第50回日本理学療法学術大会

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口述

参加型症例研究ディスカッション 口述4

回復期理学療法のあり方を考える

Fri. Jun 5, 2015 5:30 PM - 6:30 PM 第5会場 (ホールB5)

座長:髙見彰淑(弘前大学大学院 保健学研究科), 松葉好子(横浜市立脳血管医療センター リハビリテーション部)

[O-0258] 認知症要介護高齢者に対する二重課題プログラムの効果

介入法方法の違いによる前向き検討

高橋一将1,2 (1.介護老人保健施設野沢の里, 2.宇都宮短期大学人間福祉学科/音楽科)

Keywords:3次予防, 認知症要介護高齢者, 二重課題

【目的】
要介護高齢者の認知症合併例は理学療法場面においても問題となる。近年,運動と学習を組み合わせた,二重課題プログラムが一次予防で一定の効果があるとの報告が散見されるが,三次予防での効果を検証した報告は少ない。当施設入所者1例を対象に,従来の介入と二重課題での介入を行い,介入の違いによる効果への影響を前向き検討した。
【症例提示】
90歳女性。在宅で独居生活中,末梢性左顔面神経麻痺にて一般病院入院。投薬にて原疾患改善したが,認知症症状出現にて独居への復帰困難。要介護申請(要介護度1)行い,当施設入所。入所時は一本杖で自立歩行可能な身体機能あるが,認知症症状が顕著であった。介入方法による効果を比較するため,期間を5週×3クール(頻度は週3回)とし,クール1:運動中心プログラム,クール2:学習中心プログラム,クール3:2重課題プログラムとして実施し,各クール終了時にHDS-R,握力(両側平均値),開眼片脚立位(両側平均値),CS-30,3mTUG,5m歩行を測定した。
【経過と考察】
HDS-R 握力 片脚立位 CS-30 3mTUG5m歩行
(初期評価)16点 8kg 2秒 6回 22.6秒 6.0秒
(クール1後)16点 8.5kg 2秒 7回 17.9秒 6.3秒
(クール2後)18点 12kg 5.5秒 7回 17.6秒 6.1秒
(クール3後)23点 13kg 2秒 9回 15.8秒 5.7秒
HDS-Rはクール1後において変化なかったが,クール2後には18点までの改善が見られ,介入期間のクール3後において23点までさらなる改善があった。運動機能もクール2後での改善に加え,片脚立位以外はクール3後に更なる改善を認め,従来の介入と比較して,二重課題プログラムの認知機能・身体機能両面への有用性が示唆される。今後,対象群を設定した複数症例における検討に発展させていきたい。