[1619] 回復期脳卒中患者における2種類の加速度計を用いた身体活動量測定と運動機能との関係
キーワード:加速度計, 身体活動量, 回復期脳卒中患者
【はじめに,目的】
身体活動量を評価する加速度計法は,加速度センサーにより測定した加速度を加算し活動量を評価する方法で,身体活動量を評価する有用な方法とされている。しかし,加速度計を使用し回復期脳卒中患者の身体活動量を経時的に測定したものは少ない。今回,座位や歩行などの時間とどれくらい動いているかの強度という2つの視点から身体活動量を測定するために,2種類の加速度計を使用し,脳卒中患者を対象に,回復期リハビリテーション病棟入棟時と入棟1か月後に身体活動量測定と運動機能検査を行い,身体活動量の変化と運動機能との関連を分析することを目的とした。
【方法】
対象は,当センター回復期リハビリテーション病棟に入院していた脳卒中患者18名。対象者の内訳は,男性13名・女性5名,平均年齢65.5±11.5歳,右片麻痺7名・左片麻痺9名・麻痺なし2名,初回測定時までの平均罹病期間53.8±17.8日であった。身体活動量測定と運動機能検査を初回測定時と初回測定時から1か月後に行った。
身体活動量測定は,対象者に2種類の加速度計を装着し,日中11時間,3日間連続して行った。11時間の中には,リハビリテーションの時間も含まれていた。身体活動量測定方法は,生活活動度計(Activity Monitoring and Evaluation System:A-MES,Solid Brains,熊本)にて歩行,立位,座位,臥位の4つの姿勢動作時間を測定し,1軸2次元加速度計(Actical:フィリップス・レスピロニクス社製,米国)にて身体活動強度を測定した。A-MESから11時間ごとの各姿勢動作時間を算出し,3日間の平均値をそれぞれ求めた。Acticalは1分ごとに計算し,11時間を通じての総加算(単位:104activity counts/day)を用いた。
運動機能検査は,Berg Balance Scale(BBS),10m最大歩行速度,脚伸展筋力(麻痺側,非麻痺側),Mini-Mental State Examination(MMSE),機能的自立度評価法(運動FIM,認知FIM)を行った。
解析には,対応のあるt検定とPearsonの相関係数を行った。
【倫理的配慮,説明と同意】
対象者には事前に本研究の内容を説明し書面同意を得た。
【結果】
初回測定時の身体活動量は,歩行時間は56±35分,立位時間は21±13分,座位時間は429±95分,臥位時間は151±80分であり,Acticalの値は2.4±2.0であった。初回測定時の運動機能は,BBSは42.7±14.1点,10m最大歩行速度は74.6±44.0m/min,脚伸展筋力は麻痺側で0.8±0.4Nm/kg,非麻痺側で1.2±0.3Nm/kg,MMSEは26.9±2.5点,運動FIMは66.3±16.5点,認知FIMは25.0±4.8点であった。
1か月後測定時の身体活動量は,歩行時間は78±33分,立位時間は27±19分,座位時間は414±89分,臥位時間は138±71分であり,Acticalの値は3.6±2.6であった。1か月後測定時の運動機能は,BBSは47.1±9.6点,10m最大歩行速度は81.5±49.7m/min,脚伸展筋力は麻痺側で1.0±0.4Nm/kg,非麻痺側で1.3±0.4Nm/kg,MMSEは28.1±2.5点,運動FIMは72.4±13.7点,認知FIMは26.8±3.9点であった。
歩行時間(p<0.01)とActicalの値(p<0.05)と全ての運動機能検査(p<0.05)において,初回測定時よりも1か月後測定時において有意に高値を示した。
1か月後測定時の身体活動量と運動機能検査の関連性では,歩行時間は,10m最大歩行速度(r=0.62),BBS(r=0.60),認知FIM(r=0.60),麻痺側下肢筋力(r=0.53),運動FIM(r=0.54)と有意な正の相関関係を示した(p<0.05)。Acticalの値は,麻痺側下肢筋力(r=0.79),10m最大歩行速度(r=0.85),認知FIM(r=0.62),運動FIM(r=0.59)と有意な正の相関関係を示した(p<0.05)。
【考察】
身体活動量と運動機能との間に有意な相関関係が多数認められたことから,身体活動量と運動機能は関係していることが示された。また,2種類の加速度計を使用したことで,より詳細に脳卒中患者の回復段階における身体活動量の変化を経時的かつ定量的に評価することが可能となった。今回用いた加速度計は脳卒中患者が実際に日常生活での利用頻度をより反映するものと思われ,今後の利用が期待される。
【理学療法学研究としての意義】
