第50回日本理学療法学術大会

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分科学会・部門 教育講演

日本スポーツ理学療法学会 分科学会・部門 教育講演9

Sat. Jun 6, 2015 8:20 AM - 9:10 AM 第5会場 (ホールB5)

司会:板倉尚子(日本女子体育大学健康管理センター)

[K-09-1] 女性アスリートのからだと健康管理

能瀬さやか, 土肥美智子, 川原貴 (国立スポーツ科学センタースポーツクリニック)

近年,女子競技の拡大や女性アスリートの活躍も影響し,競技スポーツに参加する女性のみならず,スポーツを熱心に行う一般女性も増加している。女性アスリート特有の問題を「障害予防」と「コンディション」という観点から考えてみると,今後取り組むべき課題は多い。
「障害予防」の点では,女性アスリートの三主徴である「無月経」,「エネルギー不足」,「骨粗鬆症」が問題となる。この三主徴は,2007年にアメリカスポーツ医学会が定義しており,無月経による低エストロゲンが長期間続くと疲労骨折等の障害のリスクを高めることから,産婦人科医が介入すべき問題の1つである。また,骨密度への影響のみならず無月経により妊孕能や精神面等へも影響が出る可能性がある。しかし,月経がないほうが楽と考えているアスリートはまだまだ多く,今後,アスリートに関わるスタッフを含めた教育・啓発活動が必要である。
「コンディション」の視点から考えると,月経困難症や月経前症候群はコンディションやパフォーマンスに直接影響を与える疾患である。また,月経周期に伴う心身の変化を自覚しているアスリートは多く,国立スポーツ科学センターで683名のトップアスリートを対象とした調査でも,91.0%のアスリートが月経周期とコンディションの変化を自覚していた。しかし,婦人科受診歴のあるアスリートは4%であり,これらの問題に対し十分な対策がとられていない。今後,月経対策を行うことでコンディションやパフォーマンス向上につながる可能性は十分にあり,最近活躍が目立つジュニア世代からの対策が必要である。
今回,当センターで行った調査結果をもとに三主徴に対する対策やコンディション調整を考慮した月経随伴対策を中心に概説する。