[O-0341] 当院におけるリハビリテーションスタッフを成人病棟へ配置した影響
キーワード:急性期, 在院日数, ADL
【はじめに,目的】
近年,急性期病院における病棟への療法士配置が評価されるようになり,2014年の診療報酬改定では,特定の疾患の占める割合や在宅復帰率や褥瘡発生率などの条件を満たした病棟に常勤のリハビリテーションスタッフ(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士)を専従配置し,定期的なADLの評価などの取り組みを行うと,ADL維持向上等体制加算が算定できるようになった。
当院では,患者のADLなどの情報を医師,病棟看護師などと共有することやリハビリテーションの実施状況の把握を行うことを目的に,2013年9月より一部の成人病棟にリハビリテーションスタッフを配置し,2014年4月より全成人病棟に配置した。今回,リハビリテーションスタッフを病棟配置した当院における影響について,知見を得たので考察を交えて報告する。
【方法】
当院に2013年4月1日から2014年7月31日の間に入院された方の内,小児科,新生児科,小児脳神経外科,小児外科,産科に入院された方や死亡退院された方を除く,リハビリテーション処方が出た3284例を対象とした。
リハビリテーションスタッフを2013年9月より成人病棟5病棟のうち,3病棟に療法士を配置し,2014年4月より全成人病棟に療法士の配置を行った。2013年4月1日~8月31日までを期間Aとし,2013年9月1日~2014年3月31日までを期間B,2014年4月1日~7月31日までを期間Cとした。
各期間中で,理学療法士を開始するまでの日数,在院日数,開始時FIM,終了時FIM,開始時FIMと終了時FIMの変化率を調査し,統計学的分析を行った。
【結果】
2013年9月よりリハビリテーションスタッフが配置された病棟(以下D群)では,理学療法士が開始されるまでの日数は期間Aで4.25±5.98日,期間Bで3.84±4.61日,期間Cで3.23±3.78日,在院日数は期間Aで24.5±20.7日,期間Bで22.3±20.45日,期間Cで16.3±14.6日,開始時FIMは期間Aで73.8±36.3点,期間Bで78.3±36.7点,期間Cで85.5±37.0点,終了時FIMは期間Aで87.4±37.1点,期間Bで93.0±35.9点,期間Cで97.6±34.5点,FIM変化率は期間Aで130.3±67.2%,期間Bで132.1±66.4%,期間Cで124.0±49.7%であった。
2014年4月よりリハビリテーションスタッフが配置された病棟(以下E群)では,理学療法士が開始されるまでの日数は期間Aで2.57±3.82日,期間Bで3.58±4.78日,期間Cで2.66±3.53日,在院日数は期間Aで22.7±15.6日,期間Bで23.0±16.0日,期間Cで19.4±11.4日,開始時FIMは期間Aで93.2±32.2点,期間Bで86.2±35.2点,期間Cで92.1±35.4点,終了時FIMは期間Aで103.0±27.1点,期間Bで98.3±30.6点,期間Cで101.1±29.9点,FIM変化率は期間Aで117.8±35.2%,期間Bで123.2±40.9%,期間Cで118.7±35.9%であった。
2要因の分散分析した結果,両群ともリハビリテーションスタッフを配置したことにより,有位に在院日数が短くなった。またD群では開始時FIM,終了時FIMともに有意に増加したが,E群では開始時FIM,終了時FIMともに増加傾向を示したが有意な変化ではなかった。FIM効率は両群とも有意な変化を認めなかった。
【考察】
平田ら(2010年)は理学療法士の病棟配置により在院日数の減少,ADL(Barthel Index)の向上が認められたと報告しているが,当院でも同じ傾向が認められた。また開始時FIMも有意に高くなった。これはリハビリテーションスタッフが病棟に配置されたことで,朝礼やカンファレンスに出席したことや医師や病棟看護師らと患者の入院時ADLの情報が共有でき,各療法が必要な患者を早期に発見し,処方を促すようにしたことが,開始までの日数の短縮につながり,ADLが低下していない状況から開始できるようになったと考える。さらに病棟配置のリハビリテーションスタッフが病棟でのADLに合わせたリハビリテーションをより効果的に行えた結果,終了時のADLも高くなったと考える。
【理学療法学研究としての意義】
