[P1-B-0356] 本校カリキュラムの再考
卒業生・臨床セラピストに対するアンケートから臨床に繋がる卒前教育を考える
Keywords:カリキュラム, 教育目標, 卒前教育
【はじめに,目的】
理学療法教育ガイドラインに,卒前教育における教育目標として「理学療法の基本的な知識と技能を習得するとともに自ら学ぶ力を育てる」とある。カリキュラムとは,この目標に到達するための教育計画をさし,科目や学習項目および教育や学習に要する時間(単位),履修する時期について構造化したものである。本校は3年制の専門学校として開校から10年を迎えるが,平成26年度から教育の質向上を目的にカリキュラム委員会を設立し,教育目標およびカリキュラムの見直し,修正を実施している。教育目標およびカリキュラムは,教育の質向上の為,また臨床ニーズに応じて適宜見直し,修正が行わなければならない。また,本校カリキュラムにて卒前教育をうけた卒業生の特性が,臨床現場においてニーズに応えられているのかを確認,検討する必要がある。
そこで本研究では,臨床ニーズの把握ならびに卒業生の特性が臨床ニーズに応えられているのかどうかを明らかすること目的に,本校卒業生ならびに就職先の臨床セラピストにアンケートを実施し,本校カリキュラムの再考に関して検討したのでここに報告する。
【方法】
アンケートの対象は本校が所属する上尾中央医科グループに就職した卒業生(PT・OT学科1~6期生120名程度),ならびにその就職先病院施設(34病院施設80名程度)の臨床セラピスト(主任以上)とした。卒業生に対するアンケート内容は,卒前教育の内容で『活かせていること』と『不足していると感じること』について自由記載,臨床セラピストに対するアンケート内容は本校卒業生の『強み』と『弱み』について自由記載にて実施した。アンケート結果を主に情意領域,認知領域,精神運動領域に分け集計し,回答数が多くかつカリキュラムに関わるものを抽出した。
【結果】
卒業生における卒前教育の内容で『活かせていること』に関しては,学習方法(グループワーク・CBL・OSCE),臨床実習の多さ,情意面の教育,ICFや問題解決モデル等での思考過程の整理,理学療法・作業療法プロセス,疾患(症例)に応じた思考と技術,基礎分野の知識(運動・解剖・生理),臨床医学の知識(各疾患の病態),基本的な評価・治療等,『不足していると感じること』に関しては,臨床における応用力,基礎分野の知識,地域・訪問リハビリテーション(生活のイメージ含め),多職種連携,予防分野,内部障害のリハビリテーション,各疾患の病態および評価治療の知識・技術,リスク管理,的確なゴール設定と治療プログラムの立案,評価・治療技術(動作観察分析含め)等があげられた。
臨床セラピストにおける,本校卒業生の『強み』に関しては,情意面(態度・接遇・学習意欲等),基本的な思考・技術(評価・治療)等,『弱み』に関しては,情意面,基礎知識・思考・技術からの臨床における応用力,生活期・終末期や在宅・地域におけるリハビリテーションの思考,多職種連携,リスク管理,動作観察・分析等があげられた。
【考察】
本研究アンケートから,特に『不足していることと感じること』と『弱み』に関しては卒業生ならびに臨床セラピストともに,臨床における応用力(知識・思考・技術),地域・在宅リハビリテーション(生活期含む),多職種連携,リスク管理,動作観察分析等,同様の項目が確認できる結果となった。この結果から,本校カリキュラムを再考するにあたって,理学療法教育ガイドラインのコアカリキュラムを参考にするとともに,情意面の教育の徹底,基礎からの臨床における応用力を卒前教育でどこまで教育していくかの検討,地域・在宅リハビリテーション(生活期含む)の内容および時間数拡大,多職種連携の教育,また予防分野の教育,系統別(疾患軸で)理学・作業療法の実施,評価・治療技術の時間数拡大,より実践的なケーススタディの実施,基礎分野の重要性等を視野に入れて検討していく必要があると考えられた。
また,今後のリハビリテーションを取り巻く環境として,地域包括ケアシステムの構築ならびに実施があげられ,本研究結果にも反映されていると考えられる。加えて,今後も継続して常に変化する臨床ニーズを把握し,本校カリキュラムの効果判定と見直しを実施していく必要性があると考えられた。
【理学療法学研究としての意義】
教育の質の向上の為,臨床ニーズを把握したうえで卒前教育におけるカリキュラムを検討することは,臨床ニーズに応じた教育を可能とするとともに学生の質の向上をさせ,結果的に理学療法の対象者である患者様,利用者様に還元することができると考えられる。
