[P1-A-0332] 回復期病棟入院中に誤嚥性肺炎を発症した経口群と非経口群の特徴
キーワード:誤嚥性肺炎, 脳血管疾患, 回復期病棟
【はじめに,目的】
前回,当院における脳血管疾患患者の誤嚥性肺炎発症の特徴について考察を行った。入院中に誤嚥性肺炎を発症している患者の中には,誤嚥性肺炎を発症しながらも,経口摂取に至った患者と経口摂取に至らなかった患者がいる。今回,当院における経口摂取に至った患者と経口摂取を至らなかった患者の特徴を,それぞれ考察を行ったので報告する。
【方法】
H24年度,H25年度に当院回復期病棟に入院した脳血管疾患患者で誤嚥性肺炎を発症した14名を退院時の食形態により,経口群(9名)非経口群(5名)に分け,1,併存疾患,2,摂食・機能障害の臨床的病態重症度に関する分類(以下嚥下重症度),3,反復唾液飲み込みテスト(以下RSST),4,入院時運動FIM項目,5,座位保持介助量について後方視的に調査を行った。
【結果】
1,併存疾患では,経口群,非経口群どちらも心不全や腎不全など内科的疾患を有している患者や,今回入院理由である脳血管疾患以外の脳血管疾患や中枢神経系疾患を有している患者が多かった。
2,嚥下重症度では,経口群・非経口群ともに大きな違いは見られなかった。
3,RSSTでは,経口群では30秒間に3回行えた患者が2名,2回行えた患者が2名,1回行えた患者が4名,行えなかった患者が1名であった。非経口群では,1回のみ行えた患者が1名,行えなかった患者が4名と非経口群の方が低値の結果となった。
4,入院時運動FIM合計平均では,経口群35.1点,非経口群22.6点であった。特に項目で比べると,食事項目では,経口群4.3点,非経口群1点。更衣上衣項目では,経口群2.8点,非経口群2点。整容では,経口群4.2点,非経口群2.2点となり,全般的に非経口群が低値となった。
5,座位保持介助量では,経口群では重度介助であった者が1名であったのに対し,自立もしくは監視から軽度介助であった患者が8名だった。非経口群では,逆に,自立していた者が1名のみで,その他の4名は中等度から重度介助と非経口群の方が,介助量が多い結果となった。
【考察】
小山の報告によると,高齢者にとって脳血管障害,中枢神経系変性疾患(パーキンソン病など),認知症,糖尿病,口腔・咽頭の不衛生,胃食道逆流,意識レベルの低下が誤嚥性肺炎のリスクを高める要因となると報告がある。また,一般に誤嚥性肺炎の予防には,口腔ケアと食事中の姿勢や夜間臥位の姿勢調節が重要になると言われている。
今回の結果では,嚥下重症度で,経口群,非経口群では大きな違いは見られなかった。2群共に共通し併存疾患に認知症やパーキンソン病,脳血管障害を有している患者が多く,これは,先行研究の報告と一致している。また,2群で比較を行うと非経口群の方が,併存疾患や今回の入院理由である脳血管疾患も広範囲な出血や梗塞であり重度であった。2群の大きな違いとして,経口群では入院時食事は経口にて行っており,座位保持介助量などの運動機能も非経口群よりも良い。非経口群では入院時食事はPEGを使用している患者が多く,座位保持は重度介助を要している患者が多い結果となった。
このことより,誤嚥性肺炎発症リスク高い患者において,嚥下機能のみでなく,入院時,座位保持が自己にて行えるか行えないか,今回の入院理由である脳血管疾患のみならず併存疾患の影響などに考慮しながら介入を行う必要がある事示唆された。
今回の結果を踏まえ,摂食動作や口腔ケアに重要な安定した座位の獲得が必要になり,誤嚥性肺炎予防や最終的に経口摂取にて可能となる為に理学療法士として介入していける部分であると考える。座位が不安定な患者に対しては,安定した座位の獲得のため機能訓練も重要であるが,入院早期にとって,摂食動作中の姿勢や臥床中の姿勢のポジショニングの指導・介入が1番重要になってくると考える。また,チームとして同じ評価目線で実際の病棟での生活の様子,覚醒の状況など情報交換を行っていき,常に患者に合わせた環境設定を行っていく事が大切になってくるのではないかと考える。
今後は,調査対象を増やし,誤嚥性肺炎を発症するタイミング,食形態の変化などさらに詳しく調査を行い,病棟とリハビリでの情報の共有が行えるよう,共通の評価基準を作って行きたい。
【理学療法学研究としての意義】
今回の研究より,経口群・非経口群の患者の特徴を考察する事で,今後入院時より誤嚥性肺炎発症リスクの高い患者の抽出が行いやすくなり,早期よりチーム全体で介入を行う事ができるようになると考える。また,理学療法士として摂食動作や口腔ケアに重要な安定した座位の獲得など,早期より介入していけると考える。
