第50回日本理学療法学術大会

講演情報

口述

参加型症例研究ディスカッション 口述13

治療機器・生活支援

2015年6月7日(日) 14:20 〜 15:20 第3会場 (ホールB7(1))

座長:斉藤秀之(筑波記念病院 リハビリテーション部), 廣瀬秀行(元 国立障害者リハビリテーションセンター研究所)

[O-0842] MRSA感染により人工膝関節を抜去したRA患者における住宅改修

藤本晶子1, 久野幹大1, 松尾絹絵1, 中川夏子2, 八木範彦3 (1.一般財団法人甲南会甲南加古川病院リハビリテーション部, 2.一般財団法人甲南会甲南加古川病院リウマチ膠原病センター, 3.甲南女子大学看護リハビリテーション学部理学療法学科)

キーワード:住宅改修, 関節リウマチ, 人工膝関節

【目的】
今回,MRSA感染により人工膝関節を抜去したRA患者において住宅改修を実施し,5年後の状況を知る機会を得たので報告する。

【症例提示】
70歳代,女性,1998年発症のRA,Steinbrocker分類stageIV,class3。H11年に左肘関節滑膜切除術,H12年に右肘関節滑膜切除術を施行。H20年11月に左TKAを施行後,MRSA感染により関節内洗浄するも敗血症を起こし,人工透析を施行。翌年1月に人工関節を抜去。左膝は伸展位となり,不安定性により動作時に疼痛が出現。長下肢装具を作製し,立位・移乗は自立したが,患肢に荷重できず歩行は困難,移動は標準型車椅子の上肢駆動となった。入院前のBarthel Indexは100点,家事も全て可能であったが,70点へADLは低下し,退院にむけ住宅改修を行った。トイレ動作の自立,また本人の調理・洗い物をしたいと強い希望があったため,トイレでは左膝伸展位・非荷重でも立ち座りできるよう補高便座・手すりを設置した。また車椅子でも使用できる流し台を導入した。

【経過と考察】
5年後に住宅訪問を行った。トイレ動作は手すり把持し,右下肢荷重であるが疼痛はなく,立位・立ち座りは自立していた。しかし,半年で上肢の機能低下がみられ電動車椅子へ変更,調理・洗い物はできなくなっていた。車椅子の通行スペースを広くとっていたため電動車椅子でも移動は可,流し台は洗面として利用できていたが,改修時に機能低下が予測できなかった。上肢駆動,左膝伸展位・非荷重での立ち座りを自立させることで上肢への負担が大きくなることは予測されたので,改修時に電動車椅子の提案が必要であったと考える。現在の機能だけでなく,今後の機能低下を予測し,ADL全体をみて改修内容を提案できることが大切であると感じた。