[P1-A-0347] 入学前後における主体的な学習習慣の変化
キーワード:主体的な学習習慣, 入学前後, 学内教育
【はじめに,目的】
我が国における初等および中等教育は,与えられる知識を受け入れる教育が中心であり,教師と生徒の関係性は「教える-教えられる」の関係だと言える。つまり,学習者は教師が「伝達する」知識を「伝達される」受身の存在であると位置づけられる。しかし,現在の経済活動や政治,社会,文化など,広範な生活領域に影響を及ぼすグローバリゼーションの潮流や,それにともなう知識基盤型社会の到来を受け,学習者自体が能動的に学習することの必要性は高くなっており,高等教育での学びの転換は必然的である。勿論,理学療法教育においても同様のことが言える。日進月歩する医療を考えれば,常に新しい知識,技術を積極的に得ながら日々の診療を進めていかなければならず,その行動こそがプロフェッショナルと言える。また,積極(主体)性は自らが進んで学習に取り組む自己教育力と表現される中の基本的なものであり,生涯に渡って必要な能力である。本学では平成25年度より入学前の学習の取り組み姿勢を把握するため,入学前のアンケート調査を開始した。その結果,宿題や課題に取り組む姿勢は全国に比べ高い傾向を示したが,主体的な学習習慣については全国に比べ低かった。そこで本研究では,入学前に認められた主体的な学習習慣の低下が入学後4ヶ月目にどのような変化を示したのか,入学前後で比較し分析することを目的とした。
【方法】
対象は2014年度理学療法士養成校に入学した女子学生21名とし,前期日程終了後の8月に教室にて無記名による質問紙調査を実施した。調査項目は①授業への集中,②授業中のノート記載,③予習,④わからないことへの自己学習,⑤復習,⑥勉強方法の工夫,⑦テストで間違えた問題のやり直し,⑧自己意思での勉強継続,⑨計画を立てての勉強の合計9項目とし,入学前と入学後の両期について,それぞれ調査した。なお,回答形式はLikertスケールを用い,「とてもあてはまる」「まああてはまる」「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」の4段階とした。調査結果は,「とてもあてはまる」と「まああてはまる」を『あてはまる』,「あまりあてはまらない」と「まったくあてはまらない」を『あてはまらない』に集約し,項目ごとに入学前後の差異について分析した。統計学的分析にはFisherの正確確立検定を用い,有意水準は5%とした。
【結果】
21名の学生全員から回答が得られた。調査項目の①授業への集中,②授業中のノート記載,④わからないことへの自己学習,⑤復習,⑥勉強方法の工夫,⑦テストで間違えた問題のやり直し,⑧自己意思での勉強継続,⑨計画を立てての勉強において,『あてはまる』を選択した学生の割合が入学前に比べ入学後の方が有意に高かった(p<0.05)。③予習について,『あてはまる』と選択した学生の割合は入学前に比べ入学後の方が増えたが有意な差はなかった(p>0.05)。
【考察】
本研究は,理学療法士養成校に在籍する女子学生を対象に入学前後における主体的な学習習慣について,アンケート調査を用い分析した。調査項目のほぼ全てにおいて入学前に比べ入学後の方が主体的な学習習慣を身につけた学生の割合が有意に高かった。本調査結果から,入学前に認められた主体的な学習習慣の低下は,入学後4ヶ月間の学内生活によって改善されたことが考えられる。本学では主体的な学習習慣を身につけるため,入学後早期から5つの取り組み(毎授業での復習テスト,自己学習状況の報告,グループワーク,早期臨床実習,女性理学療法士からのレクチャー)を実施している。これらの取り組みが学習姿勢の変化に影響を及ぼした可能性が示唆された。
【理学療法学研究としての意義】
今回,入学前後における主体的な行動変化を確認した。結果,高等教育における学びの転換が認められた。今後更に学内教育の手法効果を詳細に分析することで,より質の高い学内教育が実施できると考える。
我が国における初等および中等教育は,与えられる知識を受け入れる教育が中心であり,教師と生徒の関係性は「教える-教えられる」の関係だと言える。つまり,学習者は教師が「伝達する」知識を「伝達される」受身の存在であると位置づけられる。しかし,現在の経済活動や政治,社会,文化など,広範な生活領域に影響を及ぼすグローバリゼーションの潮流や,それにともなう知識基盤型社会の到来を受け,学習者自体が能動的に学習することの必要性は高くなっており,高等教育での学びの転換は必然的である。勿論,理学療法教育においても同様のことが言える。日進月歩する医療を考えれば,常に新しい知識,技術を積極的に得ながら日々の診療を進めていかなければならず,その行動こそがプロフェッショナルと言える。また,積極(主体)性は自らが進んで学習に取り組む自己教育力と表現される中の基本的なものであり,生涯に渡って必要な能力である。本学では平成25年度より入学前の学習の取り組み姿勢を把握するため,入学前のアンケート調査を開始した。その結果,宿題や課題に取り組む姿勢は全国に比べ高い傾向を示したが,主体的な学習習慣については全国に比べ低かった。そこで本研究では,入学前に認められた主体的な学習習慣の低下が入学後4ヶ月目にどのような変化を示したのか,入学前後で比較し分析することを目的とした。
【方法】
対象は2014年度理学療法士養成校に入学した女子学生21名とし,前期日程終了後の8月に教室にて無記名による質問紙調査を実施した。調査項目は①授業への集中,②授業中のノート記載,③予習,④わからないことへの自己学習,⑤復習,⑥勉強方法の工夫,⑦テストで間違えた問題のやり直し,⑧自己意思での勉強継続,⑨計画を立てての勉強の合計9項目とし,入学前と入学後の両期について,それぞれ調査した。なお,回答形式はLikertスケールを用い,「とてもあてはまる」「まああてはまる」「あまりあてはまらない」「まったくあてはまらない」の4段階とした。調査結果は,「とてもあてはまる」と「まああてはまる」を『あてはまる』,「あまりあてはまらない」と「まったくあてはまらない」を『あてはまらない』に集約し,項目ごとに入学前後の差異について分析した。統計学的分析にはFisherの正確確立検定を用い,有意水準は5%とした。
【結果】
21名の学生全員から回答が得られた。調査項目の①授業への集中,②授業中のノート記載,④わからないことへの自己学習,⑤復習,⑥勉強方法の工夫,⑦テストで間違えた問題のやり直し,⑧自己意思での勉強継続,⑨計画を立てての勉強において,『あてはまる』を選択した学生の割合が入学前に比べ入学後の方が有意に高かった(p<0.05)。③予習について,『あてはまる』と選択した学生の割合は入学前に比べ入学後の方が増えたが有意な差はなかった(p>0.05)。
【考察】
本研究は,理学療法士養成校に在籍する女子学生を対象に入学前後における主体的な学習習慣について,アンケート調査を用い分析した。調査項目のほぼ全てにおいて入学前に比べ入学後の方が主体的な学習習慣を身につけた学生の割合が有意に高かった。本調査結果から,入学前に認められた主体的な学習習慣の低下は,入学後4ヶ月間の学内生活によって改善されたことが考えられる。本学では主体的な学習習慣を身につけるため,入学後早期から5つの取り組み(毎授業での復習テスト,自己学習状況の報告,グループワーク,早期臨床実習,女性理学療法士からのレクチャー)を実施している。これらの取り組みが学習姿勢の変化に影響を及ぼした可能性が示唆された。
【理学療法学研究としての意義】
今回,入学前後における主体的な行動変化を確認した。結果,高等教育における学びの転換が認められた。今後更に学内教育の手法効果を詳細に分析することで,より質の高い学内教育が実施できると考える。