[O-0506] 義務教育の9年間,装具での階段昇降を学校で維持できた二分脊椎による完全対麻痺(Th10)の1症例
キーワード:二分脊椎, 完全対麻痺, 階段昇降
【目的】
二分脊椎症児における歩行能力は,麻痺レベルによりある程度決定され,年齢とともに歩行能力が後退することが多いといわれている。また,車いすを使用する児童は,学校での階段移動に難渋するケースも多い。今回,高位の麻痺であったが,義務教育の9年間学校の階段を昇降できる症例を経験したので報告する。
【症例提示】
二分脊椎による完全対麻痺(Th10),Sharrard分類でI群,Hoffer分類でhold ambulatory(日常生活には車いすを用いるが歩行練習を行っている)であった。当院受診時は6歳で小学校に行くにあたり,階段が登れないと普通学級に入れないとのことで階段の練習の希望があり外来リハ開始となる。
【経過と考察】
リハ開始当初,骨盤帯付長下肢装具で大振り歩行が監視で可能,階段は未経験。ここから夏休みや冬休み等の長期休みに成長に合わせた練習を9年間継続して行った。1年生の夏休みに階段昇降は介助にて可能となる。3年生までは大振り歩行を行っていたが,歩行時の衝撃が大きいため装具をARGO60へ変更し交互歩行練習を開始する。下肢部装具は下肢の変形と脚長差があったため従来の部品とは違うものを作成し使用した。その後,年齢,体型の変化に合わせ歩行,階段練習,装具の調整を続けながら成長に応じて必要な車いすADL練習を行い,中学1年生時にはADLは自立した。現在は車いすにて市バスを利用して一人で高等学校への通学も可能となった。装具での歩行,階段昇降も中学3年生まで継続し,床からの立ち上がりも自立できた。
今症例は,学校で階段昇降を行うため学校にいる間装具をつけて授業を受ける方法をとった。褥瘡の心配もあったが,9年間装具による褥瘡の発生はなく,逆に体幹部装具が脊柱の変形予防の役割をはたすことができた。
長期的にアプローチすることによりSharrard分類I群であっても,歩行,階段昇降を維持できる症例を経験することができた。
二分脊椎症児における歩行能力は,麻痺レベルによりある程度決定され,年齢とともに歩行能力が後退することが多いといわれている。また,車いすを使用する児童は,学校での階段移動に難渋するケースも多い。今回,高位の麻痺であったが,義務教育の9年間学校の階段を昇降できる症例を経験したので報告する。
【症例提示】
二分脊椎による完全対麻痺(Th10),Sharrard分類でI群,Hoffer分類でhold ambulatory(日常生活には車いすを用いるが歩行練習を行っている)であった。当院受診時は6歳で小学校に行くにあたり,階段が登れないと普通学級に入れないとのことで階段の練習の希望があり外来リハ開始となる。
【経過と考察】
リハ開始当初,骨盤帯付長下肢装具で大振り歩行が監視で可能,階段は未経験。ここから夏休みや冬休み等の長期休みに成長に合わせた練習を9年間継続して行った。1年生の夏休みに階段昇降は介助にて可能となる。3年生までは大振り歩行を行っていたが,歩行時の衝撃が大きいため装具をARGO60へ変更し交互歩行練習を開始する。下肢部装具は下肢の変形と脚長差があったため従来の部品とは違うものを作成し使用した。その後,年齢,体型の変化に合わせ歩行,階段練習,装具の調整を続けながら成長に応じて必要な車いすADL練習を行い,中学1年生時にはADLは自立した。現在は車いすにて市バスを利用して一人で高等学校への通学も可能となった。装具での歩行,階段昇降も中学3年生まで継続し,床からの立ち上がりも自立できた。
今症例は,学校で階段昇降を行うため学校にいる間装具をつけて授業を受ける方法をとった。褥瘡の心配もあったが,9年間装具による褥瘡の発生はなく,逆に体幹部装具が脊柱の変形予防の役割をはたすことができた。
長期的にアプローチすることによりSharrard分類I群であっても,歩行,階段昇降を維持できる症例を経験することができた。