第50回日本理学療法学術大会

Presentation information

ポスター

症例研究 ポスター4

神経/脳損傷4

Fri. Jun 5, 2015 11:20 AM - 12:20 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P1-A-0060] Stiff person症候群に対しバクロフェン髄腔内投与療法と理学療法早期介入により歩行が改善した一症例

加藤大悟1, 石橋功1, 野村健太2, 吉田亘佑2 (1.独立行政法人国立病院機構旭川医療センターリハビリテーション科, 2.独立行政法人国立病院機構旭川医療センター神経内科)

Keywords:硬直, 早期介入, 歩行の改善

【目的】
Stiff person症候群(以下SPS)は全身の筋痙攣と硬直を呈し,脳幹および脊髄介在ニューロンを病変部位とする慢性進行性の極めて稀な症候群である。今回SPS患者の理学療法を経験したので報告する。
【症例提示】
60代男性。入院10日前,仕事中に両下肢が突然こむら返りを起こし転倒。その後より両下肢がつっぱり,歩行も困難となり精査目的に入院となった。
【経過と考察】
7病日より理学療法介入開始した。筋硬直状態により随意運動不能,易刺激性で音刺激及び皮膚刺激で有痛性筋痙攣が誘発される状態であった。開始時Modified Ashworth Scale:以下MAS(右/左)は股関節外転4/4,膝関節屈曲4/4,足関節背屈4/4,頚部4,体幹4であった。ROM(右/左)は股関節屈曲70/70,伸展-10/-10,外転20/20,膝関節伸展-10/-10,足関節背屈0/0であった。ADLはBarthel Index:以下BIで0点,全介助であった。理学療法は介入刺激が逆効果にならないように二次障害予防目的で開始し,67病日で基本動作自立,BI85点,歩行は軽介助にて50m程度,10m歩行速度は13.2m/min,歩行率81steps/minとなった。72病日ITB pump埋め込み術施行。術後約3週間で,BI85点,階段昇降動作,洗髪動作,靴下着脱動作のみ介助レベル,歩行は独歩にて200m程度可能となり自宅への転帰となった。その後ITBリフィル,リハビリ目的にて入退院を繰り返し,術後9ヶ月後MAS(右/左)は股関節外転1/1,膝関節屈曲1/2,足関節背屈2/2,頚部3,体幹2,ROM(右/左)は股関節屈曲100/100,伸展0/0,外転35/30,膝関節伸展0/0,足関節背屈10/10であった。BI100点,歩行は1km以上可能,10m歩行速度は75m/min,歩行率141steps/minであった。SPSの理学療法の報告はほとんどない。今回我々は,ITB pump埋め込み術前から理学療法の早期介入,客観的な評価が施行でき,二次障害の予防,歩行レベルの改善を図ることができた。