[O-0667] 栃木県脳卒中リハビリテーション提供体制実態調査
Keywords:実態調査, リハビリテーション, 指導
【はじめに,目的】高齢化の急速な進行等により,長期にわたる療養や介護を必要とする患者の増加が見込まれる中,住み慣れた地域において安心して暮らしていくためには,地域医療の充実が必要であり,患者とその家族を支援する医療リハビリテーションと介護リハビリテーションの連携や相談支援の充実も必要である。そこで,栃木県内のリハビリテーション実施状況及び医療-介護の連携等の実態を把握し,今後の本県リハビリテーション施策推進に必要な基礎資料を得ることを目的にアンケート調査を実施したので報告する。
【方法】栃木県内リハビリテーション届出施設1,334施設を対象とした。保険医療機関138機関,介護保険関連事業所1,196事業所に対し,郵送により調査票を配布し回答はFAXにて回収した。調査対象期間は平成25年10月1日~10月31日とし,調査実施期間を平成26年2月28日~3月7日とした。それぞれに対し,患者・利用者の年齢,スタッフ数,診療報酬・介護報酬の請求状況,施設間連携,患者・家族への指導,家庭でのリハビリテーション指導内容について調査した。
【結果】所在不明で返送された13施設を除いた1,321施設の内,184施設より回答を得た。保険医療機関64/137機関(回収率46.7%),介護保険関連事業所120/1,184事業所(回収率10.1%)であった。このうち医療みなし申請施設ではの回収率が5.8%と低かった。常勤スタッフは保険医療機関ではPT89.1%,OT60.9%,ST45.3%,Ns.32.8%,介護保険関連施設ではPT72.9%,OT67.1%,ST27.1%,Ns.44.3%のであった。診療報酬請求状況は運動器疾患リハビリテーション料84.4%,脳血管疾リハビリテーション料65.6%,心大血管リハビリテーション料9.4%,がん患者リハビリテーション料3.1%,院時訪問指導料12.5%,退院時リハビリテーション指導料48.4%であった。介護報酬請求状況は個別リハビリテーション加算72.9%短期集中リハビリテーション実施加算71.4%,運動機能向上加算58.6%,口腔機能向上加算20.0%,認知症短期集中リハビリテーション実施加算17.1%,であった。保険医療機関からの連携は引継ぎ37.5%,内容の照会20.3%,計画書の送付15.6%,研修会12.5%,事例検討会6.3%,特に行っていないが37.5%であった。介護保険関連事業所からの連携は内容の照会41.4%,引継ぎ34.3%,計画書の送付20.2%,研修会17.1%,事例検討会8.6%,特に行っていないが37.1%であった。家庭で出来るリハビリテーション指導は保険医療機関では機能訓練62.5%,日常生活動作59.4%,能力動作訓練48.4%,応用動作46.9%,介助方法43.4%,環境調整39.1%であった。指導方法は口頭によるものが多かった。介護保険関連事業所では日常生活動作61.4%,機能訓練52.9%,介助方法51.4%,環境調整51.4%,応用動作41.4%,能力訓練35.7%であった。指導方法は口頭によるものが多く,訪問指導も多かった。
【考察】介護保険関連事業所の内,医療みなし届出施設はリハビリテーションを実施していない施設が大半であり回収率も低かったが,それ以外での回収率は6割以上であり,大体の傾向は把握できたと思われる。保険医療機関では運動器リハ・脳血管疾患等リハの請求が大半であり,心大血管リハ・がん患者リハが少ない現状が明らかになり,疾患別リハビリテーションの充実が必要と思われる。また,退院時指導も十分ではない傾向にあり今後の課題と考える。介護保険関連事業所では短期集中リハビリテーション実施加算,個別リハビリテーション加算を実施している施設は約7割に達しているが,認知症短期集中リハビリテーション実施加算や口腔機能向上加算が少ない傾向にあり,常勤STがいる施設も少なく充足が必要と思われる。連携は文書等によるものが最も多かったが,特に行っていないという施設も多く,合同での事例検討会や研修会を開催している施設も少数であり,連携に対する課題は多い。家庭でのリハビリテーションでは訓練的指導が多く,特に保険医療機関では環境調整に関する指導が少ない傾向にあり,在宅指導の意義を再確認する必要がある。全体的に口頭による指導が多く紙面に残す方法は少ない傾向にあり,より定着するような指導方法の検討も今後の課題である。
