第50回日本理学療法学術大会

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口述

参加型症例研究ディスカッション 口述2

心臓リハビリテーション

Fri. Jun 5, 2015 3:00 PM - 4:00 PM 第5会場 (ホールB5)

座長:大重匡(鹿児島大学 医学部), 田屋雅信(群馬県立小児医療センター リハビリテーション課)

[O-0177] 体外式補助人工心臓装着患者に対する心臓リハビリテーションの経験

濱村和恵1, 永吉理香1, 寺田勝彦1, 札琢磨2, 佐賀俊彦2, 谷口貢3, 福田寛二3 (1.近畿大学医学部附属病院, 2.近畿大学医学部, 3.近畿大学医学部)

Keywords:補助人工心臓, 心臓リハビリテーション, 早期離床

【目的】補助人工心臓(VAD)は末期重症心不全の治療として重要な役割を果たしている。当院でもVAD装着術施行しBTD目的の心臓リハビリテーション(心リハ)を経験したので報告する。
【症例提示】症例:53歳男性。診断名:拡張型心筋症。AHA/ACC:stageD,NYHA:IV度,INTERMACS profile2。
【経過と考察】2014年7月3日当院入院。12日呼吸器管理。29日TOYOBO社製VCT-50のVAD装着。8月20日気切。21日気管出血とポンプ内血栓あり,ROTA FLOWへ変更し抗凝固療法中止。28日呼吸器離脱。ROTA FLOW装着し端坐位開始。9月2日立ち上がり,車椅子移乗開始。14日VADに変更。25日歩行器歩行開始。VAD装着患者は早期離床,運動耐容能向上,特有のリスク管理が重要となる。VCT-50は拍動流であり,急性期では長期臥床の影響や姿勢変化により血行動態が急激に変化することや,脱水でもポンプの血液駆出が低下するためポンプ駆動状態,水分出納を確認する必要がある。抗凝固療法は早期にPT-INR3.0-4.0を目標とするが,脳出血発症率は27.4-49.3%と極めて高い。心リハ時にもPT-INRが適正範囲内にあるか,ポンプ内血栓の有無,可動性の可否を確認し,可動性があれば中止することもある。その他に送脱血管からの創部感染症にも注意し,刺入部に機械的ストレスがかからないよう,動作時に配慮が必要である。本症例はVAD装着後に呼吸リハビリテーション,関節可動域,筋力増強を実施し,基本的動作能力獲得を目標に進行した。その途中,気切後の止血,ポンプ内可動性血栓のためROTA FLOWへ変更されたが,医師,臨床工学技士,看護師と協力しROTA FLOWの送脱血管に配慮し立ち上がり,車椅子移乗へ進めた。その結果,速やかに歩行器歩行へ移行できる身体機能,動作能力を獲得できた。心リハ施行時においてVAD特有のリスク管理に注意し,早期離床図れるよう理学療法士のみならず,医師,看護師,コメディカルのチーム医療が必要不可欠である。