[1579] スポーツ領域の職域拡大に関する意識調査
Keywords:スポーツ領域, 職域拡大, アンケート調査
【はじめに,目的】
日本理学療法士協会調査では2013年6月の理学用法士(以下PTと略す)数は85,127人であり毎年約1万人のPTが誕生している。その為PTの職域拡大は非常に重要な課題である。特にスポーツ領域では本当の意味での職域拡大を考えていく必要がある。今回はアンケート調査を行いスポーツ選手との関わりやスポーツ現場に関すること,そして保険外での活動について興味深い結果が得られたため報告する。
本研究の目的はスポーツ領域における職域拡大に関する意識調査であり,最終的にはPTのスポーツ領域での職域拡大に繋げることである。
まず職域という言葉について説明する。職域とは「職業・職務の範囲」とあり,職業とは「生計を維持するために人が日常従事する仕事」とある。となると職域を拡大するには活動に対して生計を維持するためのお金を頂くということが必要不可欠であると言える。お金を頂いていないボランティア活動は職域として判断できず,単なる活動であるということをまずは明確にしておく。ここが先にも述べたスポーツ領域での本当の意味での職域拡大である。
またスポーツ選手への理学療法に関しても不明な点が多い。医療保険内で対応する理学療法がスポーツ選手に対するリハビリテーションの中で,どこまでが医療でどこからが医療外の対応となるのか,これがはっきりしていない,という現状がある。もし医療では対応できないのであれば現在医療保険施設内で行われている医療である理学療法以外の対応はボランティアで行っているということになる。これではいくらスポーツ選手に対応しているといっても職域拡大には繋がらない。
そこで今回アンケート調査を実施し,スポーツ選手との関わり,スポーツ現場に関して,保険外での活動に関して比較検討した。
【方法】
インターネット,ソーシャルネットサービス,メールを用い,理学療法士・作業療法士(学生を含む)を対象にアンケートを依頼した。アンケート項目は28項目である。統計処理はカイ2乗検定を行い危険率1%とした。
【倫理的配慮,説明と同意】
この研究ではヘルシンンキ宣言に基づき研究の趣旨を事前に説明した上でアンケート依頼を行った。
【結果】
返答のあったアンケートは138件あった。まずスポーツ選手に関わる頻度であるが,関わっている90名,関わっていない48名であった。そしてそれを関わっている群と関わっていない群に分けて,スポーツ現場で活動しているかどうかを検討すると,関わっている群で,スポーツ現場で活動しているは54名,関わりないは4名,関わっていない群で活動しているは36名,関わりないは44名となり,有意差を認めた。
またスポーツ現場で活動したいかという問いにしたいと回答した群は,現在スポーツ現場で活動しているは54名,活動していない群は51名であり,したくない・どちらでもないと回答した群は,現在スポーツ現場で活動しているは4名,活動していないは29名となり,有意差を認めた。
またスポーツ現場で活動したいと考えている方で保険外での活動に興味があるかという問いに84名(80.0%)が興味あると回答し,興味を持った動機として,『医療費削減などの医療情勢を考えて』『現在の保険制度上そうせざるを得ない』『PTの活動だけでは限界を感じる』『現在の保険制度上ではスポーツ選手を救えない』『今後の収入に不安』などが多かった。
【考察】
スポーツ選手と関わっているPTは多いがそのほとんどが医療保険施設内での勤務である。今回の結果からもスポーツ領域に興味を持つものがアンケートに協力したと考えられ,その中でもスポーツ現場で活動しているPTは42.0%と少なく全体数で考えると更に少ないことが予想される。
結果から言えることは,日頃からスポーツ選手と関わっているPTの方がやはり実際にスポーツ現場で活動している方が多く,現在スポーツ現場で活動している人は今後も継続してスポーツ現場で活動したいと考えている。スポーツ現場で活動するということは,ただ単にPTとしての知識があれば活動できる,ということではない。いろんな繋がりと医師との関わりがなければ活動しにくいことが考えられる。以上のことを考えると,日頃からスポーツ選手が多く来院する施設で勤務するPTの方が,スポーツ現場に出て行き易い環境であることが推測される。
またスポーツ現場で活動しているPTの多くが保険外での活動に興味あると答えているが,その理由については医療情勢や保険制度,今後の給与に対する限界や不安など現在の制度自体がスポーツ領域に関してはっきりしていないことなどが考えられる。
【理学療法研究としての意義】
