[O-0175] Eisenmenger症候群患者に対する長期心臓リハビリテーションの経験
Keywords:Eisenmenger症候群, 肺高血圧症, 心臓リハビリテーション
【目的】
Eisenmenger症候群とは,左右短絡の先天性心奇形が未矯正のときに起こる合併症の1つであり,左右短絡から右左短絡への逆転が生じることにより,著明な肺高血圧と低酸素症状が引き起こされる疾患である。Eisenmenger症候群に対する運動療法の報告は少なく,運動負荷量の基準はない。今回,Eisenmenger症候群を呈した症例に対して,5年という長期にわたり心臓リハビリテーション(以下心リハ)を実施する機会を得たため報告する。
【症例提示】
50代女性,1988年に肺高血圧症と診断,2006年にASDによる肺高血圧症が判明し内服開始。2009年当院循環器内科に精査入院。その際心リハを開始した。開始時,WHO分類II度,BNP 340pg/mlと上昇し,右心カテでは平均肺動脈圧(mPAP)=57mmHg,心係数(CI)=3.0L/min/m2と重度の肺高血圧を認めた。心肺運動負荷試験(CPX)ではPeak VO2=16.3ml/kg/min(54%),AT=12.2ml/kg/min,VE/VCO2 slope=55,6分間歩行距離450m,運動耐容能低下を認めていた。
【経過と考察】
心リハは外来で週2回,集団運動療法に参加,CPXの結果よりエルゴメーター15W,10分より開始し徐々に時間を延長した。有酸素運動時,自覚症状に乏しいがSpO2の低下(86→77%)があり,SpO2 80%以上を目標に酸素投与量を調節した。開始時より筋力低下は著明で,一旦改善したものの,その後徐々に低下傾向である。2014年の入院時,BNP 563pg/mlと上昇し,右心カテでmPAP=59mmHg,CI=2.3L/min/m2と心機能は低下傾向であった。一方CPXでは,PeakVO2=14.9ml/kg/min(52%),AT=10.5 ml/kg/min,VE/VCO2 slope=45.5,6分間歩行距離は460mと運動耐容能は維持されていた。現在まで,心不全増悪による入院はなく経過している。
本症例では,心リハ開始後5年が経過し,心機能は低下傾向ではあるが心事故の発生なく運動耐容能が維持できている。今後,症例数を増やし,運動負荷量の設定や治療効果について検討をする予定である。
Eisenmenger症候群とは,左右短絡の先天性心奇形が未矯正のときに起こる合併症の1つであり,左右短絡から右左短絡への逆転が生じることにより,著明な肺高血圧と低酸素症状が引き起こされる疾患である。Eisenmenger症候群に対する運動療法の報告は少なく,運動負荷量の基準はない。今回,Eisenmenger症候群を呈した症例に対して,5年という長期にわたり心臓リハビリテーション(以下心リハ)を実施する機会を得たため報告する。
【症例提示】
50代女性,1988年に肺高血圧症と診断,2006年にASDによる肺高血圧症が判明し内服開始。2009年当院循環器内科に精査入院。その際心リハを開始した。開始時,WHO分類II度,BNP 340pg/mlと上昇し,右心カテでは平均肺動脈圧(mPAP)=57mmHg,心係数(CI)=3.0L/min/m2と重度の肺高血圧を認めた。心肺運動負荷試験(CPX)ではPeak VO2=16.3ml/kg/min(54%),AT=12.2ml/kg/min,VE/VCO2 slope=55,6分間歩行距離450m,運動耐容能低下を認めていた。
【経過と考察】
心リハは外来で週2回,集団運動療法に参加,CPXの結果よりエルゴメーター15W,10分より開始し徐々に時間を延長した。有酸素運動時,自覚症状に乏しいがSpO2の低下(86→77%)があり,SpO2 80%以上を目標に酸素投与量を調節した。開始時より筋力低下は著明で,一旦改善したものの,その後徐々に低下傾向である。2014年の入院時,BNP 563pg/mlと上昇し,右心カテでmPAP=59mmHg,CI=2.3L/min/m2と心機能は低下傾向であった。一方CPXでは,PeakVO2=14.9ml/kg/min(52%),AT=10.5 ml/kg/min,VE/VCO2 slope=45.5,6分間歩行距離は460mと運動耐容能は維持されていた。現在まで,心不全増悪による入院はなく経過している。
本症例では,心リハ開始後5年が経過し,心機能は低下傾向ではあるが心事故の発生なく運動耐容能が維持できている。今後,症例数を増やし,運動負荷量の設定や治療効果について検討をする予定である。