第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

調査研究 ポスター2

神経理学療法

Fri. Jun 5, 2015 11:20 AM - 12:20 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P1-A-0082] 脳血管障がい者に対するインソール使用時の即時的変化

シングルケースABAデザインでの比較

今井大樹, 三上英里子 (医療法人ひまわり会札樽病院)

Keywords:脳血管障がい, 足部, インソール

【目的】当院では靴のフィッティング,インソールを用いたアプローチを導入しており,脳血管障がい者も対象としている。脳血管障がい者への使用報告は少なく,歩行の質を向上するには,足部への着目も必要であると感じる。そこで今回,脳血管障がい者一症例に対しインソールを作製し,即時的な変化を3日間調査したため報告する。
【方法】症例は,2014年6~10月まで回復期病棟に入院した50代男性患者,左脳梗塞右片麻痺(Brunnstrom stage:上肢IV手指III下肢IV)。調査時は院内独歩にてADL自立,上下肢手指共にstageVIであった。シングルケースデザイン(ABAデザイン)にて,A:インソール使用,B:インソール未使用,A’:インソール再使用での左右片脚立位時間(最大10秒に設定),10m歩行(至適速度:時間,歩数,速度)を計測。計測前には足サイズ計測・フットプリント採取を行い,NPOオーソティックスソサエティーが規定する方法に則り,靴のフィッティング,DYMOCOインソールを作製。また,ABA’計測後にVASにて歩きやすさを確認した。計測は3日間同じ方法,時間帯で行った。なお,入院中のリハビリは,1日平均6単位以上を行っている。
【結果と考察】3日間平均として,麻痺側片脚立位(秒):A9.03,B7.97,A’10.00,非麻痺側片脚立位(秒):A9.40,B10.00,A’10.00,歩行時間(秒):A7.56,B7.82,A’7.59,歩行歩数(歩):A16.0,B16.6,A’16.1,速度(m/min):A1.324,B1.279,A’1.318,VAS(cm):A7.10,B3.87,A’7.43であり,A・A’とBに差がみられ,A・A´の値は3日間とも近い値であった。また,使用前後で即時的に変化し,特にVASは差が大きかった。数値差は大きくないが,一日ごとの結果の傾向は似ており,脳血管障がい者でもインソールの使用により,即時的な変化が期待できるのではないか。また,主観的な変化が大きいことから,歩きやすさが歩行の質や意欲へ関与する可能性もあると考える。