第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

調査研究 ポスター1

調査研究

Fri. Jun 5, 2015 1:50 PM - 2:50 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P1-B-0078] 当院の血液腫瘍患者に対するがんリハビリテーションの現状

松原彩香1, 内田真樹1, 長谷川昌也1, 藤田康孝1, 岡村正嗣1, 志水泰夫1, 吉本和徳1, 伊藤満2, 藤竹純子3 (1.京都市立病院リハビリテーション科, 2.京都市立病院血液内科, 3.京都市立病院神経内科)

Keywords:がんリハビリテーション, 血液腫瘍, ADL

【目的】当院は,地域がん診療連携拠点病院として,内科・外科領域での総合的ながん患者リハビリテーション(以下,がんリハ)を提供している。当院の特徴は,理学療法のがんリハ処方全体の中で,血液内科からの依頼が36.9%と最も多いことである。今回,当院の血液腫瘍患者に対する理学療法の現状と課題について検討したので報告する。
【方法】平成25年5月1日から平成26年10月31日の1年半の間に理学療法を実施した,血液腫瘍による入院患者90例(男性49例,女性41例,平均年齢67.2±17.4歳)を対象とした。診療記録より,疾患別内訳,がんに対する治療内容,入院からがんリハ開始までの期間,がんリハ介入期間,転帰,リハ開始時・終了時のBarthel Index(以下,BI)を後方視的に調査した。
【結果と考察】結果:疾患別内訳は,悪性リンパ腫49例,白血病27例,多発性骨髄腫9例,骨髄異形成症候群5例であった。治療内容は,化学療法および放射線治療65例,造血幹細胞移植11例,Best supportive care 14例であった。入院からがんリハ開始までの期間は平均19.0±22.9日であった。がんリハ介入期間は平均45.6±36.9日であった。転帰は,自宅退院69例,転院3例,死亡18例であった。自宅退院例のBIの平均値はリハ開始時67.8±28.3点,終了時83.6±20.2点であった。介入前後でのBIの変化は,改善59.4%,維持34.8%,低下5.8%であった。考察:血液腫瘍患者は,治療前後で身体活動量や身体機能の低下が生じると報告されている。しかし,当院では介入症例の76.7%が自宅退院し,そのうち94.2%が,がんリハ開始時のBIを維持または改善していることが分かった。この結果は,当院におけるがんリハの取り組みの成果であると考える。一方,退院時のBIの平均値は83.6点と日常生活動作に介助が必要な状態であった。今後は,多職種との連携により更なる予防的介入を促進し,リハ開始時・終了時のBIをともに向上していく必要がある。