理学療法教育ガイドラインに,卒前教育における教育目標として「理学療法の基本的な知識と技能を習得するとともに自ら学ぶ力を育てる」とある。カリキュラムとは,この目標に到達するための教育計画をさし,科目や学習項目および教育や学習に要する時間(単位),履修する時期について構造化したものである。本校は3年制の専門学校として開校から10年を迎えるが,平成26年度から教育の質向上を目的にカリキュラム委員会を設立し,教育目標およびカリキュラムの見直し,修正を実施している。教育目標およびカリキュラムは,教育の質向上の為,また臨床ニーズに応じて適宜見直し,修正が行わなければならない。また,本校カリキュラムにて卒前教育をうけた卒業生の特性が,臨床現場においてニーズに応えられているのかを確認,検討する必要がある。
そこで本研究では,臨床ニーズの把握ならびに卒業生の特性が臨床ニーズに応えられているのかどうかを明らかすること目的に,本校卒業生ならびに就職先の臨床セラピストにアンケートを実施し,本校カリキュラムの再考に関して検討したのでここに報告する。
【方法】
アンケートの対象は本校が所属する上尾中央医科グループに就職した卒業生(PT・OT学科1~6期生120名程度),ならびにその就職先病院施設(34病院施設80名程度)の臨床セラピスト(主任以上)とした。卒業生に対するアンケート内容は,卒前教育の内容で『活かせていること』と『不足していると感じること』について自由記載,臨床セラピストに対するアンケート内容は本校卒業生の『強み』と『弱み』について自由記載にて実施した。アンケート結果を主に情意領域,認知領域,精神運動領域に分け集計し,回答数が多くかつカリキュラムに関わるものを抽出した。
【結果】
卒業生における卒前教育の内容で『活かせていること』に関しては,学習方法(グループワーク・CBL・OSCE),臨床実習の多さ,情意面の教育,ICFや問題解決モデル等での思考過程の整理,理学療法・作業療法プロセス,疾患(症例)に応じた思考と技術,基礎分野の知識(運動・解剖・生理),臨床医学の知識(各疾患の病態),基本的な評価・治療等,『不足していると感じること』に関しては,臨床における応用力,基礎分野の知識,地域・訪問リハビリテーション(生活のイメージ含め),多職種連携,予防分野,内部障害のリハビリテーション,各疾患の病態および評価治療の知識・技術,リスク管理,的確なゴール設定と治療プログラムの立案,評価・治療技術(動作観察分析含め)等があげられた。
臨床セラピストにおける,本校卒業生の『強み』に関しては,情意面(態度・接遇・学習意欲等),基本的な思考・技術(評価・治療)等,『弱み』に関しては,情意面,基礎知識・思考・技術からの臨床における応用力,生活期・終末期や在宅・地域におけるリハビリテーションの思考,多職種連携,リスク管理,動作観察・分析等があげられた。
【考察】
本研究アンケートから,特に『不足していることと感じること』と『弱み』に関しては卒業生ならびに臨床セラピストともに,臨床における応用力(知識・思考・技術),地域・在宅リハビリテーション(生活期含む),多職種連携,リスク管理,動作観察分析等,同様の項目が確認できる結果となった。この結果から,本校カリキュラムを再考するにあたって,理学療法教育ガイドラインのコアカリキュラムを参考にするとともに,情意面の教育の徹底,基礎からの臨床における応用力を卒前教育でどこまで教育していくかの検討,地域・在宅リハビリテーション(生活期含む)の内容および時間数拡大,多職種連携の教育,また予防分野の教育,系統別(疾患軸で)理学・作業療法の実施,評価・治療技術の時間数拡大,より実践的なケーススタディの実施,基礎分野の重要性等を視野に入れて検討していく必要があると考えられた。
また,今後のリハビリテーションを取り巻く環境として,地域包括ケアシステムの構築ならびに実施があげられ,本研究結果にも反映されていると考えられる。加えて,今後も継続して常に変化する臨床ニーズを把握し,本校カリキュラムの効果判定と見直しを実施していく必要性があると考えられた。
【理学療法学研究としての意義】
教育の質の向上の為,臨床ニーズを把握したうえで卒前教育におけるカリキュラムを検討することは,臨床ニーズに応じた教育を可能とするとともに学生の質の向上をさせ,結果的に理学療法の対象者である患者様,利用者様に還元することができると考えられる。