[K-08-1] 心大血管理学療法の近未来予測
本邦における心大血管理学療法は、学会テーマにある50年には及ばないものの、過去30年で大きく変貌した。再還流療法(PCI)に代表される急性期治療や心臓外科手術などの治療技術の普及・発展は、術後の早期離床・入院期間の短縮を推し進め、心大血管理学療法の目的を臥床の弊害改善から再発予防へと大きくシフトさせた。また、病診連携や急性期医療の充実などの医療システム改革は、心大血管手術のセンター化を促すと同時に、紹介病院への迅速な逆紹介が行われるようになった。しかしながら、皮肉にも早期退院・復職を可能とするこれらの流れは、外来リハ通院への参加機会を失わせる一因となっており、冠動脈疾患再発や心不全発症などの危険性が高いまま日常生活へと復帰しているのが実状である。
これらの冠動脈疾患に加えて、現在では、加齢や動脈硬化の進展とともに発症する心不全患者も心大血管理学療法の対象となった。心不全は様々な要因で急性増悪をきたすことより、急性増悪因子の改善(再入院予防)を主目的の一つとするべきであるが、虚弱を示す症例では日常生活の自立がゴールとなっている場合が多く、再入院予防に向けた教育介入の取り組みは未だに普及していないのが実状である。我々の調査結果でも、心不全入院をきたした患者の1/3が再入院であり、再入院率は依然として高い。
2025年問題を考えるまでもなく、高齢社会の進行と相まって、心大血管理学療法の対象は増加する一方である。近未来社会の要請に応えるためには、どのような臨床を目指し、自らをどのように変革すれば良いのか。本講演ではその解を技術革新と研究に求めて考えてみたいと思う。
これらの冠動脈疾患に加えて、現在では、加齢や動脈硬化の進展とともに発症する心不全患者も心大血管理学療法の対象となった。心不全は様々な要因で急性増悪をきたすことより、急性増悪因子の改善(再入院予防)を主目的の一つとするべきであるが、虚弱を示す症例では日常生活の自立がゴールとなっている場合が多く、再入院予防に向けた教育介入の取り組みは未だに普及していないのが実状である。我々の調査結果でも、心不全入院をきたした患者の1/3が再入院であり、再入院率は依然として高い。
2025年問題を考えるまでもなく、高齢社会の進行と相まって、心大血管理学療法の対象は増加する一方である。近未来社会の要請に応えるためには、どのような臨床を目指し、自らをどのように変革すれば良いのか。本講演ではその解を技術革新と研究に求めて考えてみたいと思う。