第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター6

内部障害/循環1

Fri. Jun 5, 2015 1:50 PM - 2:50 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P1-B-0071] 重症低左心機能例に対する回復期入院での心臓リハビリテーション

山本智史1, 青山敏之2, 遠藤宗幹3 (1.イムス板橋リハビリテーション病院リハビリテーション科, 2.茨城県立医療大学保健医療学部理学療法科, 3.イムス板橋リハビリテーション病院心臓リハビリテーション科)

Keywords:心不全, 回復期, 心臓リハビリテーション

【目的】
高度急性期医療の推進に伴い,急性期の入院期間が短縮することで,回復期での心大血管リハビリテーション(心リハ)が重要視されている。また,低左心機能や重複疾患を有する症例では,悪化のリスクから回復期への転院が困難なことが多い。左室駆出率(EF)14%の低左心機能であり,閉塞性動脈硬化症(ASO)を合併した症例に対し,回復期入院で心リハを実施したため報告する。
【症例提示】
55歳男性。陳旧性心筋梗塞による,慢性心不全例であり,ASOを合併していた。現病歴は,呼吸苦・倦怠感を感じるも,病院受診せず症状悪化した際に前医受診。心不全の診断で入院した。冠動脈造影検査において3枝病変が見つかり,30病日目に冠動脈バイパス術・三尖弁形成術を実施。65病日目に当院入院となる。当院入院時はEF14%,高度拡張障害を呈しており,胸水貯留多量,BNP1884pg/mlと重症心不全を呈していた。運動耐容能は100m歩行で息切れ・ASOによる間歇性跛行が出現していた。
【経過と考察】
75病日目にエルゴメータを開始(5w10分)。81病目に胸水が著明に軽減し,BNP930pg/ml,150m歩行における息切れもなく心不全が改善した。96病日目に心肺運動負荷試験(CPX)を実施。最大酸素摂取量7.0ml/kg/minであった。CPXの結果を参考に10w30分で実施,歩行練習は200mを3セット実施し,117病日目に2回目のCPXを実施した。最大酸素摂取量9.2ml/kg/minと31%改善を認めた。136病日,BNP766pg/ml,胸水もわずかであり,600m歩行が息切れなく可能となり退院となった。回復期病院においても心不全悪化のない範囲で運動療法を実施し,心不全状態が安定した後に積極的な有酸素運動を実施することで安全に運動耐容能を向上させることができた。回復期入院で心リハを実施している施設は稀だが,本症例のような重症心不全例でも,安全に心リハを実施することができれば,急性期の入院期間が短縮した中で病病連携の一助になると考えられる。