第50回日本理学療法学術大会

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モーニングセミナー

モーニングセミナー2

Sat. Jun 6, 2015 8:20 AM - 9:10 AM 第2会場 (ホールC)

司会:浅井友詞(日本福祉大学 健康科学部リハビリテーション学科理学療法学専攻)

[M-02-1] めまいは寝てては治らない―めまいのリハビリテーションの有用性と効果,その実際―

新井基洋 (横浜市立みなと赤十字病院耳鼻咽喉科)

めまいの治療には大きく分けて薬物治療,非薬物治療がある。薬物治療はすべての医師が行っているが,非薬物治療は普及していない。非薬物治療としては良性発作性頭位めまい症に対する理学療法が有名である。しかしそれ以外のめまい疾患に対する理学療法の報告はあまりなく,海外では主に理学療法士がめまいリハビリテーション(以下,めまいリハ)の有効性を報告している。米国は1300名の理学療法士が治療にあたるが,本邦の理学療法士は米国よりも遥かに少ない。今後高齢化社会に起因する加齢性平衡障害(慢性ふらつきの代表)に起因する転倒と骨折,寝たきりが増加していくと考えられる。この現状打破を医師と理学療法士の双方で取り組むべきと考える。
めまいの原因は多様であるが主な原因である前庭機能障害の回復には小脳の中枢代償が重要な役割を果たしている。この代償はめまいリハによってもたらされる。めまいリハの目的は前庭系,眼運動系,深部知覚系の三つを有効に刺激することで小脳の中枢代償を促進することである。しかし,実際にめまい患者に外来でめまいリハを勧めるとふらつきによる不安や転倒の危険などのため施行や継続するのが困難であり効果は限定されている。そこで当院では1996年から入院の上めまいリハを集団療法として治療を行ってきた。今回は当院の集団めまいリハによる治療前後の患者のめまいの改善をQOL尺度,めまいによる障害度の変化をみるDHI検査,重心動揺検査結果などを用いて治療成績を提示する。また,めまい患者は,めまいに伴う精神的不安を認め,それがめまいを難治化させる原因となっていることがあり,さらに身体疾患に伴う不安は疾患の予後に大きく影響する。当院での入院集団リハ加療によってめまいに伴う不安は改善されていくことも併せて提示し,めまい治療における身体の改善と同様に心の改善,不安,抑うつの改善も重要であることを提示する。