第50回日本理学療法学術大会

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口述

口述104

地域理学療法9

Sun. Jun 7, 2015 12:00 PM - 1:00 PM 第8会場 (ガラス棟 G402)

座長:久富ひろみ(多摩市役所 健康福祉部障害福祉課)

[O-0777] 医療法第42条施設の入会者の特徴について

森井裕太1 (1.医療法人和幸会メディタスゼロフィット, 2.医療法人和幸会阪奈中央病院リハビリテーション科)

Keywords:医療法第42条施設, 健康増進, 一次予防

【はじめに,目的】
医療法第42条施設(以下メディカルフィットネスジム)は,医療法人が生活習慣病予防のために有酸素運動を行う施設である。当施設は,2014年4月1日に開設。常勤スタッフとして2名の理学療法士がトレーナーとしての位置づけで運動指導を行っている。その他,健康運動指導士や健康運動実践指導者,ヨガ,ピラティス,エアロビクスインストラクターなど非常勤を含め計20名で運営している。疾病を予防することを目的とした施設であるため,病院所属の医師,看護師,理学療法士等のリハビリテーションスタッフ,管理栄養士と連携をとり,効果的かつ安全な運動処方が可能としている。
入会者は,事前にアンケートで既往歴や服薬等について調査し,心疾患等のリスクを把握。入会時に運動するにあたり,医師に相談が必要な場合は,医師に実施可否を確認し,自己の意志で参加していただいている。そこで本研究では,メディカルフィットネスジムへ入会する方の特徴を,入会時のアンケートから後方視的に調査し,メディカルフィットネスジムにおける理学療法士の関わり方について報告する。

【方法】
平成26年10月31日までに入会した会員,男性197名,女性332名の入会時に運動歴,生活習慣,現在の健康状態について(通院歴や手術歴),心疾患リスクを把握するために運動に関する危険度チェック,利用する目的を記載していただいたアンケート内容を元に,年齢層,入会時の有病率,利用する目的,運動歴,後方視的に調査した。

【結果】
年齢層については,~19歳が19名,20~29歳が62名,30~39歳が71名,40~49歳が114名,50~59歳が90名,60~69歳が103名,70~79歳が68名,80~89歳が7名であり,65歳以上の会員が122名と全体の23%であった。有病率は37%で内訳は内科疾患68.5%,整形外科疾患9.5%,中枢疾患8% その他14%であった。また20名が,入会時に医療保険下でのリハビリテーション(入院,通院を含め)を受けた経験があった。利用する目的としては,65歳以下の入会者では,『ダイエット』,『メタボ改善』,『肩こり腰痛改善』が選ばれた。65歳以上の入会者では,『健康増進』,『肩こり腰痛改善』が多く選ばれた。また特記事項として膝痛,腰痛などの訴えを記入があった。運動歴は男性会員の70%,女性会員の64%が現在運動習慣がないと記入があった。

【考察】
アンケートの結果より,年齢層は40~49歳が最も多かった。理由としては職場での健診等でメタボリックシンドロームと診断され医師より運動を勧められたという方が多く,メタボ予防,ダイエット目的の方が中心的な関心事項であることが考えられる。65歳以上の方の入会目的は『健康増進』が多く,膝痛,腰痛など有痛性関節疾患があり,悪化を恐れて,一般のフィットネスジムではなく,メディカルフィットネスを選び入会したことが考えられる。また当施設半径1km以内には,運動する場所は少なく,運動初心者が多く入会したことが考えられる。医療保険下でのリハビリテーション後の運動を継続するために担当していた理学療法士より紹介された会員も存在し,理学療法士が常勤しているという点で入会を選んだ可能性もあると考えられる。

【理学療法学研究としての意義】
医療法第42条施設は病院や診療所に併設する健康増進施設であり,最近では,理学療法士が施設の管理・運営業務に携わったり,現場において専門性を活かした運動指導を行ったりと増えつつある。入会時のアンケート調査により,運動したいが,運動することへの不安を抱えた方が存在し,理学療法士が専門的な運動指導を行う必要性が示唆された点は,本研究の意義も大きいと考えられる。今後,健康増進や一次予防といった分野は,理学療法士の新たな職域として,十分活躍できる分野であり,継続して運営,データ収集を行い効果判定を行っていきたい。