【理学療法学研究としての意義】今回の調査の回収率は低かったものの,ある程度の傾向は把握できたと思われる。地域医療の充実や患者・利用者・家族を支援できるよう医療-介護の連携強化を図るための施策を考える上での基礎資料として有用であったと考える。
【方法】栃木県内リハビリテーション届出施設1,334施設を対象とした。保険医療機関138機関,介護保険関連事業所1,196事業所に対し,郵送により調査票を配布し回答はFAXにて回収した。調査対象期間は平成25年10月1日~10月31日とし,調査実施期間を平成26年2月28日~3月7日とした。それぞれに対し,患者・利用者の年齢,スタッフ数,診療報酬・介護報酬の請求状況,施設間連携,患者・家族への指導,家庭でのリハビリテーション指導内容について調査した。
【結果】所在不明で返送された13施設を除いた1,321施設の内,184施設より回答を得た。保険医療機関64/137機関(回収率46.7%),介護保険関連事業所120/1,184事業所(回収率10.1%)であった。このうち医療みなし申請施設ではの回収率が5.8%と低かった。常勤スタッフは保険医療機関ではPT89.1%,OT60.9%,ST45.3%,Ns.32.8%,介護保険関連施設ではPT72.9%,OT67.1%,ST27.1%,Ns.44.3%のであった。診療報酬請求状況は運動器疾患リハビリテーション料84.4%,脳血管疾リハビリテーション料65.6%,心大血管リハビリテーション料9.4%,がん患者リハビリテーション料3.1%,院時訪問指導料12.5%,退院時リハビリテーション指導料48.4%であった。介護報酬請求状況は個別リハビリテーション加算72.9%短期集中リハビリテーション実施加算71.4%,運動機能向上加算58.6%,口腔機能向上加算20.0%,認知症短期集中リハビリテーション実施加算17.1%,であった。保険医療機関からの連携は引継ぎ37.5%,内容の照会20.3%,計画書の送付15.6%,研修会12.5%,事例検討会6.3%,特に行っていないが37.5%であった。介護保険関連事業所からの連携は内容の照会41.4%,引継ぎ34.3%,計画書の送付20.2%,研修会17.1%,事例検討会8.6%,特に行っていないが37.1%であった。家庭で出来るリハビリテーション指導は保険医療機関では機能訓練62.5%,日常生活動作59.4%,能力動作訓練48.4%,応用動作46.9%,介助方法43.4%,環境調整39.1%であった。指導方法は口頭によるものが多かった。介護保険関連事業所では日常生活動作61.4%,機能訓練52.9%,介助方法51.4%,環境調整51.4%,応用動作41.4%,能力訓練35.7%であった。指導方法は口頭によるものが多く,訪問指導も多かった。
【考察】介護保険関連事業所の内,医療みなし届出施設はリハビリテーションを実施していない施設が大半であり回収率も低かったが,それ以外での回収率は6割以上であり,大体の傾向は把握できたと思われる。保険医療機関では運動器リハ・脳血管疾患等リハの請求が大半であり,心大血管リハ・がん患者リハが少ない現状が明らかになり,疾患別リハビリテーションの充実が必要と思われる。また,退院時指導も十分ではない傾向にあり今後の課題と考える。介護保険関連事業所では短期集中リハビリテーション実施加算,個別リハビリテーション加算を実施している施設は約7割に達しているが,認知症短期集中リハビリテーション実施加算や口腔機能向上加算が少ない傾向にあり,常勤STがいる施設も少なく充足が必要と思われる。連携は文書等によるものが最も多かったが,特に行っていないという施設も多く,合同での事例検討会や研修会を開催している施設も少数であり,連携に対する課題は多い。家庭でのリハビリテーションでは訓練的指導が多く,特に保険医療機関では環境調整に関する指導が少ない傾向にあり,在宅指導の意義を再確認する必要がある。全体的に口頭による指導が多く紙面に残す方法は少ない傾向にあり,より定着するような指導方法の検討も今後の課題である。
【理学療法学研究としての意義】今回の調査の回収率は低かったものの,ある程度の傾向は把握できたと思われる。地域医療の充実や患者・利用者・家族を支援できるよう医療-介護の連携強化を図るための施策を考える上での基礎資料として有用であったと考える。