前回,当院における脳血管疾患患者の誤嚥性肺炎発症の特徴について考察を行った。入院中に誤嚥性肺炎を発症している患者の中には,誤嚥性肺炎を発症しながらも,経口摂取に至った患者と経口摂取に至らなかった患者がいる。今回,当院における経口摂取に至った患者と経口摂取を至らなかった患者の特徴を,それぞれ考察を行ったので報告する。
【方法】
H24年度,H25年度に当院回復期病棟に入院した脳血管疾患患者で誤嚥性肺炎を発症した14名を退院時の食形態により,経口群(9名)非経口群(5名)に分け,1,併存疾患,2,摂食・機能障害の臨床的病態重症度に関する分類(以下嚥下重症度),3,反復唾液飲み込みテスト(以下RSST),4,入院時運動FIM項目,5,座位保持介助量について後方視的に調査を行った。
【結果】
1,併存疾患では,経口群,非経口群どちらも心不全や腎不全など内科的疾患を有している患者や,今回入院理由である脳血管疾患以外の脳血管疾患や中枢神経系疾患を有している患者が多かった。
2,嚥下重症度では,経口群・非経口群ともに大きな違いは見られなかった。
3,RSSTでは,経口群では30秒間に3回行えた患者が2名,2回行えた患者が2名,1回行えた患者が4名,行えなかった患者が1名であった。非経口群では,1回のみ行えた患者が1名,行えなかった患者が4名と非経口群の方が低値の結果となった。
4,入院時運動FIM合計平均では,経口群35.1点,非経口群22.6点であった。特に項目で比べると,食事項目では,経口群4.3点,非経口群1点。更衣上衣項目では,経口群2.8点,非経口群2点。整容では,経口群4.2点,非経口群2.2点となり,全般的に非経口群が低値となった。
5,座位保持介助量では,経口群では重度介助であった者が1名であったのに対し,自立もしくは監視から軽度介助であった患者が8名だった。非経口群では,逆に,自立していた者が1名のみで,その他の4名は中等度から重度介助と非経口群の方が,介助量が多い結果となった。
【考察】
小山の報告によると,高齢者にとって脳血管障害,中枢神経系変性疾患(パーキンソン病など),認知症,糖尿病,口腔・咽頭の不衛生,胃食道逆流,意識レベルの低下が誤嚥性肺炎のリスクを高める要因となると報告がある。また,一般に誤嚥性肺炎の予防には,口腔ケアと食事中の姿勢や夜間臥位の姿勢調節が重要になると言われている。
今回の結果では,嚥下重症度で,経口群,非経口群では大きな違いは見られなかった。2群共に共通し併存疾患に認知症やパーキンソン病,脳血管障害を有している患者が多く,これは,先行研究の報告と一致している。また,2群で比較を行うと非経口群の方が,併存疾患や今回の入院理由である脳血管疾患も広範囲な出血や梗塞であり重度であった。2群の大きな違いとして,経口群では入院時食事は経口にて行っており,座位保持介助量などの運動機能も非経口群よりも良い。非経口群では入院時食事はPEGを使用している患者が多く,座位保持は重度介助を要している患者が多い結果となった。
このことより,誤嚥性肺炎発症リスク高い患者において,嚥下機能のみでなく,入院時,座位保持が自己にて行えるか行えないか,今回の入院理由である脳血管疾患のみならず併存疾患の影響などに考慮しながら介入を行う必要がある事示唆された。
今回の結果を踏まえ,摂食動作や口腔ケアに重要な安定した座位の獲得が必要になり,誤嚥性肺炎予防や最終的に経口摂取にて可能となる為に理学療法士として介入していける部分であると考える。座位が不安定な患者に対しては,安定した座位の獲得のため機能訓練も重要であるが,入院早期にとって,摂食動作中の姿勢や臥床中の姿勢のポジショニングの指導・介入が1番重要になってくると考える。また,チームとして同じ評価目線で実際の病棟での生活の様子,覚醒の状況など情報交換を行っていき,常に患者に合わせた環境設定を行っていく事が大切になってくるのではないかと考える。
今後は,調査対象を増やし,誤嚥性肺炎を発症するタイミング,食形態の変化などさらに詳しく調査を行い,病棟とリハビリでの情報の共有が行えるよう,共通の評価基準を作って行きたい。
【理学療法学研究としての意義】
今回の研究より,経口群・非経口群の患者の特徴を考察する事で,今後入院時より誤嚥性肺炎発症リスクの高い患者の抽出が行いやすくなり,早期よりチーム全体で介入を行う事ができるようになると考える。また,理学療法士として摂食動作や口腔ケアに重要な安定した座位の獲得など,早期より介入していけると考える。