[O-0697] 運動習慣の少ないCOPD患者の呼吸リハビリテーション効果
呼吸リハビリテーションの頻度の違いによる検討
Keywords:慢性閉塞性肺疾患, 運動習慣, 呼吸リハビリテーション
【はじめに,目的】
我々はアメリカ胸部疾患学会や第49回日本理学療法学術集会において,慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の3ヵ月間の短期効果と1年間の長期効果において,運動習慣や身体活動量の少ない症例は呼吸リハ効果が少なくなることを報告し,運動習慣や身体活動量が呼吸リハ効果に関係していることを報告した。しかし,身体活動量だけが呼吸リハ効果に関与しているのか臨床において疑問に感じる。そこで今回,運動習慣の少ないCOPDに対し,呼吸リハ回数の頻度で呼吸リハ効果に変化があるか調査した。
【方法】
対象は3ヵ月通院可能であったCOPD患者28例中(年齢は75.6±8.2歳,FVCは2.3±0.4L,%FVCは82.2±18.3%,FEV1.0は1.4±0.5L,%FEV1.0は62.9±24.0%,FEV1.0%は59.1±18.4%),週に2回呼吸リハを実施している群15例と週1回呼吸リハを実施している群13例である。なお,呼吸リハの内容は,全身持久力トレーニングや筋力トレーニングなどの運動療法や呼吸筋ストレッチ・呼吸練習などのコンディショニングなどを実施している。測定項目は,症状評価(modified Medical Reseach Council scale(mMRCスケール),COPD Assessment Test(CAT)),筋力評価(呼気筋力(MEP),吸気筋力(MIP),膝伸展筋力体重比(%膝伸展筋力)),運動耐容能評価(6分間歩行距離テスト(6MWT),incremental Shuttle Walking test(ISWT)),ADL評価(The Nagasaki University Respiratory ADL questionnaire(NRADL)),QOL評価(St.George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)),精神評価(Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS不安,欝))とした。統計解析方法は,各群の初期評価と3ヵ月後の比較を対応のあるサンプルのt検定で行った。なお,帰無仮説の棄却域は有意水準5%未満とし,解析にはSPSSver21.0を使用した。
【結果】
呼吸リハの頻度が週2回群の初期から3ヵ月間の経過は,mMRCスケール2.6±1.2→2.1±1.0(p<0.05),CAT18.1±8.4点→14.3±8.0点(p<0.05),MEP83.6±45.5cmH2O→95.8±39.8cmH2O(p=ns),MIP45.7±22.9cmH2O→50.3±24.7cmH2O(p<0.05),%膝伸展筋力52.1±15.2kgf→57.6±16.6kgf(p<0.05),6MWT258.0±111.1m→325.3±125.2m(p<0.001),ISWT258.7±153.1m→302.7±165.4m(p<0.001),NRADL70.7±22.5点→74.8±23.1点(p<0.05),SGRQ53.7±17.9点→47.5±16.5点(p<0.05),HADS不安7.0±3.5点→5.3±2.6点(p=ns),HADS鬱6.9±2.1点→6.5±2.3点(p=ns)であった。
呼吸リハの頻度が週1回群の初期から3ヵ月間の経過は,mMRCスケール2.1±0.6→1.9±0.9(p=ns),CAT16.9±8.5点→15.1±9.9点(p=ns),MEP83.4±33.0cmH2O→87.2±29.0cmH2O(p=ns),MIP55.6±20.1cmH2O→61.3±23.7cmH2O(p=ns),%膝伸展筋力44.8±10.8kgf→50.0±11.6kgf(p=ns),6MWT317.7±93.6m→329.2±103.0m(p=ns),ISWT236.2±93.6m→253.9±96.5m(p=ns),NRADL73.9±20.8点→75.6±19.8点(p=ns),SGRQ43.4±18.1点→44.2±22.9点(p=ns),HADS不安5.2±2.8点→5.0±3.1点(p=ns),HADS鬱7.9±2.9点→6.4±3.0点(p<0.05)であった。
【考察】
今回,運動習慣が少なくかつ呼吸リハの頻度が週2回のCOPD群は,症状,筋力,運動耐容能,ADL,QOLに有意に改善がみられた。一方,運動習慣が少なくかつ週1回の呼吸リハを実施しているCOPD群は,HADS鬱に有意な改善がみられたが,その他の項目は維持傾向を示す結果になった。運動習慣が少ないCOPDは,日常生活で活動していないことが予測されるも,週2回の呼吸リハは,活動量を若干であるが補えていること,また,運動療法による運動負荷や頻度により,症状や身体機能の改善されていることが示唆された。一方,運動習慣が少なく週1回呼吸リハを実施している群は,日常での活動量が少ないことや運動療法による運動負荷や頻度も少ないことから,身体機能の改善や息切れの軽減に至らなかったと考えた。
【理学療法学研究としての意義】
本研究は,身体活動量が少ないと予測される運動習慣が少ないCOPDに対し,呼吸理学療法の回数がどう影響を及ぼすのかを客観的に検証した研究である。本研究結果は,呼吸理学療法の機能改善の重要なアセスメントとなる研究であると考えられる。
