[P1-B-0242] 長下肢装具を作成した片麻痺者の歩行自立に関与する因子の検討
Keywords:長下肢装具, 歩行, 片麻痺
【はじめに,目的】
片麻痺者の理学療法において,装具を利用して歩行練習を行うことは強く勧められており当院においても長下肢装具(以下KAFO)を使用した歩行練習を積極的に実施している。片麻痺者の歩行自立に関わる因子の先行研究は多くみられているが,KAFOを使用した片麻痺者の歩行に着目した研究は少なく,今回はKAFOを作成した片麻痺者の歩行自立に関わる因子を後方視的に検討した。
【方法】
平成24年7月から平成26年7月まで当病院急性期・回復期病棟に入院していた脳卒中患者の中でKAFOを作成した17名を対象者とした。調査項目は年齢,退院時のSIAS体幹機能項目の合計点,発症時のBrunnstrom recovery stage(以下BRS),退院時BRS,発症からKAFO採型までの日数,FIM認知項目の点数とした。尚,FIMの移動項目において6点以上を歩行自立と定義した。統計学的解析にはR2.8.1を使用し,従属変数を歩行自立の有無,独立変数を各調査項目としロジスティック回帰分析を実施した。有意水準は5%未満とした。
【結果】
分析対象者は年齢64.9±17.1歳,脳梗塞7名,脳出血10名であった。ロジスティック回帰分析においていずれもP>0.9と有意な回帰は得られなかった。
【考察】
上杉らによると体幹機能が歩行自立の要因に深く関わっているとされている。本研究ではKAFOを使用した歩行練習を実施したうえで,先行研究同様の結果が得られるか,またKAFOを使用した片麻痺者の自立に関わる因子が何かを検討したものである。本研究においてはどの調査項目においても有意な回帰は得られず,上杉らの報告とは異なる結果となった。KAFOを作成した片麻痺者は重度片麻痺や体幹機能著名な低下などの重度の障害を呈している症例への偏りが大きくなり,自立の有無への影響が少なくなることで先行研究とは異なる結果となったと考えられる。加えて重度片麻痺者の脳卒中症状は多岐にわたることが考えられるため,今回調査項目になかった非麻痺側機能やバランス機能の評価の検討も必要であったと考えられる。さらに,統計学的に被験者数が少なかったことも有意な回帰を示す因子がなかった一つの要因であると考えられ,今後は被験者数を増やした更なる研究精度の向上が必要であると考える。
【理学療法学研究としての意義】
KAFOを使用した患者では歩行自立に対して今回の調査項目の影響がないことが示唆された。そのため,KAFOを使用した片麻痺者の歩行自立の予後予測は多角的な評価による判断が必要であることが分かった。
片麻痺者の理学療法において,装具を利用して歩行練習を行うことは強く勧められており当院においても長下肢装具(以下KAFO)を使用した歩行練習を積極的に実施している。片麻痺者の歩行自立に関わる因子の先行研究は多くみられているが,KAFOを使用した片麻痺者の歩行に着目した研究は少なく,今回はKAFOを作成した片麻痺者の歩行自立に関わる因子を後方視的に検討した。
【方法】
平成24年7月から平成26年7月まで当病院急性期・回復期病棟に入院していた脳卒中患者の中でKAFOを作成した17名を対象者とした。調査項目は年齢,退院時のSIAS体幹機能項目の合計点,発症時のBrunnstrom recovery stage(以下BRS),退院時BRS,発症からKAFO採型までの日数,FIM認知項目の点数とした。尚,FIMの移動項目において6点以上を歩行自立と定義した。統計学的解析にはR2.8.1を使用し,従属変数を歩行自立の有無,独立変数を各調査項目としロジスティック回帰分析を実施した。有意水準は5%未満とした。
【結果】
分析対象者は年齢64.9±17.1歳,脳梗塞7名,脳出血10名であった。ロジスティック回帰分析においていずれもP>0.9と有意な回帰は得られなかった。
【考察】
上杉らによると体幹機能が歩行自立の要因に深く関わっているとされている。本研究ではKAFOを使用した歩行練習を実施したうえで,先行研究同様の結果が得られるか,またKAFOを使用した片麻痺者の自立に関わる因子が何かを検討したものである。本研究においてはどの調査項目においても有意な回帰は得られず,上杉らの報告とは異なる結果となった。KAFOを作成した片麻痺者は重度片麻痺や体幹機能著名な低下などの重度の障害を呈している症例への偏りが大きくなり,自立の有無への影響が少なくなることで先行研究とは異なる結果となったと考えられる。加えて重度片麻痺者の脳卒中症状は多岐にわたることが考えられるため,今回調査項目になかった非麻痺側機能やバランス機能の評価の検討も必要であったと考えられる。さらに,統計学的に被験者数が少なかったことも有意な回帰を示す因子がなかった一つの要因であると考えられ,今後は被験者数を増やした更なる研究精度の向上が必要であると考える。
【理学療法学研究としての意義】
KAFOを使用した患者では歩行自立に対して今回の調査項目の影響がないことが示唆された。そのため,KAFOを使用した片麻痺者の歩行自立の予後予測は多角的な評価による判断が必要であることが分かった。