第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

症例研究 ポスター2

神経/脳損傷2

2015年6月5日(金) 11:20 〜 12:20 ポスター会場 (展示ホール)

[P1-A-0047] パフォーマンステスト,HHDによる筋力測定の経時的変化を捉えた脳卒中片麻痺患者の一症例

田津原佑介, 中口拓真, 岡泰星, 浅見岳志, 林京平 (貴志川リハビリテーション病院)

キーワード:パフォーマンステスト, Hand-Held Dynamometer, 脳卒中片麻痺患者

【目的】脳卒中片麻痺患者のパフォーマンステストとHand-Held Dynamometer(HHD)による筋力測定にて経時的変化を捉え,パフォーマンステストに影響する筋力の推定を本研究の目的とする。
【症例提示】症例は右中大脳動脈梗塞により左片麻痺を発症され,回復期病棟に入院中の68歳,男性であった。BRST下肢:Vであり,著明なROM制限や感覚障害は認めなかった。歩行では左遊脚期の短縮,左立脚中期から後期での体幹・骨盤の前傾・左回旋により不安定であった。T字杖歩行が見守りとなった時点を初期評価(56病日目)とし,T字杖歩行の自立までに10日ごとの再評価を実施した。評価項目は,パフォーマンステストとしてBerg Balance Scale(BBS)・Stroke Physical Performance Test(SPPS)・10mMWSを採用し,筋力評価としてHHDにて規定の測定肢位を採用し,体幹屈曲・伸展,左股関節屈曲・伸展・外転,左膝関節伸展,左足関節底屈を測定した。理学療法は3~5単位/1日で,上記評価を参考に筋力強化や動作練習を実施した。
【経過と考察】理学療法介入により,歩行の安定性が向上し初期評価から20日後(最終評価)で病棟内T字杖歩行を自立とした。改善率はBBS:28.6%(35→46点),SPPS:36.1%(61→83点),10mMWS:145.8%(0.24→0.59m/s)であり,HHDは体幹屈曲:42.9%(142.2→203.2N),体幹伸展:52.5%(135.3→206.3N),股関節屈曲:70.7%(73.5→125.5N),股関節伸展:3.2%(156.9→161.9N),股関節外転:50.4%(93.2→140.2N),膝関節伸展:40.7%(104.9→147.6N),足関節底屈:7.7%(213.7→230.2N)であった。パフォーマンステストの改善に影響が大きい筋力として,股関節屈曲・外転,体幹屈曲・伸展,膝関節伸展が挙げられた。特に股関節屈曲筋の改善率が大きく,麻痺側下肢拳上能力の向上がBBS・SPPS・10mMWSの改善とADLの自立に影響したことが示唆された。