アンケート調査によりスポーツに携わる状況が把握でき,今後の展望や職域拡大へ繋げることができると考える。
日本理学療法士協会調査では2013年6月の理学用法士(以下PTと略す)数は85,127人であり毎年約1万人のPTが誕生している。その為PTの職域拡大は非常に重要な課題である。特にスポーツ領域では本当の意味での職域拡大を考えていく必要がある。今回はアンケート調査を行いスポーツ選手との関わりやスポーツ現場に関すること,そして保険外での活動について興味深い結果が得られたため報告する。
本研究の目的はスポーツ領域における職域拡大に関する意識調査であり,最終的にはPTのスポーツ領域での職域拡大に繋げることである。
まず職域という言葉について説明する。職域とは「職業・職務の範囲」とあり,職業とは「生計を維持するために人が日常従事する仕事」とある。となると職域を拡大するには活動に対して生計を維持するためのお金を頂くということが必要不可欠であると言える。お金を頂いていないボランティア活動は職域として判断できず,単なる活動であるということをまずは明確にしておく。ここが先にも述べたスポーツ領域での本当の意味での職域拡大である。
またスポーツ選手への理学療法に関しても不明な点が多い。医療保険内で対応する理学療法がスポーツ選手に対するリハビリテーションの中で,どこまでが医療でどこからが医療外の対応となるのか,これがはっきりしていない,という現状がある。もし医療では対応できないのであれば現在医療保険施設内で行われている医療である理学療法以外の対応はボランティアで行っているということになる。これではいくらスポーツ選手に対応しているといっても職域拡大には繋がらない。
そこで今回アンケート調査を実施し,スポーツ選手との関わり,スポーツ現場に関して,保険外での活動に関して比較検討した。
【方法】
インターネット,ソーシャルネットサービス,メールを用い,理学療法士・作業療法士(学生を含む)を対象にアンケートを依頼した。アンケート項目は28項目である。統計処理はカイ2乗検定を行い危険率1%とした。
【倫理的配慮,説明と同意】
この研究ではヘルシンンキ宣言に基づき研究の趣旨を事前に説明した上でアンケート依頼を行った。
【結果】
返答のあったアンケートは138件あった。まずスポーツ選手に関わる頻度であるが,関わっている90名,関わっていない48名であった。そしてそれを関わっている群と関わっていない群に分けて,スポーツ現場で活動しているかどうかを検討すると,関わっている群で,スポーツ現場で活動しているは54名,関わりないは4名,関わっていない群で活動しているは36名,関わりないは44名となり,有意差を認めた。
またスポーツ現場で活動したいかという問いにしたいと回答した群は,現在スポーツ現場で活動しているは54名,活動していない群は51名であり,したくない・どちらでもないと回答した群は,現在スポーツ現場で活動しているは4名,活動していないは29名となり,有意差を認めた。
またスポーツ現場で活動したいと考えている方で保険外での活動に興味があるかという問いに84名(80.0%)が興味あると回答し,興味を持った動機として,『医療費削減などの医療情勢を考えて』『現在の保険制度上そうせざるを得ない』『PTの活動だけでは限界を感じる』『現在の保険制度上ではスポーツ選手を救えない』『今後の収入に不安』などが多かった。
【考察】
スポーツ選手と関わっているPTは多いがそのほとんどが医療保険施設内での勤務である。今回の結果からもスポーツ領域に興味を持つものがアンケートに協力したと考えられ,その中でもスポーツ現場で活動しているPTは42.0%と少なく全体数で考えると更に少ないことが予想される。
結果から言えることは,日頃からスポーツ選手と関わっているPTの方がやはり実際にスポーツ現場で活動している方が多く,現在スポーツ現場で活動している人は今後も継続してスポーツ現場で活動したいと考えている。スポーツ現場で活動するということは,ただ単にPTとしての知識があれば活動できる,ということではない。いろんな繋がりと医師との関わりがなければ活動しにくいことが考えられる。以上のことを考えると,日頃からスポーツ選手が多く来院する施設で勤務するPTの方が,スポーツ現場に出て行き易い環境であることが推測される。
またスポーツ現場で活動しているPTの多くが保険外での活動に興味あると答えているが,その理由については医療情勢や保険制度,今後の給与に対する限界や不安など現在の制度自体がスポーツ領域に関してはっきりしていないことなどが考えられる。
【理学療法研究としての意義】
アンケート調査によりスポーツに携わる状況が把握でき,今後の展望や職域拡大へ繋げることができると考える。