我々はアメリカ胸部疾患学会や第49回日本理学療法学術集会において,慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の3ヵ月間の短期効果と1年間の長期効果において,運動習慣や身体活動量の少ない症例は呼吸リハ効果が少なくなることを報告し,運動習慣や身体活動量が呼吸リハ効果に関係していることを報告した。しかし,身体活動量だけが呼吸リハ効果に関与しているのか臨床において疑問に感じる。そこで今回,運動習慣の少ないCOPDに対し,呼吸リハ回数の頻度で呼吸リハ効果に変化があるか調査した。
【方法】
対象は3ヵ月通院可能であったCOPD患者28例中(年齢は75.6±8.2歳,FVCは2.3±0.4L,%FVCは82.2±18.3%,FEV1.0は1.4±0.5L,%FEV1.0は62.9±24.0%,FEV1.0%は59.1±18.4%),週に2回呼吸リハを実施している群15例と週1回呼吸リハを実施している群13例である。なお,呼吸リハの内容は,全身持久力トレーニングや筋力トレーニングなどの運動療法や呼吸筋ストレッチ・呼吸練習などのコンディショニングなどを実施している。測定項目は,症状評価(modified Medical Reseach Council scale(mMRCスケール),COPD Assessment Test(CAT)),筋力評価(呼気筋力(MEP),吸気筋力(MIP),膝伸展筋力体重比(%膝伸展筋力)),運動耐容能評価(6分間歩行距離テスト(6MWT),incremental Shuttle Walking test(ISWT)),ADL評価(The Nagasaki University Respiratory ADL questionnaire(NRADL)),QOL評価(St.George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)),精神評価(Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS不安,欝))とした。統計解析方法は,各群の初期評価と3ヵ月後の比較を対応のあるサンプルのt検定で行った。なお,帰無仮説の棄却域は有意水準5%未満とし,解析にはSPSSver21.0を使用した。
【結果】
呼吸リハの頻度が週2回群の初期から3ヵ月間の経過は,mMRCスケール2.6±1.2→2.1±1.0(p<0.05),CAT18.1±8.4点→14.3±8.0点(p<0.05),MEP83.6±45.5cmH2O→95.8±39.8cmH2O(p=ns),MIP45.7±22.9cmH2O→50.3±24.7cmH2O(p<0.05),%膝伸展筋力52.1±15.2kgf→57.6±16.6kgf(p<0.05),6MWT258.0±111.1m→325.3±125.2m(p<0.001),ISWT258.7±153.1m→302.7±165.4m(p<0.001),NRADL70.7±22.5点→74.8±23.1点(p<0.05),SGRQ53.7±17.9点→47.5±16.5点(p<0.05),HADS不安7.0±3.5点→5.3±2.6点(p=ns),HADS鬱6.9±2.1点→6.5±2.3点(p=ns)であった。
呼吸リハの頻度が週1回群の初期から3ヵ月間の経過は,mMRCスケール2.1±0.6→1.9±0.9(p=ns),CAT16.9±8.5点→15.1±9.9点(p=ns),MEP83.4±33.0cmH2O→87.2±29.0cmH2O(p=ns),MIP55.6±20.1cmH2O→61.3±23.7cmH2O(p=ns),%膝伸展筋力44.8±10.8kgf→50.0±11.6kgf(p=ns),6MWT317.7±93.6m→329.2±103.0m(p=ns),ISWT236.2±93.6m→253.9±96.5m(p=ns),NRADL73.9±20.8点→75.6±19.8点(p=ns),SGRQ43.4±18.1点→44.2±22.9点(p=ns),HADS不安5.2±2.8点→5.0±3.1点(p=ns),HADS鬱7.9±2.9点→6.4±3.0点(p<0.05)であった。
【考察】
今回,運動習慣が少なくかつ呼吸リハの頻度が週2回のCOPD群は,症状,筋力,運動耐容能,ADL,QOLに有意に改善がみられた。一方,運動習慣が少なくかつ週1回の呼吸リハを実施しているCOPD群は,HADS鬱に有意な改善がみられたが,その他の項目は維持傾向を示す結果になった。運動習慣が少ないCOPDは,日常生活で活動していないことが予測されるも,週2回の呼吸リハは,活動量を若干であるが補えていること,また,運動療法による運動負荷や頻度により,症状や身体機能の改善されていることが示唆された。一方,運動習慣が少なく週1回呼吸リハを実施している群は,日常での活動量が少ないことや運動療法による運動負荷や頻度も少ないことから,身体機能の改善や息切れの軽減に至らなかったと考えた。
【理学療法学研究としての意義】
本研究は,身体活動量が少ないと予測される運動習慣が少ないCOPDに対し,呼吸理学療法の回数がどう影響を及ぼすのかを客観的に検証した研究である。本研究結果は,呼吸理学療法の機能改善の重要なアセスメントとなる研究であると考えられる。