[2010] 生活を支えるための理学療法マインド
「人生百年」時代の私たちのあり方が問われる時代となってきました。心身機能の低下を重ねながら生きていく高齢者達に健康維持から予防理学療法にいたるまで 理学療法士の役割は拡がっています。要支援化,要介護化を最小限にとどめる努力が求められています。
人生の長い持ち時間,個人の生き方という観点からは,今こそ「人生に年月(物理的時間)を継ぎ足すだけでなく,(延長された)年月に生命をつぎ込むことである」と説いたHラスクのQOLのあり方が大きな意味を持ちます。
私たちは生活の中に生・病・老・死に包まれて生きています。生を受けたその瞬間から死を迎えるその日まで理学療法介入の要不要は,理学療法士の医療,福祉分野での自由裁量権が広がっていく中,クライアントの潜在的な可能性を引き出す技量と厳しくもあり優しくもある理学療法マインドにかかっています。
生活の場をどこで支えるのか,生活のどの部分を支えるのか,生活の何を支えるのか,在宅生活なのか,社会生活なのか,ここでは高齢者の在宅生活について考えてみたいと思います。適正な「在宅理学療法」を提示できるのは理学療法士です。
高齢者が増加していく中で,理学療法士も増加していますが,高齢者の数は2030年前後にピークに達するのでと,呑気に構えているのではなく今,即戦力をもっている人から学ぶべき機会を作ること,大いに一人ひとりの在宅生活者のニーズに対応できるのは女性です。理学療法士の半数は女性で成り立っています。とりわけ日常の家事をこなす主婦として,子育て中の母親として,理学療法士という専門職の一人三役を果たしている経験はそれ自体,現場のリカレント教育実践なのだから長期の育児休暇をとったからと言って肩身の狭い思いをする必要はないと思います。既婚,未婚を問わず女性の細やかな気くばり,目くばり,そして理学療法士としての手くばりは在宅の生活支援を手際よく効率的に効果をあげると期待するところです。
女性は社会的志向をもって在宅支援を効率よく進めていく力を持っていると期待しています。フリーランスの立場で地道に確かな専門技術をもって活動している女性が在宅理学療法の道を開拓しつつあるのも力強いことです。
地域包括ケアシステムにおける訪問リハビリテーションには連係プレーは勿論のことチームワークによって実施されることは言うに及びませんが,チームメンバーの在宅訪問は単独の場合がほとんどです。在宅生活者の生活パターンは多様です。具体的な生活の支えかたを一人ひとりに合った方法で進め,結果を出すことは容易ではありません。生活を支える場は在宅にありますが,暮らしている環境には多くのバリアが立ちはだかっていて,医療施設下の環境とは全く異なる限られた空間の中で理学療法を手掛けていかねばなりません。
一人ひとりの生活を支える理学療法マインドは現場で培われます。当事者と同じ目線で,同じ目標に向かってクライアントの自由裁量権を尊重しながら,理学療法士は高い専門職の視点と技術をもってアプローチしていきます。
理学療法士は専門家として数だけをこなす手際のよい熟達(routine expert)だけではなく,日々の実践を通して常に課題を考え,工夫して自らの理学療法学・技術を学ぶ熟達者(reflective expert)になる努力を惜しんではいけないと思います。
最善の理学療法の提供と自己研鑚,得意分野,得意わざを磨き続け地域に暮らす一人ひとりへの臨機応変な対応能力を示していけること,しかしその意欲はあっても学ぶ機会が少ないかもしれません。在宅での理学療法実施では頼る人が少なくそれだけに自分自身の手に持ち駒をたくさん抱えて訪問したいものです。
理学療法が身体的指向から広く社会的指向へとニーズが強まる中,科学的根拠に基づく専門職としての実践には多くの生涯教育の機会が必要です。第51回からは分科学会となり全員参加型に近い雰囲気でより一層の掘り下げた議論が進められることを願っています。
開港155年を迎えた横浜において開港記念セミナーが開催されることは私たち理学療法士にとっても意義深いものです。
神奈川県士会が担当された第14回学会「ゴールセッテイングを考える」第28回では「国際的視野に立った理学療法」1999年の本部との共同開催だったWCPT学会の「文化を超えて」そして今学会では「あなたの生活を守ります~理学療法士10万人からの提言~」をメインテーマとして横浜開催は4回を数えます。在宅医療・介護へと福祉が大きくシフトされようとしている中,幅広く理学療法を展開していかねばならない時宜を得たテーマだと思います。
