[O-0089] 通所リハビリテーションにおけるサービス品質が利用者満足度や運動動機に与える影響
キーワード:通所リハビリテーション, サービス品質, 利用者満足度
【はじめに,目的】
我々は第48回および第49回日本理学療法学術大会において,理学療法を含むリハビリテーションサービスを受療した患者を対象として患者満足度や運動に対する動機づけに関する報告を行った。
今回,通所リハビリテーションの利用者を対象としてサービス品質が利用者満足度や運動に対する動機づけにどのような影響を与えているのかを検討したので報告する。
【方法】
対象は,調査協力の得られた老人保健施設において通所リハビリテーション(以下,通所リハ)を利用している者51名(男性15名,女性36名,平均年齢80.0±7.4歳)であった。
調査方法は,施設職員により調査協力の依頼およびアンケート用紙の配布および回収を行った。なお,その際の回収率は64%であった。
調査内容について,サービス品質の評価はParasuramanらの開発した「サービス品質尺度(以下,SERVQUAL)」を使用した。
また,利用者満足度は,田中らが作成した「欲求充足に基づく顧客満足測定尺度(Customer Satisfaction Scale based on Need Satisfaction;以下,CSSNS)」を利用した。
さらに,利用者の運動に対する動機づけについては,大友らの先行研究をもとに「高齢者用運動動機尺度(以下,運動動機)」を用いた。
【結果】
1)性別の比較
SERVQUAL得点(平均値±SD)は,男性113.2±8.1点に対し女性111.9±15.3点で明らかな性差は認められなかった(Mann-Whitney U-test, N.S.)。
2)年齢別の比較
SERVQUAL得点(平均値±SD)は,前期高齢者(65歳~74歳)108.7±14.2点,中期高齢者(75~84歳)114.1±11.9点,後期高齢者(85歳以上)112.3±15.4点で年齢別の有意差を認めなかった(Kruskal Wallis test, N.S.)。
3)利用者満足度のサービス品質別の比較
SERVQUAL得点を平均値±1/2SDを基準に低品質群(105点以下),中品質群(106~120点),高品質群(121点以上)の3群に分類した上で,各群のCSSNS得点を比較した。結果,低品質群が19.5±2.5点に対して,中品質群21.7±2.6点,高品質群22.7±2.4点で,高品質群はCSSNS得点が有意に高値であった(Kruskal Wallis test, p<0.01)。
4)サービス品質と利用者満足度および運動動機との関係
各変数間のSpearman相関係数は,SERVQUALとCSSNS(r=0.46),CSSNSと運動動機(r=0.52)で共に中等度の相関関係を認めた(無相関の検定p<0.01)。
一方,SERVQUALと運動動機では有意な相関関係を認めなかった。
【考察】
通所リハ利用者を対象とした本研究では,サービス品質に関する性差や年齢差による特徴は明確にすることができなかった。
一方,利用者満足度をサービス品質別に比較してみると,品質が高いと認識している利用者は満足度が高い傾向にあった。
さらに,サービス品質と各変数の関係を見たところ,サービス品質と利用者満足度,利用者満足度と運動動機の2変数間に有意な相関関係を認めたことから,サービス品質は満足度を介して利用者の運動動機を間接的に高めている可能性が示唆された。
【理学療法学研究としての意義】
通所リハビリテーションにかかわる理学療法士が良質なサービスを提供することで利用者満足度やそれに伴う運動動機を高めることができることは,利用者の疾病管理や介護予防を図るうえで有意義な知見であるといえる。
我々は第48回および第49回日本理学療法学術大会において,理学療法を含むリハビリテーションサービスを受療した患者を対象として患者満足度や運動に対する動機づけに関する報告を行った。
今回,通所リハビリテーションの利用者を対象としてサービス品質が利用者満足度や運動に対する動機づけにどのような影響を与えているのかを検討したので報告する。
【方法】
対象は,調査協力の得られた老人保健施設において通所リハビリテーション(以下,通所リハ)を利用している者51名(男性15名,女性36名,平均年齢80.0±7.4歳)であった。
調査方法は,施設職員により調査協力の依頼およびアンケート用紙の配布および回収を行った。なお,その際の回収率は64%であった。
調査内容について,サービス品質の評価はParasuramanらの開発した「サービス品質尺度(以下,SERVQUAL)」を使用した。
また,利用者満足度は,田中らが作成した「欲求充足に基づく顧客満足測定尺度(Customer Satisfaction Scale based on Need Satisfaction;以下,CSSNS)」を利用した。
さらに,利用者の運動に対する動機づけについては,大友らの先行研究をもとに「高齢者用運動動機尺度(以下,運動動機)」を用いた。
【結果】
1)性別の比較
SERVQUAL得点(平均値±SD)は,男性113.2±8.1点に対し女性111.9±15.3点で明らかな性差は認められなかった(Mann-Whitney U-test, N.S.)。
2)年齢別の比較
SERVQUAL得点(平均値±SD)は,前期高齢者(65歳~74歳)108.7±14.2点,中期高齢者(75~84歳)114.1±11.9点,後期高齢者(85歳以上)112.3±15.4点で年齢別の有意差を認めなかった(Kruskal Wallis test, N.S.)。
3)利用者満足度のサービス品質別の比較
SERVQUAL得点を平均値±1/2SDを基準に低品質群(105点以下),中品質群(106~120点),高品質群(121点以上)の3群に分類した上で,各群のCSSNS得点を比較した。結果,低品質群が19.5±2.5点に対して,中品質群21.7±2.6点,高品質群22.7±2.4点で,高品質群はCSSNS得点が有意に高値であった(Kruskal Wallis test, p<0.01)。
4)サービス品質と利用者満足度および運動動機との関係
各変数間のSpearman相関係数は,SERVQUALとCSSNS(r=0.46),CSSNSと運動動機(r=0.52)で共に中等度の相関関係を認めた(無相関の検定p<0.01)。
一方,SERVQUALと運動動機では有意な相関関係を認めなかった。
【考察】
通所リハ利用者を対象とした本研究では,サービス品質に関する性差や年齢差による特徴は明確にすることができなかった。
一方,利用者満足度をサービス品質別に比較してみると,品質が高いと認識している利用者は満足度が高い傾向にあった。
さらに,サービス品質と各変数の関係を見たところ,サービス品質と利用者満足度,利用者満足度と運動動機の2変数間に有意な相関関係を認めたことから,サービス品質は満足度を介して利用者の運動動機を間接的に高めている可能性が示唆された。
【理学療法学研究としての意義】
通所リハビリテーションにかかわる理学療法士が良質なサービスを提供することで利用者満足度やそれに伴う運動動機を高めることができることは,利用者の疾病管理や介護予防を図るうえで有意義な知見であるといえる。