第50回日本理学療法学術大会

講演情報

分科学会・部門 教育講演

日本支援工学理学療法学会 分科学会・部門 教育講演3

2015年6月5日(金) 10:10 〜 11:00 第2会場 (ホールC)

司会:長倉裕二(熊本保健科学大学 リハビリテーション学科)

[K-03-1] 50年に亘る義肢装具発展のあゆみと今後の展望

澤村誠志1,2 (1.兵庫県立総合リハビリテーションセンター, 2.神戸医療福祉専門学校三田校)

私が切断者のリハビリテーションに取り組み始めた1960年頃は身体障害者福祉法による義肢装具支給制度があったものの,低価格に制限され,義肢装具の製作現状は海外先進国に比較して大きく遅れをとっていた。理学療法士法の設立前であり,義肢装具に関する情報の交換をする場さえなかった。そこで,1968年に初めての日本義肢装具研究同好会を神戸で開催した。これが現在の日本義肢装具学会の発展の基礎となっている。その後,日本リハビリテーション医学会,日本整形外科学会に義肢装具委員会が設置され,「義肢装具に関する将来計画」を作成した。厚生省,労働省との連携の中で,医師の義肢装具に関する教育,義肢装具製作技術者の教育と資格制度,価格改正,義肢装具部品の標準規格化,JIS用語の作成などに取り組み,国際的にみても優れた義肢装具システムづくりができた。
一方,国際的には,我が国はISPO(国際義肢装具協会)へ参加して,1989年には厚生省をはじめ我が国の義肢装具関係機関のご協力を得て第6回ISPO世界会議を神戸で開催させていただき,素晴らしい評価をいただいた。その後,1997年にアジア義肢装具学会を発会させ,昨年には第1回の世界義肢装具教育者会議を神戸で開催し,我が国初めてのカテゴリー1の資格獲得をした。このような経緯の中で,我が国の義肢装具領域における国際的な貢献については大きな評価をいただいている。
今後の期待としては,義肢装具の特定領域におけるグローバルな立場で活動する理学療法士の育成に尽きる。私自身の苦い経験から,次世代の方々に英語能力の習得をベースに,義肢装具・リハ工学の中でライフワークとして得意の専門分野を選択して,チームアプローチの中で研究を重ね,同じ分野で活動している海外の専門職との交流を図り,生涯の友人として情報を交換しながら,世界をリードする人材養成に多くを期待したい。