第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

調査研究 ポスター3

運動器理学療法

Fri. Jun 5, 2015 1:50 PM - 2:50 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P1-B-0092] 人工股関節全置換術患者における早期退院後の仕事復帰

和田治1,2, 飛山義憲1, 川添大樹1, 中北智士1 (1.あんしん病院, 2.広島国際大学医療福祉科学研究科医療工学専攻)

Keywords:人工股関節全置換術, 早期退院, 仕事復帰

【目的】
近年,人工股関節全置換術(以下THA)では早期社会復帰を目的に早期退院が進められている。早期退院による仕事復帰は,患者自身の経済的負担だけでなく,我が国全体の社会的損失の観点からも重要であるが,早期退院後の仕事復帰時期に関する報告は少なく,復帰時の状態に関しても明らかでない。本研究ではTHA早期退院後の仕事復帰時期と復帰時の状態を仕事強度別に調査することを目的とした。

【方法】
対象は初回THA施行され,術後の仕事復帰を希望した患者38名(男性6名,女性32名,年齢58.9±7.5歳)とした。調査項目は仕事内容と復帰の可否および復帰時期とした。復帰時の状態として,術後1か月と3か月に疼痛(VAS 0:全く痛みなし~100:最大の痛み)とModified Harris Hip Score(HHS)を評価した。対象者を座り仕事中心(L群)と立ち仕事中心(H群)の2群に分け,復帰時期と股関節の状態を検討した。

【結果と考察】
対象者全員が仕事強度に関係なく術後12週までに仕事復帰可能であった。L群(男性4名,女性17名,年齢59.3±7.7歳)の復帰時期は術後4.0±2.4週であり,術後2週以内での仕事復帰おは8名,術後4週以内での仕事復帰は14名であった。また術後1か月の疼痛は13.7±13.8mm,HHSは80.7±7.7点,術後3か月の疼痛は6.1±6.7mm,HHSは91.2±7.4点であった。この結果より,座り仕事であれば早期に仕事復帰可能であるが,復帰後も継続的なリハビリテーションが必要であると考えられる。一方,H群(男性2名,女性15名,年齢58.5±7.3歳)では復帰時期が術後7.2±5.6週とL群よりも遅延し,術後4週以内の仕事復帰は5名,術後8週以内の仕事復帰は13名であった。また術後1か月の疼痛は11.4±11.3mm,HHSは79.8±7.4点,術後3か月の疼痛は3.1±3.9mm,HHSは89.9±8.3点であった。したがって,立ち仕事の場合,復帰時にはより良い股関節の状態である必要が示唆され,仕事復帰には2か月程度かかることが明らかとなった。