第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

調査研究 ポスター1

調査研究

2015年6月5日(金) 13:50 〜 14:50 ポスター会場 (展示ホール)

[P1-B-0075] レジスタンストレーニング効果に影響する血中蛋白質量の目標値の検討

佐藤慎1,2, 大城昌平3 (1.JA静岡厚生連遠州病院, 2.聖隷クリストファー大学大学院リハビリテーション科学研究科博士後期課程, 3.聖隷クリストファー大学大学院リハビリテーション科学研究科)

キーワード:栄養状態, レジスタンストレーニング, 入院患者

【目的】
栄養状態とレジスタンストレーニング(以下RT)の関連性は指摘されているが,RT効果に影響する栄養状態の目標値は定かでない。本研究ではLST法を用いたRTを実施し,RT効果に影響する血中蛋白質量を検討することを目的とした。
【方法】
回復期病棟入院患者に対し,介入前の測定,RTを週3回8週間実施し,介入後の測定を実施した。このうち,炎症所見が認められるものは除いた27名を解析対象とした。介入前後の測定項目は,年齢,BMI,大腿四頭筋筋出力,大腿四頭筋筋厚,大腿周径,血清アルブミン値(以下Alb),血清トランスサイレチン値(以下TTR),血清CRP値とした。得られたデータの解析方法は,①RTを実施しその介入効果を比較した。②血中蛋白質量から低基準群と対照群に分けそのRT効果を2群間で比較した。低基準群は,従来の低栄養基準を参照し,Alb<3.5g/dl,TTR<15.0mg/dlの条件を満たす場合とした。③鋭敏な基準値を検討するために,RT効果に影響する血中蛋白質量の基準値を検討した。これはまず,RTの有意な筋肥大効果基準を算出した。次に,この基準値で2群に分け,介入前のTTR,介入後のAlb,介入後のTTRの基準値を算出した。④新基準で血中蛋白質量を低基準群と対照群に分けRT効果を2群間で比較した。
【結果と考察】
入院患者に対するRT効果に影響する血中蛋白質量を検討することを目的とした。既存の低栄養基準で対象を分けRT効果を比較したところ,血中蛋白質量による違いは認められなかった。そこで基準値の再検討を行ったところ,筋肥大に影響する基準と既存の低栄養基準とでは異なる数値が示された(RT実施前のTTR:20.3mg/dl,RT実施後のAlb:3.55g/dl,RT実施後のTTR:19mg/dl)。この新基準で対象を分け同様にRT効果を比較したところ,大腿四頭筋筋出力,大腿四頭筋筋厚の有意な改善効果を認めた。RT効果を得るためには,客観的な栄養指標である血中蛋白質量に着目することが必要であると考える。