[K-04-1] 理学療法学と精神医学の連携を求めて
理学療法が主に身体に障がいのある人を対象としてきたせいか,理学療法学における精神医学や,精神医学における理学療法学の意義や役割が語られる機会は少なかったように思う。演者が勤務する病院の精神神経科は,急性期の精神疾患を主な対象とする約100床の入院病床を持ち,また1日400名近くの外来患者の治療に当たっているが,理学療法士と連携する機会はかなり多い。「認知症や脳血管障害を合併する高齢者」,「自殺未遂で重篤な身体障害を負った精神疾患患者」のように明らかな身体機能の回復を目的とする症例は常に入院しているし,最近は「精神症状としての意欲低下に起因する運動不足」や,「薬剤が関係して起こる肥満」に対する運動療法でも,理学療法士の指示を仰ぐことが多い。一方,脳血管障害後のうつ状態や意欲低下,身体への受傷後の精神症状に対して,精神科医はしばしば対応を求められる。これらに共通するのは,理学療法側からみると,ゆううつ感や意欲低下,理解力低下などの精神症状によって,理学療法が円滑に進まないことであろう。一方,精神医学側からみると,精神症状との関係で,どの程度の身体への負荷が適当であるか,議論になることも少なくない。
あらためて考えると,精神科医も理学療法士も「精神症状があるから,やれるところまでやるしかない」のような限界を置きすぎている面があるようにも思う。本講演では精神科医の立場から,基本的な面接方法,精神症状のとらえ方と診断の考え方,身体への負担と精神症状の関係などをお話しし,少しでも限界の向こうがみえるものにしたいと思う。
あらためて考えると,精神科医も理学療法士も「精神症状があるから,やれるところまでやるしかない」のような限界を置きすぎている面があるようにも思う。本講演では精神科医の立場から,基本的な面接方法,精神症状のとらえ方と診断の考え方,身体への負担と精神症状の関係などをお話しし,少しでも限界の向こうがみえるものにしたいと思う。