急性期病院におけるリハビリテーションスタッフの病棟配置の影響について調査し,病棟に配置することで在日日数やADLへ良好な結果を示すことがわかった。
近年,急性期病院における病棟への療法士配置が評価されるようになり,2014年の診療報酬改定では,特定の疾患の占める割合や在宅復帰率や褥瘡発生率などの条件を満たした病棟に常勤のリハビリテーションスタッフ(理学療法士,作業療法士,言語聴覚士)を専従配置し,定期的なADLの評価などの取り組みを行うと,ADL維持向上等体制加算が算定できるようになった。
当院では,患者のADLなどの情報を医師,病棟看護師などと共有することやリハビリテーションの実施状況の把握を行うことを目的に,2013年9月より一部の成人病棟にリハビリテーションスタッフを配置し,2014年4月より全成人病棟に配置した。今回,リハビリテーションスタッフを病棟配置した当院における影響について,知見を得たので考察を交えて報告する。
【方法】
当院に2013年4月1日から2014年7月31日の間に入院された方の内,小児科,新生児科,小児脳神経外科,小児外科,産科に入院された方や死亡退院された方を除く,リハビリテーション処方が出た3284例を対象とした。
リハビリテーションスタッフを2013年9月より成人病棟5病棟のうち,3病棟に療法士を配置し,2014年4月より全成人病棟に療法士の配置を行った。2013年4月1日~8月31日までを期間Aとし,2013年9月1日~2014年3月31日までを期間B,2014年4月1日~7月31日までを期間Cとした。
各期間中で,理学療法士を開始するまでの日数,在院日数,開始時FIM,終了時FIM,開始時FIMと終了時FIMの変化率を調査し,統計学的分析を行った。
【結果】
2013年9月よりリハビリテーションスタッフが配置された病棟(以下D群)では,理学療法士が開始されるまでの日数は期間Aで4.25±5.98日,期間Bで3.84±4.61日,期間Cで3.23±3.78日,在院日数は期間Aで24.5±20.7日,期間Bで22.3±20.45日,期間Cで16.3±14.6日,開始時FIMは期間Aで73.8±36.3点,期間Bで78.3±36.7点,期間Cで85.5±37.0点,終了時FIMは期間Aで87.4±37.1点,期間Bで93.0±35.9点,期間Cで97.6±34.5点,FIM変化率は期間Aで130.3±67.2%,期間Bで132.1±66.4%,期間Cで124.0±49.7%であった。
2014年4月よりリハビリテーションスタッフが配置された病棟(以下E群)では,理学療法士が開始されるまでの日数は期間Aで2.57±3.82日,期間Bで3.58±4.78日,期間Cで2.66±3.53日,在院日数は期間Aで22.7±15.6日,期間Bで23.0±16.0日,期間Cで19.4±11.4日,開始時FIMは期間Aで93.2±32.2点,期間Bで86.2±35.2点,期間Cで92.1±35.4点,終了時FIMは期間Aで103.0±27.1点,期間Bで98.3±30.6点,期間Cで101.1±29.9点,FIM変化率は期間Aで117.8±35.2%,期間Bで123.2±40.9%,期間Cで118.7±35.9%であった。
2要因の分散分析した結果,両群ともリハビリテーションスタッフを配置したことにより,有位に在院日数が短くなった。またD群では開始時FIM,終了時FIMともに有意に増加したが,E群では開始時FIM,終了時FIMともに増加傾向を示したが有意な変化ではなかった。FIM効率は両群とも有意な変化を認めなかった。
【考察】
平田ら(2010年)は理学療法士の病棟配置により在院日数の減少,ADL(Barthel Index)の向上が認められたと報告しているが,当院でも同じ傾向が認められた。また開始時FIMも有意に高くなった。これはリハビリテーションスタッフが病棟に配置されたことで,朝礼やカンファレンスに出席したことや医師や病棟看護師らと患者の入院時ADLの情報が共有でき,各療法が必要な患者を早期に発見し,処方を促すようにしたことが,開始までの日数の短縮につながり,ADLが低下していない状況から開始できるようになったと考える。さらに病棟配置のリハビリテーションスタッフが病棟でのADLに合わせたリハビリテーションをより効果的に行えた結果,終了時のADLも高くなったと考える。
【理学療法学研究としての意義】
急性期病院におけるリハビリテーションスタッフの病棟配置の影響について調査し,病棟に配置することで在日日数やADLへ良好な結果を示すことがわかった。