[O-0346] 幼児版運動イメージ評価の開発
―信頼性の検討―
Keywords:運動イメージ, 評価, 幼児
【はじめに,目的】近年発達障害児の増加に伴い,発達障害児に対する理学療法の展開が注目されている。発達障害児の運動イメージの未熟さが指摘されているが,幼児の運動イメージを評価する方法はない。運動イメージは発達の過程のなかで,遊びを通じて身体図式を脳内で形成していくが,発達障害児は自発的な動きや気づきが少ないことで身体図式の形成の未熟さが報告されている。これは器質的に前頭葉や小脳の機能障害など,脳機能の低下により引き起こされている。運動実行される運動記憶を保存できないことも運動イメージが乏しいことや,運動のぎこちなさ(協調性の低下)に関係している。そこで今回,幼児を対象とした運動イメージ評価尺度の開発を行い,開発された評価指標の信頼性を定型発達児の運動イメージで検討した。
【方法】対象は46名(男児20名,女児26名),平均年齢4.7歳(3~8歳)とした。検査者は理学療法士1名(経験年数28年)とし,対面式で実施した。そのうち13名(男児5名,女児8名,平均年齢4.5歳;4~6歳)には同様の評価を2回実施し,評価期間は1ヶ月後とした。評価尺度は,対象児に5種類の基準姿勢(座位,長座位,四つ這い位,立位,臥位)の基本姿勢からの2段階の姿勢変化をメージさせ,これを絵カードにより回答させるものである。具体的な方法は,①基準姿勢を口頭で提示,②1段階,2段階の姿勢変化を口頭で指示,③机上の示した5枚の写真から変化後の姿勢を選択させた。姿勢変化には四肢,体幹,頸部の体位変化を含んだ。姿勢変化は,1段階では手を挙げる,足を開くなどの1動作の変化,2段階は1段階の姿勢変化からもう1つの姿勢変化した姿勢をイメージさせた。姿勢の複雑さで難易度別になっており,評価者が36点満点で評価した。分析はSPSS ver.21を利用し,年齢との関連性をPearsonの相関係数にて算出し,同一検査者が計測した評価結果の信頼性を級内相関係数ICCにて算出し,内的整合性にはCronbach’sのα係数を求めた。有意水準を5%未満とした。
【結果】今回開発した運動イメージ評価指標と年齢との相関はr=0.78と強い関連性を示した(p<0.01)。信頼性の検討を実施した結果,ICC(1,1)は0.859,ICC(1,2)は0.924と高い信頼性があった。またCronbach’sのα係数は0.829であり,高い内的整合性を示した。
【考察】運動イメージを評価する際は運動イメージの鮮明度,統御可能性の評価が挙げられる。運動イメージの鮮明度の評価ではJMIQ-R等の質問する方法もあるが幼児の使用は困難であり,幼児版の評価尺度を開発した。開発した評価尺度と年齢とに強い相関があり,年齢とともに運動イメージ能力が向上していた。幼児期に身体図式が遊びを通じて確立してくるが,3,4歳では基本動作から1動作の変化が理解できるかをイメージできる過程から,5,6歳では2動作の変化までイメージできるようになった。これは幼児期の遊びや身体運動が運動イメージを構築するために重要な時期だと考えられる。また,今回開発した運動イメージの評価方法に高い信頼性が認された。内的整合性も高く,幼児の運動イメージの評価尺度の手法として有用性があると示唆された。今回開発した評価尺度が年齢に応じた感度がよく,かつ信頼性があることが確認された。幼児の運動イメージの程度を把握するための評価尺度として有効性が示されたため,今後発達障害児の運動イメージの発達レベルの把握に使用していきたい。
【理学療法学研究としての意義】正常発達を示す児童の運動イメージの評価尺度の開発を行った。年齢と相関があり,かつ評価方法に高い信頼性を確認できた。これは今後発達障害児の運動イメージの程度の把握にもつなげていきたい。これは理学療法士が発達障害児を担当したときに,運動イメージを把握するために使用できる指標となり,運動介入の方法を考えるうえで重要な意義がある。
【方法】対象は46名(男児20名,女児26名),平均年齢4.7歳(3~8歳)とした。検査者は理学療法士1名(経験年数28年)とし,対面式で実施した。そのうち13名(男児5名,女児8名,平均年齢4.5歳;4~6歳)には同様の評価を2回実施し,評価期間は1ヶ月後とした。評価尺度は,対象児に5種類の基準姿勢(座位,長座位,四つ這い位,立位,臥位)の基本姿勢からの2段階の姿勢変化をメージさせ,これを絵カードにより回答させるものである。具体的な方法は,①基準姿勢を口頭で提示,②1段階,2段階の姿勢変化を口頭で指示,③机上の示した5枚の写真から変化後の姿勢を選択させた。姿勢変化には四肢,体幹,頸部の体位変化を含んだ。姿勢変化は,1段階では手を挙げる,足を開くなどの1動作の変化,2段階は1段階の姿勢変化からもう1つの姿勢変化した姿勢をイメージさせた。姿勢の複雑さで難易度別になっており,評価者が36点満点で評価した。分析はSPSS ver.21を利用し,年齢との関連性をPearsonの相関係数にて算出し,同一検査者が計測した評価結果の信頼性を級内相関係数ICCにて算出し,内的整合性にはCronbach’sのα係数を求めた。有意水準を5%未満とした。
【結果】今回開発した運動イメージ評価指標と年齢との相関はr=0.78と強い関連性を示した(p<0.01)。信頼性の検討を実施した結果,ICC(1,1)は0.859,ICC(1,2)は0.924と高い信頼性があった。またCronbach’sのα係数は0.829であり,高い内的整合性を示した。
【考察】運動イメージを評価する際は運動イメージの鮮明度,統御可能性の評価が挙げられる。運動イメージの鮮明度の評価ではJMIQ-R等の質問する方法もあるが幼児の使用は困難であり,幼児版の評価尺度を開発した。開発した評価尺度と年齢とに強い相関があり,年齢とともに運動イメージ能力が向上していた。幼児期に身体図式が遊びを通じて確立してくるが,3,4歳では基本動作から1動作の変化が理解できるかをイメージできる過程から,5,6歳では2動作の変化までイメージできるようになった。これは幼児期の遊びや身体運動が運動イメージを構築するために重要な時期だと考えられる。また,今回開発した運動イメージの評価方法に高い信頼性が認された。内的整合性も高く,幼児の運動イメージの評価尺度の手法として有用性があると示唆された。今回開発した評価尺度が年齢に応じた感度がよく,かつ信頼性があることが確認された。幼児の運動イメージの程度を把握するための評価尺度として有効性が示されたため,今後発達障害児の運動イメージの発達レベルの把握に使用していきたい。
【理学療法学研究としての意義】正常発達を示す児童の運動イメージの評価尺度の開発を行った。年齢と相関があり,かつ評価方法に高い信頼性を確認できた。これは今後発達障害児の運動イメージの程度の把握にもつなげていきたい。これは理学療法士が発達障害児を担当したときに,運動イメージを把握するために使用できる指標となり,運動介入の方法を考えるうえで重要な意義がある。