[O-0602] 急性期脳血管リハビリテーション患者に対するADLを用いた臨床指標作成の試み
Keywords:脳血管リハビリテーション, 日常生活活動, 臨床指標(Clinical Indicator)
【はじめに,目的】
矢野らによると医療供給体制,医療経済など多角的な視点からの議論を必要とする中で,診療の質を測るための客観的な定量的指標である臨床指標(Clinical Indicator:以下CI)の導入は,リハビリテーションの質の確保,向上のために有力な手法となる。今回我々は,患者に対してリハ実施単位数,リハ開始病日とADL改善の関係性を検討し,知見を得たので報告する。
【方法】
<対象>2014年6月~8月の期間の入院患者。脳血管リハビリテーション料に該当する患者135名。性別は男性74名,女性61名。転帰は自宅退院98名,転院35名,死亡2名,平均年齢は70.5±14.2歳であった。
<方法>調査項目は診療録より,年齢,性別,1日あたりの単位数(リハ実施単位数/リハ実施日数),入院からリハ開始までの日数の平均,リハ開始日のADL能力,退院日のADL能力とした。ADL能力はBarsal Index(以下,BI)を用いて評価した。ADL能力の改善度は退院時BI点数と入院時BI点数の差とした。統計処理はExcel(2010)を使用し,重回帰モデルを求め,BI改善度の予測値(1日当たりのリハ単位数とADL改善度の重回帰係数,リハ開始病日とADL改善の重回帰係数,定数)を求めた。なお有意水準は0.16とした。
【結果】
在院日数16.1±12.7.1日当たりの実施単位数:5.4±1.3。リハ開始病日平均:2.1±2.4.ADL改善度は31.6±23.4。リハ開始日とADL改善度の偏関数:-0.05.1日当たりのリハ単位数とADL改善度はの偏関数:0.3.1日当たりのリハ単位数とADL改善度の重回帰係数:4.6。リハ開始日とADL改善度の重回帰係数:-0.5。定数:8.1。すなわち「BI改善度の予測値=1日当たりの実施単位数×4.6+リハ開始病日-0.5×8.1」となる。
【考察】
リハ開始日とADL改善度は有意水準(0.16)を下回っており有意な関係とは認めにくい。しかし,リハ単位数とADL改善度の有意水準は上回っており有意に関係性があることが示唆された。リハ単位数が増えることによって,BIの点数が改善し,ADL獲得は,同時に在宅復帰の障壁を早期に軽減する。しかし,リハ開始日とADL改善度において,早期介入であってもBIの改善は見込まれない結果となった。これは重症例によってリハ開始日が遅延,ADL改善の長期化など個別性に富んでいることが原因である。脳血管患者を1つのまとまりで考えることは限界ではないか。
今後の課題としては,精緻な臨床指標の導入に向けて症例数の増加,疾患別に細分化する必要がある。転帰先の影響も加味しなければならない。在宅復帰群も転院群ともにADL改善度は良好となる。鷲見らによると在宅復帰率の要因として,認知症・トイレ動作・介護者が挙げられる。終末期医療に関する調査より約6割以上が自宅復帰を希望している。CIを分析していく事で,早期にADLが獲得可能となり,その結果,早期在宅復帰が容易となる。
【理学療法学研究としての意義】
脳血管患者に対して在宅復帰率を向上させるエビデンスとなり,医療の質を向上させる。また,臨床指標を用いることで質の高い医療におけるプロセス・アウトカムを明確にして,何に対して医療資源をすべきか明確にさせる。
矢野らによると医療供給体制,医療経済など多角的な視点からの議論を必要とする中で,診療の質を測るための客観的な定量的指標である臨床指標(Clinical Indicator:以下CI)の導入は,リハビリテーションの質の確保,向上のために有力な手法となる。今回我々は,患者に対してリハ実施単位数,リハ開始病日とADL改善の関係性を検討し,知見を得たので報告する。
【方法】
<対象>2014年6月~8月の期間の入院患者。脳血管リハビリテーション料に該当する患者135名。性別は男性74名,女性61名。転帰は自宅退院98名,転院35名,死亡2名,平均年齢は70.5±14.2歳であった。
<方法>調査項目は診療録より,年齢,性別,1日あたりの単位数(リハ実施単位数/リハ実施日数),入院からリハ開始までの日数の平均,リハ開始日のADL能力,退院日のADL能力とした。ADL能力はBarsal Index(以下,BI)を用いて評価した。ADL能力の改善度は退院時BI点数と入院時BI点数の差とした。統計処理はExcel(2010)を使用し,重回帰モデルを求め,BI改善度の予測値(1日当たりのリハ単位数とADL改善度の重回帰係数,リハ開始病日とADL改善の重回帰係数,定数)を求めた。なお有意水準は0.16とした。
【結果】
在院日数16.1±12.7.1日当たりの実施単位数:5.4±1.3。リハ開始病日平均:2.1±2.4.ADL改善度は31.6±23.4。リハ開始日とADL改善度の偏関数:-0.05.1日当たりのリハ単位数とADL改善度はの偏関数:0.3.1日当たりのリハ単位数とADL改善度の重回帰係数:4.6。リハ開始日とADL改善度の重回帰係数:-0.5。定数:8.1。すなわち「BI改善度の予測値=1日当たりの実施単位数×4.6+リハ開始病日-0.5×8.1」となる。
【考察】
リハ開始日とADL改善度は有意水準(0.16)を下回っており有意な関係とは認めにくい。しかし,リハ単位数とADL改善度の有意水準は上回っており有意に関係性があることが示唆された。リハ単位数が増えることによって,BIの点数が改善し,ADL獲得は,同時に在宅復帰の障壁を早期に軽減する。しかし,リハ開始日とADL改善度において,早期介入であってもBIの改善は見込まれない結果となった。これは重症例によってリハ開始日が遅延,ADL改善の長期化など個別性に富んでいることが原因である。脳血管患者を1つのまとまりで考えることは限界ではないか。
今後の課題としては,精緻な臨床指標の導入に向けて症例数の増加,疾患別に細分化する必要がある。転帰先の影響も加味しなければならない。在宅復帰群も転院群ともにADL改善度は良好となる。鷲見らによると在宅復帰率の要因として,認知症・トイレ動作・介護者が挙げられる。終末期医療に関する調査より約6割以上が自宅復帰を希望している。CIを分析していく事で,早期にADLが獲得可能となり,その結果,早期在宅復帰が容易となる。
【理学療法学研究としての意義】
脳血管患者に対して在宅復帰率を向上させるエビデンスとなり,医療の質を向上させる。また,臨床指標を用いることで質の高い医療におけるプロセス・アウトカムを明確にして,何に対して医療資源をすべきか明確にさせる。