来年2015年にはWCPT学会がシンガポールで開催されます。
高齢社会は東アジア共通の課題です。
10万人の理学療法士による実践の知恵を積極的に発信していこうではありませんか。
人生の長い持ち時間,個人の生き方という観点からは,今こそ「人生に年月(物理的時間)を継ぎ足すだけでなく,(延長された)年月に生命をつぎ込むことである」と説いたHラスクのQOLのあり方が大きな意味を持ちます。
私たちは生活の中に生・病・老・死に包まれて生きています。生を受けたその瞬間から死を迎えるその日まで理学療法介入の要不要は,理学療法士の医療,福祉分野での自由裁量権が広がっていく中,クライアントの潜在的な可能性を引き出す技量と厳しくもあり優しくもある理学療法マインドにかかっています。
生活の場をどこで支えるのか,生活のどの部分を支えるのか,生活の何を支えるのか,在宅生活なのか,社会生活なのか,ここでは高齢者の在宅生活について考えてみたいと思います。適正な「在宅理学療法」を提示できるのは理学療法士です。
高齢者が増加していく中で,理学療法士も増加していますが,高齢者の数は2030年前後にピークに達するのでと,呑気に構えているのではなく今,即戦力をもっている人から学ぶべき機会を作ること,大いに一人ひとりの在宅生活者のニーズに対応できるのは女性です。理学療法士の半数は女性で成り立っています。とりわけ日常の家事をこなす主婦として,子育て中の母親として,理学療法士という専門職の一人三役を果たしている経験はそれ自体,現場のリカレント教育実践なのだから長期の育児休暇をとったからと言って肩身の狭い思いをする必要はないと思います。既婚,未婚を問わず女性の細やかな気くばり,目くばり,そして理学療法士としての手くばりは在宅の生活支援を手際よく効率的に効果をあげると期待するところです。
女性は社会的志向をもって在宅支援を効率よく進めていく力を持っていると期待しています。フリーランスの立場で地道に確かな専門技術をもって活動している女性が在宅理学療法の道を開拓しつつあるのも力強いことです。
地域包括ケアシステムにおける訪問リハビリテーションには連係プレーは勿論のことチームワークによって実施されることは言うに及びませんが,チームメンバーの在宅訪問は単独の場合がほとんどです。在宅生活者の生活パターンは多様です。具体的な生活の支えかたを一人ひとりに合った方法で進め,結果を出すことは容易ではありません。生活を支える場は在宅にありますが,暮らしている環境には多くのバリアが立ちはだかっていて,医療施設下の環境とは全く異なる限られた空間の中で理学療法を手掛けていかねばなりません。
一人ひとりの生活を支える理学療法マインドは現場で培われます。当事者と同じ目線で,同じ目標に向かってクライアントの自由裁量権を尊重しながら,理学療法士は高い専門職の視点と技術をもってアプローチしていきます。
理学療法士は専門家として数だけをこなす手際のよい熟達(routine expert)だけではなく,日々の実践を通して常に課題を考え,工夫して自らの理学療法学・技術を学ぶ熟達者(reflective expert)になる努力を惜しんではいけないと思います。
最善の理学療法の提供と自己研鑚,得意分野,得意わざを磨き続け地域に暮らす一人ひとりへの臨機応変な対応能力を示していけること,しかしその意欲はあっても学ぶ機会が少ないかもしれません。在宅での理学療法実施では頼る人が少なくそれだけに自分自身の手に持ち駒をたくさん抱えて訪問したいものです。
理学療法が身体的指向から広く社会的指向へとニーズが強まる中,科学的根拠に基づく専門職としての実践には多くの生涯教育の機会が必要です。第51回からは分科学会となり全員参加型に近い雰囲気でより一層の掘り下げた議論が進められることを願っています。
開港155年を迎えた横浜において開港記念セミナーが開催されることは私たち理学療法士にとっても意義深いものです。
神奈川県士会が担当された第14回学会「ゴールセッテイングを考える」第28回では「国際的視野に立った理学療法」1999年の本部との共同開催だったWCPT学会の「文化を超えて」そして今学会では「あなたの生活を守ります~理学療法士10万人からの提言~」をメインテーマとして横浜開催は4回を数えます。在宅医療・介護へと福祉が大きくシフトされようとしている中,幅広く理学療法を展開していかねばならない時宜を得たテーマだと思います。
来年2015年にはWCPT学会がシンガポールで開催されます。
高齢社会は東アジア共通の課題です。
10万人の理学療法士による実践の知恵を積極的に発信していこうではありませんか。