第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

調査研究 ポスター2

神経理学療法

Fri. Jun 5, 2015 1:50 PM - 2:50 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P1-B-0089] 極低出生体重児の乳児期発達特性と3歳時予後の関係性について

浪本正晴 (熊本大学保健学教育部博士前期課程)

Keywords:極低出生体重児, 3歳時予後, 乳児期発達特性

【目的】
極低出生体重児(以下VLBW)の乳幼児期の発達状況を後方視的に縦断調査を行い,VLBWの乳児期発達特性と3歳時予後の関連性について検討を行った。
【方法】
1.対象:本研究の調査協力病院で平成18~21年の間に出生後から3歳までフォローアップ健診を継続的に受診しているVLBW77名とした。
2.調査方法:対象について,カルテ情報を元に出生時~3歳時まで縦断的に後向きのコホート調査を行った。調査項目は,1)性別,2)出生週数,3)出生体重,4)フォローアップ健診結果:①遠城寺式分析的発達検査6項目の結果(修正3~4ヶ月時と修正6~7ヶ月時の発達課題達成の有無),②3歳時健診結果は,神経学的所見,行動所見,新版K式発達検査の3項目を総合的に判断して,発達遅滞,脳性麻痺疑い,自閉症疑いとして何らかの支援を行っている子どもと,支援してない子どもを調査した。統計処理は,各項目についてのクロス表分析(X2検定)及び各項目間の相関分析(Spearman順位相関係数)を行い,相関係数により多重共線性の問題がないことを確認した。そして3歳時の要支援の有無を目的変数,クロス表分析にて有意差を認めた項目を説明変数としてロジスティック回帰分析を行いオッズ比を検討した。
【結果と考察】
3歳時要支援児数は32名(41.6%)で,この中には発達遅滞の子ども達24名(31.2%)が含まれていた。そして,3歳時に要支援となる要因として,遠城寺検査の修正6~7ヶ月の移動運動の発達課題が獲得できてないこと(オッズ比3.2)があがった。宮地は発達障害の早期兆候として運動発達における”運動の質の問題”の重要性を指摘しており,今回の結果はこのことを支持するものであった。VLBWの発達支援において,この修正6~7ヶ月時の運動発達の遅れと3歳時予後との関連性は,フォローアップ健診時の将来的な障害発生を予測する一つの目安となり,積極的な早期支援に繋がるのではなかと考えている。