当院再入院患者の傾向について(第3報)
キーワード:5回以上の再入院, データーベース, 過去10年
【はじめに】
筆者は第42回日本理学療法学術大会に於いて当院における過去10年のリハビリデーターベース(以下過去DB)より再入院患者の傾向について発表した。その内8.5%は5回以上の再入院(以下5回以上)をしている。当時は内部疾患が多いと考え詳細を調査しなかった。その後当院は社会構造の変化や医師不足による急性期病棟の休床がある中,亜急性期・療養病棟の開始など地域に根ざした自治体病院のニーズに対応してきた。そこでリハビリを実施している患者層も変化してきた為,今回新たに過去10年のDBより現在の傾向と過去DBを比較した。また5回以上の傾向を分析し考察した。
【方法】
DBより2004/4/1より2013/7/1の間に処方があった5743例を対象とした。全例を男女別,科別,疾患別に分類,また過去DB 5967例と比較検討した。そして5回以上の378例(61名)を平均期間(リハ開始から開始までの期間),男女別,科別,疾患別に分類し傾向を検討した。男女の年齢差などの検定には対応のないt検定を用いた。
【倫理的配慮】
当院倫理委員会にて承認を得た。
【結果】
DB5743例の平均年齢75.8±17.4歳,内訳は男性44.5%平均年齢72.7±15.5歳,女性54.8%平均年齢78.2±18.6歳。男女の年齢差あり(p<0.001)。科別では整形34.8%,内科31.4%,脳外21.7%,外科11.5%であり,過去DBの科別は整形47.9%,内科23.8%,脳外19.1%,外科7.0%と現在では整形が減少し,脳外科・内科・外科が増加した。疾患別はDBで骨折23.9%,脳梗塞13.2%,廃用症候群19.1%,過去DBは骨折30.3%,脳梗塞15.8%,廃用症候群0.9%と割合が大きく異なった。
5回以上は378例で平均年齢80.0±9.0歳,平均期間4年5ヶ月±2年4ヶ月,男性39.9%平均年齢80.0±7.2歳,平均期間4年1ヶ月±2年1ヶ月,女性60.1%平均年齢79.0±10.5歳,平均期間4年8ヶ月±2年5ヶ月であった。男女年齢差なし。科別では外科25.7%,整形18.0%,脳外13.2%,内科1.5%でありDBと比較すると外科疾患が多い割合となった。疾患別では廃用症候群30.7%,慢性呼吸不全などの肺疾患18.8%,骨折13.2%,急性呼吸不全5.0%,悪性腫瘍4.0%であり,この廃用症候群の内訳は肺炎が35.3%,心不全が9.5%。DBと5回以上の男性同士の年齢比較では差(p<0.001)が認められたが女性同士では差が認められなかった。
【考察】
DBより整形の処方が減少しているが,医師数(4名から1名)の減少が大きい。疾患別は廃用症候群の増加が顕著である。これは疾患別リハビリテーション料が平成18年より開始となり,診断名や障害名として廃用症候群が処方されることが多かった要因と考える。
5回以上の再入院患者について調査した結果,内部疾患が多く肺炎・心不全が上位であった。初回リハビリ処方より4年前後で5回以上再入院している。肺炎・心不全は80代高齢者の死因第2位と第3位であり,再入院を繰り返すことで廃用症候群に陥っていることが考えられる。高齢者のQOLやモチベーションを高める為,内科・外科より積極的にリハビリ処方が出ている現状がある。この結果を踏まえ老衰に対するリスク管理の重要性を感じた。
【理学療法研究としての意義】
再入院患者の持つ特性や傾向を捉え再発予防やリスク管理の一助とすることが出来た。
筆者は第42回日本理学療法学術大会に於いて当院における過去10年のリハビリデーターベース(以下過去DB)より再入院患者の傾向について発表した。その内8.5%は5回以上の再入院(以下5回以上)をしている。当時は内部疾患が多いと考え詳細を調査しなかった。その後当院は社会構造の変化や医師不足による急性期病棟の休床がある中,亜急性期・療養病棟の開始など地域に根ざした自治体病院のニーズに対応してきた。そこでリハビリを実施している患者層も変化してきた為,今回新たに過去10年のDBより現在の傾向と過去DBを比較した。また5回以上の傾向を分析し考察した。
【方法】
DBより2004/4/1より2013/7/1の間に処方があった5743例を対象とした。全例を男女別,科別,疾患別に分類,また過去DB 5967例と比較検討した。そして5回以上の378例(61名)を平均期間(リハ開始から開始までの期間),男女別,科別,疾患別に分類し傾向を検討した。男女の年齢差などの検定には対応のないt検定を用いた。
【倫理的配慮】
当院倫理委員会にて承認を得た。
【結果】
DB5743例の平均年齢75.8±17.4歳,内訳は男性44.5%平均年齢72.7±15.5歳,女性54.8%平均年齢78.2±18.6歳。男女の年齢差あり(p<0.001)。科別では整形34.8%,内科31.4%,脳外21.7%,外科11.5%であり,過去DBの科別は整形47.9%,内科23.8%,脳外19.1%,外科7.0%と現在では整形が減少し,脳外科・内科・外科が増加した。疾患別はDBで骨折23.9%,脳梗塞13.2%,廃用症候群19.1%,過去DBは骨折30.3%,脳梗塞15.8%,廃用症候群0.9%と割合が大きく異なった。
5回以上は378例で平均年齢80.0±9.0歳,平均期間4年5ヶ月±2年4ヶ月,男性39.9%平均年齢80.0±7.2歳,平均期間4年1ヶ月±2年1ヶ月,女性60.1%平均年齢79.0±10.5歳,平均期間4年8ヶ月±2年5ヶ月であった。男女年齢差なし。科別では外科25.7%,整形18.0%,脳外13.2%,内科1.5%でありDBと比較すると外科疾患が多い割合となった。疾患別では廃用症候群30.7%,慢性呼吸不全などの肺疾患18.8%,骨折13.2%,急性呼吸不全5.0%,悪性腫瘍4.0%であり,この廃用症候群の内訳は肺炎が35.3%,心不全が9.5%。DBと5回以上の男性同士の年齢比較では差(p<0.001)が認められたが女性同士では差が認められなかった。
【考察】
DBより整形の処方が減少しているが,医師数(4名から1名)の減少が大きい。疾患別は廃用症候群の増加が顕著である。これは疾患別リハビリテーション料が平成18年より開始となり,診断名や障害名として廃用症候群が処方されることが多かった要因と考える。
5回以上の再入院患者について調査した結果,内部疾患が多く肺炎・心不全が上位であった。初回リハビリ処方より4年前後で5回以上再入院している。肺炎・心不全は80代高齢者の死因第2位と第3位であり,再入院を繰り返すことで廃用症候群に陥っていることが考えられる。高齢者のQOLやモチベーションを高める為,内科・外科より積極的にリハビリ処方が出ている現状がある。この結果を踏まえ老衰に対するリスク管理の重要性を感じた。
【理学療法研究としての意義】
再入院患者の持つ特性や傾向を捉え再発予防やリスク管理の一助とすることが出来た。