回復期脳卒中患者の身体活動量と運動機能との関係を知ることで,より効果的な理学療法プログラムの立案に寄与すると考えられる。
身体活動量を評価する加速度計法は,加速度センサーにより測定した加速度を加算し活動量を評価する方法で,身体活動量を評価する有用な方法とされている。しかし,加速度計を使用し回復期脳卒中患者の身体活動量を経時的に測定したものは少ない。今回,座位や歩行などの時間とどれくらい動いているかの強度という2つの視点から身体活動量を測定するために,2種類の加速度計を使用し,脳卒中患者を対象に,回復期リハビリテーション病棟入棟時と入棟1か月後に身体活動量測定と運動機能検査を行い,身体活動量の変化と運動機能との関連を分析することを目的とした。
【方法】
対象は,当センター回復期リハビリテーション病棟に入院していた脳卒中患者18名。対象者の内訳は,男性13名・女性5名,平均年齢65.5±11.5歳,右片麻痺7名・左片麻痺9名・麻痺なし2名,初回測定時までの平均罹病期間53.8±17.8日であった。身体活動量測定と運動機能検査を初回測定時と初回測定時から1か月後に行った。
身体活動量測定は,対象者に2種類の加速度計を装着し,日中11時間,3日間連続して行った。11時間の中には,リハビリテーションの時間も含まれていた。身体活動量測定方法は,生活活動度計(Activity Monitoring and Evaluation System:A-MES,Solid Brains,熊本)にて歩行,立位,座位,臥位の4つの姿勢動作時間を測定し,1軸2次元加速度計(Actical:フィリップス・レスピロニクス社製,米国)にて身体活動強度を測定した。A-MESから11時間ごとの各姿勢動作時間を算出し,3日間の平均値をそれぞれ求めた。Acticalは1分ごとに計算し,11時間を通じての総加算(単位:104activity counts/day)を用いた。
運動機能検査は,Berg Balance Scale(BBS),10m最大歩行速度,脚伸展筋力(麻痺側,非麻痺側),Mini-Mental State Examination(MMSE),機能的自立度評価法(運動FIM,認知FIM)を行った。
解析には,対応のあるt検定とPearsonの相関係数を行った。
【倫理的配慮,説明と同意】
対象者には事前に本研究の内容を説明し書面同意を得た。
【結果】
初回測定時の身体活動量は,歩行時間は56±35分,立位時間は21±13分,座位時間は429±95分,臥位時間は151±80分であり,Acticalの値は2.4±2.0であった。初回測定時の運動機能は,BBSは42.7±14.1点,10m最大歩行速度は74.6±44.0m/min,脚伸展筋力は麻痺側で0.8±0.4Nm/kg,非麻痺側で1.2±0.3Nm/kg,MMSEは26.9±2.5点,運動FIMは66.3±16.5点,認知FIMは25.0±4.8点であった。
1か月後測定時の身体活動量は,歩行時間は78±33分,立位時間は27±19分,座位時間は414±89分,臥位時間は138±71分であり,Acticalの値は3.6±2.6であった。1か月後測定時の運動機能は,BBSは47.1±9.6点,10m最大歩行速度は81.5±49.7m/min,脚伸展筋力は麻痺側で1.0±0.4Nm/kg,非麻痺側で1.3±0.4Nm/kg,MMSEは28.1±2.5点,運動FIMは72.4±13.7点,認知FIMは26.8±3.9点であった。
歩行時間(p<0.01)とActicalの値(p<0.05)と全ての運動機能検査(p<0.05)において,初回測定時よりも1か月後測定時において有意に高値を示した。
1か月後測定時の身体活動量と運動機能検査の関連性では,歩行時間は,10m最大歩行速度(r=0.62),BBS(r=0.60),認知FIM(r=0.60),麻痺側下肢筋力(r=0.53),運動FIM(r=0.54)と有意な正の相関関係を示した(p<0.05)。Acticalの値は,麻痺側下肢筋力(r=0.79),10m最大歩行速度(r=0.85),認知FIM(r=0.62),運動FIM(r=0.59)と有意な正の相関関係を示した(p<0.05)。
【考察】
身体活動量と運動機能との間に有意な相関関係が多数認められたことから,身体活動量と運動機能は関係していることが示された。また,2種類の加速度計を使用したことで,より詳細に脳卒中患者の回復段階における身体活動量の変化を経時的かつ定量的に評価することが可能となった。今回用いた加速度計は脳卒中患者が実際に日常生活での利用頻度をより反映するものと思われ,今後の利用が期待される。
【理学療法学研究としての意義】
回復期脳卒中患者の身体活動量と運動機能との関係を知ることで,より効果的な理学療法プログラムの立案に寄与すると考えられる。