第49回日本理学療法学術大会

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大会企画 » シンポジウムⅡ

未来への継続は生活を支える―意欲と行動変容―

Sat. May 31, 2014 9:40 AM - 11:10 AM 第2会場 (1F メインホール)

座長:辻下守弘(甲南女子大学看護リハビリテーション学部理学療法科)

シンポジウムⅡ

[2014] 自助力を高める共助(友の会)の役割

石川敏一 (全国脳卒中者友の会連合会)

はじめに
皆様おはようございます。まず初めに私が今日まで歩んできた道のりを簡単に報告いたします。突如として脳卒中を発症し29年間の中で混濁とした①急性期,②絶望と希望の回復期を患者として医療サービスを受けてきました。③友の会との出会い,多くの脳卒中者は,友の会の存在すら知らず,在宅生活に入っていくので,精神的落ち込みを引きずりながらの長い闘病生活に入ることになります。もしそこで友の会に巡り会ってなかったら,孤独の殻に閉じこもっていたかもしれません。さて,前置きが長くなりましたが,最も大事に事は「友の会の存在の有無」なりのであります。①の急性期の時点ではその存在は無理とし,②の回復期にその接触が有効に機能します,私の場合は比較的早く回復期リハビリテーション病院の友の会に出会うことができたので恵まれていました,その中で片マヒの先輩が様々の工夫をしながらADLを高めている姿に触発されました。さらに毎月闘病記などの原稿を持ち寄り,文集のような会報を協働作業で制作し発送までやっていました。みんなで力を合わせばかなりのことができることも発見しました。発症から2年後私の地元に脳卒中友の会(泉睦会)を仲間と共に立ち上げました。これから27年間にわたる友の会活動を通しての報告になります。地元の生活の活動の場をリハビリの本番に置くことと,そこにそれそれぞれ役割りを持つことで日常的に外出の機会が多くなり従って自分も元気になり,サークル活動も一つまた一つと増やしていきました。たとえば俳句会などは仲間の中から小学校から50年やってきた人を見つけ講師をお願いしました。仲間から気軽に教わることでハードルも低く容易に始められました。高齢の講師も仲間のために障害を乗り越え電動車いすに乗ってまで句会を応援してくれました。これは講師のためでもあったのです。脳卒中者の嗜好性または能力は千差万別で文化面の得意な人は知的なサークル,身体機能を高めたい人には軽スポーツと現在11のサークルがあります。会員は自分自身でこれらのサークルを自由に選び参加します。そしてライフワークに組み入れます「自分の心が決めたので行動につながります」まさに「こころ動けば体動く」です。特筆すべき点はことはこれらの一年間の成果として毎年区役所の区民ホールにて文化祭と称して作品展をを開催し今年は第18回目になりました。当初「書」の作品の前で右マヒの人が来て作者のコメントの中に「この書は右マヒのため左手で書きました」嘘だろうと信用しませんでした。そこで隣の部屋の実演コーナーに案内しました。一目瞭然「俺は右手がマヒしているのでダメ書けないの一点張りだった彼が「俺もやろうかな」と翌年の作品展には彼の力作も加わったのも付言しておきます。(※注,作品展写真参考)
また片手でも編める魔法の一本針を使うと片マヒでも編み物ができるようになるのですが,なぜかこれは右マヒより左マヒの方が難しいようです。そこで講師は左マヒには左マヒの先輩で右マヒには右マヒでアドバイスとこのようにいわゆるピアカウセラーになります。脳卒中者の多様性からより多くの仲間から自分に合ったケースを見つけるためにもより大きなパイすなわち友の会として対応することが必要となります。さらに担い手側に回りこれらの事業を運営する役目を持つことによりそれは本人の自立度とADL向上になることは明らかです。11のサークルに複数人の担当者と編集などの各部にも複数の役員を配し,決してお客さんに留まることなく意欲的な活動します。その姿に触れたお客さんとして参加していた人も担い手に移行していくこんな共助のサイクルを全国に発信できることに更なるパワーとなります。人の役に立てる場,地域福祉に貢献できる充実感を仲間とともに享受しています。
おわりに
したがって地域復帰の第一歩はたとえば車の運転で車を動かせても,いきなり高速道路や市街地の車社会の中には飛び込めません。リハビリを終え在宅生活で健常者のテンポには馴染めません。そこで自動車教習所や仮免許で一般道から始めます。これと同じように同病者の顔の見えるコミュニティすなわち友の会の有用性が大なのです。終わりに,私たち当事者活動にはまだまだ少なからず問題課題があります。多くの同病者のための地域の灯台として少しでも各地にしっかりした友の会を構築したいので皆様のご協力をお願いしたいのであります。ご清聴ありがとうございました。