第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

調査研究 ポスター1

調査研究

2015年6月5日(金) 11:20 〜 12:20 ポスター会場 (展示ホール)

[P1-A-0074] 入院時アルブミン値と退院時アウトカムの関連性に関する調査研究

回復期脳卒中患者における検討

佐藤惇史1, 藤田貴昭2, 大橋拓朗1, 西山和貴1, 山根和広1, 片平安美1, 遠藤征彦1, 大橋悠司1, 鈴木大介1, 山本優一1 (1.北福島医療センター, 2.東北福祉大学)

キーワード:血清アルブミン, 回復期, 脳卒中

【目的】
近年,栄養状態の指標とされる血清アルブミン値(ALB)とリハビリテーション(リハ)効果の関連性を指摘した報告が散見されるようになり,回復期脳卒中患者の入院時ALBは,退院時の移動能力,Functional Independent Measure運動項目(FIMm),在宅復帰など様々な退院時アウトカムに関連することが報告されている。しかし,これらのアウトカムやALBには,年齢や入院時の機能状態が強く関連するため,ALBが単独で退院時アウトカムに与える影響を調べるためには,種々の交絡因子を排除することが必要である。そこで本研究では偏相関分析を用いて交絡因子を調整することで,入院時ALBが単独でADLや心身機能の退院時アウトカムに与える影響を検討した。
【方法】
対象は脳梗塞,脳出血と診断され,当院回復期リハ病棟に入院した59名とした。カルテより年齢,ALB,Berg Balance Scale(BBS),Stroke Impairment Assessment Set(SIAS),Vitality Index(VI),FIMm,FIM認知項目(FIMc)を収集した。入院時ALBと各項目の退院時得点および入院から退院までの利得の関連性を,Spearmanの順位相関と偏順位相関を用いて分析した。偏相関分析では各項目の入院時得点と年齢を制御因子として分析した。有意水準は5%とした。
【結果と考察】
相関分析の結果,入院時ALBと退院時BBS,SIAS,VI,FIMm,FIMc,BBS利得,FIMm利得の間に相関が認められた。一方,偏相関分析では,ALBと全ての項目の間に相関は認められなかった。本研究の結果は,相関分析で認められた入院時ALBと退院時アウトカムの相関は疑似相関である可能性があり,同時に入院時ALB値は直接的に退院時アウトカムに関連しない可能性を示唆するものである。今後,更なる検討が必要である。