[P1-B-0045] 脳卒中重度片麻痺者の運動学習理論を考慮した歩行練習再考
~三次元動作解析による評価および懸垂装置・装具療法による難易度調整~
Keywords:重度片麻痺, 懸垂装置, 装具療法
【目的】才藤らは,懸垂装置や装具療法を用いた歩行練習は,療法士による過介助を最小化し,効率的な運動学習を可能にすると報告している。今回,重度片麻痺者において,三次元動作解析にて評価し,懸垂装置・装具療法を用いて歩行自立に至った症例を経験したので報告する。
【症例提示】40歳代女性。横経28.1mm,縦経36.5mmの左被殻出血。発症2日に開頭血腫除去術を施行,残存血腫および脳浮腫を認めた。発症0~5日は人工呼吸器管理下,GCS2-T-1,全失語,SIAS下肢運動項目(以下SIAS-m)0-0-0,感覚は表在・深部共に脱失だった。
【経過と考察】発症12日は,GCS4-T-6,体幹安定性は低下し長下肢装具を用いても最大介助だった。懸垂装置で15kg免荷し,体幹の過介助防止,自身でフィードバックを得る環境にて,体幹安定性の向上を図った。発症54日はSIAS-m1-0-0で,筋力はhand-held dynamometer(以下HHD)にて麻痺側中殿筋は42N,大腿四頭筋は0Nだったが,荷重位で収縮を認めた為,短下肢装具へ変更した。三次元動作解析(ADAL 3D Treadmill,Kinema Tracer,快適歩行速度,手すり使用:以下3D解析)にてステップ長は右28.9cm,左8.4cmと左右は非対称,麻痺側の荷重量減少が考えられた。膝折れによる転倒防止,過介助防止の為,懸垂装置で免荷0kgとし,麻痺側荷重量の増加を図った。10m歩行は107秒,45歩で懸垂装置,短下肢装具,4点杖,非麻痺側へ重心移動の誘導を必要とした。立位練習として麻痺側股関節外転を介助し麻痺側荷重,振り出しを促通した。発症151日はSIAS-m2-2-1,HHDにて麻痺側中殿筋94N,大腿四頭筋74Nだった。3D解析にてステップ長は右34.2cm,左35.6cmと左右対称性の向上,麻痺側荷重量の増加が考えられた。10m歩行は31.3秒,31歩,短下肢装具,T字杖にて屋内修正自立となった。重度片麻痺者においても,懸垂装置にて過介助防止し,適切に難易度調整したことが歩行能力向上に繋がったと考えられる。
【症例提示】40歳代女性。横経28.1mm,縦経36.5mmの左被殻出血。発症2日に開頭血腫除去術を施行,残存血腫および脳浮腫を認めた。発症0~5日は人工呼吸器管理下,GCS2-T-1,全失語,SIAS下肢運動項目(以下SIAS-m)0-0-0,感覚は表在・深部共に脱失だった。
【経過と考察】発症12日は,GCS4-T-6,体幹安定性は低下し長下肢装具を用いても最大介助だった。懸垂装置で15kg免荷し,体幹の過介助防止,自身でフィードバックを得る環境にて,体幹安定性の向上を図った。発症54日はSIAS-m1-0-0で,筋力はhand-held dynamometer(以下HHD)にて麻痺側中殿筋は42N,大腿四頭筋は0Nだったが,荷重位で収縮を認めた為,短下肢装具へ変更した。三次元動作解析(ADAL 3D Treadmill,Kinema Tracer,快適歩行速度,手すり使用:以下3D解析)にてステップ長は右28.9cm,左8.4cmと左右は非対称,麻痺側の荷重量減少が考えられた。膝折れによる転倒防止,過介助防止の為,懸垂装置で免荷0kgとし,麻痺側荷重量の増加を図った。10m歩行は107秒,45歩で懸垂装置,短下肢装具,4点杖,非麻痺側へ重心移動の誘導を必要とした。立位練習として麻痺側股関節外転を介助し麻痺側荷重,振り出しを促通した。発症151日はSIAS-m2-2-1,HHDにて麻痺側中殿筋94N,大腿四頭筋74Nだった。3D解析にてステップ長は右34.2cm,左35.6cmと左右対称性の向上,麻痺側荷重量の増加が考えられた。10m歩行は31.3秒,31歩,短下肢装具,T字杖にて屋内修正自立となった。重度片麻痺者においても,懸垂装置にて過介助防止し,適切に難易度調整したことが歩行能力向上に繋がったと考えられる。