第50回日本理学療法学術大会

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調査研究 ポスター1

調査研究

2015年6月5日(金) 11:20 〜 12:20 ポスター会場 (展示ホール)

[P1-A-0080] 支援機器臨床評価データベースの構築に向けた予備的調査

白銀暁 (国立障害者リハビリテーションセンター)

キーワード:支援機器, 福祉機器, 臨床評価

【目的】支援機器の利用は,障害者・高齢者の生活を助けて豊かなものにする。しかし,実際にはそれほど利用は進んでいない。この問題には様々な要因が関与しており,容易に改善が見込めない。その中で,我々は開発研究における客観的評価の不足に着目する。これまでの支援機器開発の主要な研究デザインは,当事者の試用とその主観的評価であった。このような手法はバイアスが入りやすく,機器の性能や効果の説得力に欠けた。今後の利用促進のためには,科学性を担保したデザインによる客観的な評価手法が普及しなければならない。そのためには,概念的な整理と共に具体例の提示が有効と考えられることから,文献調査による過去の報告の整理を我々は目指している。本研究の目的は,今後のデータベース構築に向けて調査項目を試作し,抽出サンプルに適用して課題等の確認を行うことである。

【方法】研究法関連書籍や,日本生活支援工学会倫理審査委員会の「支援機器の実証試験-倫理審査申請の手引き」等を参考に,ISO9999による支援機器分類,支援機器実証試験の相分け,研究デザイン等を含む調査項目を試作した。Journal of Rehabilitation Research & Developmentに2013年に掲載された計121本の論文を対象に,試作した調査項目を用いて予備的調査を実施した。

【結果と考察】支援機器の臨床評価関連研究として,23本が該当した。ISO分類は,医療用具6,義肢装具11,パーソナルケア関連用具1,移動機器4,コミュニケーション・情報支援用具1であった。実証試験の相分けとしては第4相が15本と市販製品の評価が多数を占め,研究デザインとしてはランダム化比較対照試験が3件で強力なデザインは少ないことなどが把握できた。今後の調査に向けた課題として,臨床評価研究に該当するかの判断が難しい論文や,エンドポイントがわかりづらい論文があり,複数名で調査を実施した際などに注意を要することなどが明らかになった。